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#270 「ルーシーも心配だが、君の方も心配だ。 君はシラク君と一緒だとばかり思っていたが――」 |
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#612 「…そっか、いいなーそーゆー関係。 そのしらくちゃんって子とはもう合流できてんの?」 |
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#1324 「だから……鮎喰さんの事、応援してる。 自分がダウンして周りに心配かけない範囲で、出来る限り知恵も力も貸すよ」 |
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#256 「あー、そうねぇ、しらくね……」 |
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#256 「私が把握してるだけでも…二人、食われたわ。 お相手が誰だかは知らないけど……」 |
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#801 「貴様が喰われたいとまで願う、白波白楽は。 他ならぬ彼女自身が望んで、儂の餌となった」 |
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#801 「――貴様より、ずっと、先に。……儂らは、ひとつと、なったぞ?」 |
―――そうして、私の旅は唐突に終わりを告げた。
赤錆色の空の下、同じ街に暮らす者同士が争う戦場で。
私たちはきっと再会を果たすと約束をした。
あの子は私を待っていてくれると言った。
踏みしめてゆく一歩一歩の、その道の先に君がいると。
私は信じて進み続けた。
私たちの間には――――。
痛みも苦しみも、戸惑いも悲しみさえも存在しなかった。
パンドラの箱にさえ希望が残されているように。
アルカディアにさえ死の悲しみの有るように。
この悲惨な悪夢の世界にさえ、どこかに君が存在するなら。
誰に行く手を遮られても、絶対にくじけない。
君に会えるその日を夢見て、希望を胸に進み続ける。
君への想いが私を動かす。
戦う力なんて持たない私に、信じられない程の力をくれる。
私はきっと恋に生きて、恋に死ぬのだろうと考えていた。
私は生まれてきた意味を知った。
たしかに私は知っていたんだ。
正真正銘の化物として生まれてきた私に、あの子は無償の愛をくれた。
フランケンシュタインの怪物は、望み通りに花嫁を得た。
グリフィン博士は友情を回復し、救いを得てしまった。
―――そんな、あり得るはずもない奇跡だった。
白波白楽は私のすべて。
君への恋に生きて、冒険の果てに君と出会い直すのだと。
そう、信じていた。
私の恋人は、仲良しだったクラスメイトに殺害された。
瀬織ちゃんの言うには、しらくちゃん自身が望んだことだという。
到底信じられないような話も、私は半分信じてしまっている。
そんなこともあるかもしれない。
《捨身飼虎》の故事に倣えば、釈尊は前世の最期にその身を虎に捧げた。
飢えた獣の命をつなぐために、自分自身の命を捨ててしまった。
まごうことなき聖人の行いだと思う。
しらくちゃんならあり得なくもない。
私の恋人、白波白楽はある種の聖人―――聖女さまだったから。
その善意が報われたかどうか、私にはわからない。
わかっていることは、ただ。
遺体がただの食肉として損壊されたこと。
死者の尊厳は冒涜され、その死を弔う人はいなかったこと。
あの子が文字通りに死ぬほどの苦痛を味わっている間―――
生命の残り火が失われゆくその時、私は何も知らずにいたということ。
なんて滑稽なことだろう。
私は、叶うはずのない望みにすがって旅をしていた。
あの子の最期にも間に合わなかった。
今もって、亡骸のある場所さえもわからずにいる。
―――そうして、私の旅は唐突に終わりを告げた。
言葉にならない後悔と底なしの絶望が、僅かに残った正気を削り取る。
あの子がくれた希望の欠片が、ココロに突き刺さって流血を呼ぶ。
思考が麻痺して、あらゆる感情が動きを止める。
だというのに、一秒ごとに脳髄を刻む苦痛は決して和らぐことはない。
いっそ気が触れてしまえたら、どんなに楽なことだろう。
私は、自分自身のことさえも分からなくなることを夢想する。
あの街で出会った大切な人たちの思い出さえも忘れ果てて、空っぽになれたなら。
薄汚れた髪をガシガシと掻く。傷ついた獣のような唸り声を漏らす。
ボロボロに擦りきれたブラウス一枚で、底冷えのするような寒さに震える。
身体を丸めてうずくまれば、忌まわしくも穢れに満ちた赤錆色が肌を汚した。
いつまでそうしていただろう?
