発露限界数値： 2D6 = 7 ( 4 3 ) %
侵蝕値： 2D6 = 7 ( 1 6 ) %

代償：コーティング解除

寝汗で汚れた額と身体を見て、鏡を前に悪態をつく。色素のおちた白髪の髪は、無駄にハリがあって老化によるものと思わせない。実際老化ではなく単に色素が落ちているだけ。
また髪を染め直さないといけない。ちゃんと防水のコーティングもし直さないと。
……今日は、川に1人で行くんだっけ。

独りになりたいと思った訳ではない。
独りはすきだけど、孤独はすきじゃない。

依存し、依存される事を求めている。慟哭に苛まれる自らは個を保つ。
とてもとても不安定な、水のような躰はきっと、砂地の砂に埋もれればすぐに消えてしまう。





城内の案内をしてくれた人にはまた会おうと約束をして、自分は水辺に向かった。
砂漠からここまでの道を歩くのは正直しんどかった。
世界を渡れれば時間を大幅に短縮できるだろうに、それができない。何も出来ない葛の子。

苛烈な環境故に今日はラウを置いてきた。シツジを採取できたから、後は『届ける』だけ。そうすれば――――。

いつだったか出会った獣人の子に言われたことを思い出す。
親切から云ってくれたと思う今代の王の側、あるいは元王を善しとしない者。はたまた第三勢力、ならず者。
それらが動きを見せ始める時だと言った。

少し、怖かった。

何も一人旅を、世界を渡り歩くことは初めてでもなく、ずっとずっと続けてきたからそれに対する不安ではなく。
今何もする事が出来ない自分が自分で居られるかが、おそろしくて。

水の匂いがした。
雫が弾ける音がした。
粒がしたたる音がした。


　　　　　　ぱしゃ　　　　ん　　　　　と。


気付けば私は水の中にいた。
服の張り付く、びちょびちょとした感覚。少しきもちわるくて、きもちいい。肺が圧迫されて、呼吸が出来なくて苦しい。
躰の動きは緩慢に、ゆるやかに。手を伸ばせば頭上に見える太陽に届きそうだのに、そうする力も無い。
できればこのまま溶けてしまいたい。融けてうもれて水に包まれて、回帰の聲を詠いたい。
鎮魂歌は独りで歌える。自分を慰めるのは慣れている。

水のカーテンが邪魔をする。喉を締め上げ、口を塞いで、あまつさえ侵してくる。
水が絡み付く、目を潰そうとする。ぼやけた世界で自由が利くのは耳だけなの。


助けを請う聲が聴きたい。誰かの手を差し伸べたい。
おねがい、おねがい、おねがいします。どうか私に――――――

　帽子を受け取って耳の部分をふにふにする　ちょっと硬い
　中身も軽く眺めてなんか型でもあるのか確認している

　調べ終えた帽子を返すようだ

あなたのちょっと遠回しな話にどこか混乱気味の樣子。
ですが、その後の話にはすぐに食いつきます。

すでに、頭の中は蜜のことでいっぱいでした。

　随分、自然に言うのだから、その可能性を失念していたらしい。

呼吸が乱れる

気が付いたのは、彼女を目にする事が多かったからかもしれない。

表情が揺れる

気が付いたのは、何度か会話を重ねているせいかもしれない。

あきらかな動揺、その後のたぶん嘘

きっと何かが彼女たちにはあるんだろう

でも・・・

何度も会話を重ねた友人は目の前いにる

結局、それだけで十分

兵士を前に疲弊し尽くした偽の姿は燕尾服を着た青年に変わる。

青年は片手に持つ南瓜のランタンをちらつかせ、兵士と応対した。

途切れていた意識が目覚める。ずぶ濡れでひどく気怠く、水の中で遊び疲れた童のように。
ともあればすぐに殺気ある者に気付くことはきっと遅かった、ような。

白の人は辻斬りの御人の前に立つ。
何を片意地張る必要があるのか。武器も持たないか細い躰で何ができる。
頭では逃げろと喚いているのに。
どうして水を得た魚のように生き生きとしている。ギラついた眼で彼の人を見つめるのか。

もう手遅れ。もう相手の間合、射程内に入った。眼を付けられた。
引かず媚びず、無為な詫びも懇願もしない。
だったらせめて妖魔らしく、抗って抗って暴れ尽くしてやる。