
深雪ちゃんにショッピングでユカラくんと何があったかを打ち明けた。
秘密にしておくべきかも考えたけど、それはフェアじゃない気がしたから。
打ち明けることに関しては即決して、伝えはしたけど、とにかく怖い。
深雪ちゃんを傷つけたんじゃないか。
深雪ちゃんに嫌われるんじゃないか。
今の関係が変わってしまうのが、きっともう変わってしまったのが怖い。
まさか、泣いてしまうとか、私も思ってなかった。
打ち明けながら泣き出すとか、最低。
深雪ちゃん、何を言うにしても言いにくくなっちゃうじゃん。
ユカラくんに想いが通じたのは、とても幸せ。
これからもっと、関係を深めていけたらとは思う。
でも、
大事なお友達である深雪ちゃんとの友情にヒビを入れてしまうのも嫌。すっごく嫌。
私、わがままなの。
恋愛も友情もどっちも手に入れたい。
まだまだお子様だからね!!
とりあえず今は深雪ちゃんの表情をうかがうことも怖いです。
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魔法具の手鏡の装飾に触れる。
これは、この世界でいうところのテレビ電話。
通信機能のある魔法具である。
毎日報告を実家に入れること。
それが留学の条件だったので、こんな日でも連絡を入れないといけないのだ。
[お、アズ。今日の夕食、外で食べてきた?〕
今日の通信具で出たのは兄、ミリオンベルだった。
外出着のままだったので、気づいたのだろう。
いつも連絡する時は部屋着がほとんどだから。
「うん、そうなの。今日はお買い物に行ってきたから」
ミリで良かった。
こんなすごいことがあった日に、お父さんとはお話しする気分ではない。
とりとめのない話しをしていると、ミリが突然黙り、私の方を凝視していた。
「ミリ?」
[…………………まわりがえらく明るいんだけど、アズ、何かいいことあった?〕
「へ!?」
指摘されて、急いでまわりを見渡す。
まわり。精霊のことだ。
あ。超精霊たちが浮かれてる。お祝いしてくれてる。
自然の中の精霊を私たちの一族は見ることができる。
周囲の環境や人間の感情によって、精霊の動きが異なるので、わたしたちは気をつけてないとそばにいる人の感情がなんとなくではあるが読み取れてしまう。
SPでもしてない限りは、対人関係では使わないようにしないと面倒くさい能力なのだ。
が。
相手の感情が大きく揺さぶられている時、見ようとしてなくても見えてしまうことがあるのだ。
気取られないように対能力者用にセーブすることもできなくはないんだけど……。
忘れてたっ!!
やだ、恥ずかしい!!
ミリが苦笑している。
[学業以外でおめでたいことがあったんだろうけど、父さんと話す時はしばらく気をつけた方が良さそうだね〕
「…………そうだね。あっぶなーーい」
危ない……。
本当に危なかった。
過保護なお父さんにバレたら、面倒くさい。
[まあ、また話す気になったら教えて。父さんには言わないから〕
「ん。ありがとう。ミリ」
よい兄を持って本当によかった。
[あ、父さんが帰って来た。今日はこれで。またな〕
「うん」
お父さんがミリと私が通話しているのに気づいたけど、ブッと画面が消えて通話が終わった。
お父さんそろそろ子離れしてくれないかなぁ……。

[816 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[370 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[367 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[104 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[147 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
チャット画面にふたりの姿が映る。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・怖いだろうがよ。」 |
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エディアン 「・・・勘弁してくれませんか。」 |
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白南海 「ナレハテってあの!アレだろォッ!!?ドッロドロしてんじゃねーっすか!! なんすかあれキッモいのッ!!うげぇぇぇぇうげえええぇぇぇ!!!!!!」 |
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エディアン 「私だって嫌ですよあんなの・・・・・ ・・・え、案内役って影響力どういう扱いに・・・??私達は関係ないですよね・・・????」 |
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白南海 「あんたアンジニティならそーゆーの平気じゃねーんすか? 何かアンジニティってそういう、変な、キモいの多いんじゃ?」 |
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エディアン 「こんな麗しき乙女を前に、ド偏見を撒き散らさないでくれます? 貴方こそ、アレな業界の人間なら似たようなの見慣れてるでしょうに。」 |
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白南海 「あいにくウチはキレイなお仕事しかしてないもんで。えぇ、本当にキレイなもんで。」 |
ドライバーさんから伝えられた内容に動揺している様子のふたり。
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白南海 「・・・っつーか、あれ本当にドライバーのオヤジっすか?何か雰囲気違くねぇ・・・??」 |
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エディアン 「まぁ別の何か、でしょうね。 雰囲気も言ってることも別人みたいでしたし。普通に、スワップ発動者さん?・・・うーん。」 |
ザザッ――
チャットに雑音が混じる・・・
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エディアン 「・・・・・?なんでしょう、何か変な雑音が。」 |
ザザッ――
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白南海 「ただの故障じゃねーっすか。」 |
ザザッ――
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声 「――・・・レーション、ヒノデコーポレーション。 襲撃に・・・・・・・・いる・・・ 大量・・・・・こ・・・・・・死体・・・・・・ゾ・・・・・・」 |
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声 「・・・・・ゾンビだッ!!!!助け――」 |
ザザッ――
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「ホラーはぁぁ――ッ!!!!
やぁぁめろォォ―――ッ!!!!」 |
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エディアン 「勘弁してください勘弁してくださいマジ勘弁してください。 ホラーはプレイしないんですコメ付き実況でしか見れないんですやめてください。」 |
チャットが閉じられる――