―――このまま消えてしまいたい。
どんなに強く願っても、私の頭脳は残酷なまでに明晰に動き続ける。
せめて、白波白楽の最期の遺志を知るまで死ぬわけにはいかない。
再会の約束を反故にされた理由を、知らずにリタイアしてはならない。
最後に残ったなけなしの理性が、もう一度立てと私に促す。
もはや希望は残っていない。旅を続ける理由も消えた。
侵略戦争の行く末なんて、私の知ったことじゃない。
…………ただ、白波白楽の真実を確かめるまでは止まれない。
これは、未来のない敗戦処理だ。
無惨にも砕け散ったJFKの脳髄を拾い集めるジャクリーンみたいなものだ。
私は砕け散った初恋の欠片を、浅ましくも拾い集めに行こうとしている。
それでもいい。旅の動機が、揺るぎない目的こそが私を救う。
しばらくぶりに立ち上がって、赤茶けた埃を払う。
身体の節々がぎしぎしと軋んで痛み、情けない声で悲鳴をあげた。
涙は枯れて、もう流れない。カサついた声で君の名を呼ぼうとして、やめた。
代わりに、何か歌おうか。
真実の愛をドブに投げ捨てるような悲恋の歌がいい。
喉も肺も擦り切れて、咳き込みながら歌いだす。
ドヴォルザークの《水妖》の唄。言わずと知れたアリアを歌う。
たちまちのうちに血反吐を吐いて、これが私の最期の言葉になっても構わない。
どうしようもない理不尽に抗うように、暴力的なまでに大きな声で!
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透 Měsíčku na nebi hlubokém, 『空の深みにかかる月』 |
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透 světlo tvé daleko vidí, 『君の光を遠く望むの』 |
ああ、なんて滑稽なことだろう。
舞台の上に残っているのは、今はもう私ひとりだけ。
ライムライトは掻き消された。
語るべきセリフは―――愛の言葉は尽きてしまった。
私にはもう、見るべきものは何もない。
――――けれど、それでも。
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透 po světě bloudíš širokém, 『広い世界を旅してまわり』 |
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透 díváš se v příbytky lidí. 『人の暮らしを見つめてる』 |
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透 po světě bloudíš širokém, 『西へ東へうつろいながら』 |
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透 díváš se v příbytky lidí. 『みんなの暮らしを見守っている』 |
埋火のような熱情が、私の中でまだ燃えている。
どんなに滑稽でも構わない。
今はただ、この小さな残り火が愛おしい。
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透 Měsíčku, postůj chvíli, 『月よ、まだそこにいて』 |
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透 řekni mi, kde je můj milý! 『教えて、私の愛しい君はどこ?』 |
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透 Měsíčku, postůj chvíli, 『月よ、まだ行かないで』 |
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透 řekni mi, kde je můj milý! 『教えて、私を愛する君はどこ?』 |
いつかあの子を失ったとき、この恋も終わるのだと思っていた。
とんでもない! それは無邪気な空想だ。
恋破れることを知らずにいられた、幸せ者の繰り言だ。
この恋は終わらない。私自身にも壊せない。
どこの誰にも奪えない。彼女の死をもってしても殺せない。
かすり傷のひとつも付けられないまま、私の恋はまだそこにある。
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透 Řekni mu, stříbrný měsíčku, 『伝えて、銀の月よ』 |
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透 mé že jej objímá rámě, 『この腕に君を抱きしめていると』 |
白波白楽を知らなかった頃の私には、もう戻れない。
あの子と過ごした時間のすべてが、こんなにも鮮やかに息づいている。
何もかも、わかっていたはずだ。
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透 aby si alespoň chviličku 『たとえわずかな間(あわい)にも』 |
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透 vzpomenul ve snění na mne. 『私を夢に見るように』 |
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透 aby si alespoň chviličku 『ほんの刹那の瞬きにも』 |
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透 vzpomenul ve snění na mne. 『私の夢を見るように』 |
手遅れだ。
私はもう、輝かしい魂のあることを知ってしまった。
こんなにも醜い化物にさえ、無垢なる慈愛を与えてくれた。
あの子には生命があった。その生命は人の光だった。
光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。
美しいものを見たんだ。
君にココロを奪われたまま、私は狂おしいほどに焦がれ続ける。
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透 Zasvit mu do daleka, 『煌めいて、彼方の君に』 |
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透 řekni mu, kdo tu naň čeká! 『伝えて、君を待つ人がいることを!』 |
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透 Zasvit mu do daleka, 『輝いて、今は遠くにある君に』 |
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透 řekni mu, kdo tu naň čeká! 『伝えて、私がここで待っていると!』 |

[861 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[443 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[500 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[192 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[393 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[295 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[214 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[150 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[72 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[131 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[121 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[100 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[151 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
[12 / 400] ―― 《黒い水》影響力奪取
[46 / 400] ―― 《源泉》鋭い眼光
[3 / 300] ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
―― Cross+Roseに映し出される。
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ノウレット 「呼ばれなくても出てきちゃう☆ノウレッ――」 |
ノウレット
ショートの金髪に橙色の瞳の少女。
ボクシンググローブを付け、カンガルー風の仮装をしている。やたらと動き、やたらと騒ぐ。
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ノウレット 「・・・・・・・・・」 |
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ノウレット 「え、誰もいない! ・・・・・何か落ちてます。・・・・・・・・・紙切れ?」 |
紙切れ
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ノウレット 「・・・えっとぉ・・・・・」 |
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《 サボってみます。 案内役一同 》 |
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ノウレット 「・・・・・・・・・・・・」 |
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ノウレット 「えええぇぇぇぇ・・・・・・・・・」 |
チャットが閉じられる――