ういーっす！一抹～～～！
僕だよボクボク！一抹の愛すべき生みの親であ～～～る！！！

元気にやってっか？え？元気なわけないって？











そりゃそーだよなぁ～～～竹崎家の教育、マジで厳しいもんな～～～。

僕も子供の頃は竹崎家でしっぽり鍛え上げられたもんだ……
全く、何度 逃げ出そうと思ったことやら……（泣）

妾の子であるお前なんて、特にひどいんじゃねーか？知らんけど

































……そう恨むなよぉ～～～！マジで出来心だったんだって～～～！！！


いやさ、僕、鉄みたいな女の子って正直あんまタイプじゃないっつーか……

だから愛人も一二人くらいヘーキで作ったし……
あ、でも全部 ほんとーに愛してたよ！これはマジ！！！


有里栖ちゃんはその中でも格別だったな～～～あ、お前を生んだヤツね。
頭は悪いが、トークは上手かったし、なによりテクがヤベェんだこれが（笑）


生みの親のそんな話なんて聞かされたくなかったって？

がーんだな…出鼻をくじかれた







































父君も父君だよな。僕も一抹も、いわゆる堅気の人間じゃないが──

でも人間、天賦の才とかいうやつはどう磨いたってどうにもならないんだし。

お前がどうしようもなく、ドジで、マヌケで、いつも頑張ってんのは、僕がちゃんと視てたからな。


ってかフツー、実の息子に「千摺」なんて名前つけるか？！
ホント、僕の父君ってば頭おかしーんじゃねーの？？！！！！！

もしや、僕が女に溺れて身を滅ぼす未来を視てたとか？？？
それにしてもひでー名前だな！！！



























































































































まあ、今まさに、その父君に斬首されようとしてるわけなんだけど。



















マジこえーよ。ガチで殺す気満々ってカンジじゃん。
手紙書く手もぷるぷる震えちゃってマトモな字になんねぇよ～～～

たった愛人とセックスしただけでこの仕打ちだよ！！！
ちゃんと避妊してたんだけどな～～～（泣）




























逃げる？馬鹿言え、逃げられねーことは分かってんだろ。

仮に一時、父君の目を盗んだとして、その「瞑目」が宿っている限り
全てはお見通しってワケだ。

つか、最期はどうせ先祖返りするだけだしな。抵抗なんて意味ナッシング。
というワケで、笹塚氏の繋がりで足抜けできたヤツは一人もいない。

お前も当然、例外なく足抜けすることができない……筈だ。



だがな、一抹。この手紙だけは、何があってもお前に渡す。






























一抹、お前に宿っている異能……ま、呪いだわな。その話は、撫里か父君──いや、祖父君に
聞いてる？聞いてないな、視えた視えた。僕の家族、薄情モン多すぎん？？？
思想教育も、八〇〇年も続けば鞏固な信念となるんだな。うん。


ま、いいや。「瞑目開眼」──因果律の糸を瞬間的に切り取り、欺瞞領域を確立させて
そこに割り込ませることのできるチート能力だ。

お前のそれは潰れているから十全に使えないだろうが、元々はそういう呪いなのだよ。




まあ、なにが言いたいかというと、この手紙を並行世界線上にいったん預けて、
一二歳のお前にブン投げるという裏技を、僕はこの斬首の間際に行っているわけで。


えっ！？僕、すごくね！？こんなコト、父君ですらまだ
やったことねーんじゃねーか？

それを、こんなコトで発揮するなんて、全っっっ然、うれしくねーけどな！！！

ハイ！！！てなわけで誤差 五日の範囲で一抹の手元に僕の手紙が届くってな寸法よ！
僕の命日は5月5日！！イヤッ！よりにもよってこどもの日かよ！！！！！
バカだろバーカ！！！父君のバーカ！！！













……まあ、その、なんだ。
こういうときだからこそ。どうしても伝えたい思いを、この手紙に僕は託す。
これが、お前を作ってしまった、哀れな男の遺言だ。































































































































































































































































































































あばよ、塵芥。お前だけは死んでも子供なんか作るんじゃねーぞ。

▲	血が付着した手が頬に触れる。 　成鐘は体温が低く、少しひんやりとした頬をしているはずなのだが、 　今日は非常に暖かかった。 　彼女の元へ、息を切らして走ってきたのだから。 「……あれは真柄じゃない。 　真柄は違うところで眠っている。 　ソイツに近づいたら、本当に殺されるぞ」 　頬を抓られる。 　成鐘はその手をトントンと叩くと、ゆっくり離させた。 「笹塚」

	眼帯を取り、蒼い電流が流れた。 「笹塚、 　悪い、俺もそろそろ腹をくくる。 　どっち付かずは両方獲れないよな」

	成鐘の左目は白く変色しており、絶えず電流が溢れている。  3歩ほど下がると、銃を手にした。 「今から1つ、物品に限るが何でも好きなものを買ってやる。 　車椅子でもいい、戦車でも、ずっと切れ味が落ちない日本刀でもいい、 　核シェルターや、安全な寝床でもいい、 　スポンジでできた刀も当然出せる。 　それを持って護身を整えるなり、逃げるなりしろ。 　俺はまた遠くへ行く。 　次に俺が追いついた時、お前を殺す。 　俺はアンジニティに加担し、 　　　　　お前達を否定することにした」

▲	南 「笹塚さん……あ、ハザマの異能の強化で……」

	南 「「笹塚さん、きこえますか？ 　痛くて苦しいなら、最初の場所に戻れますか？」」

	南 「……」

	南 「死にたいなんて……い、イバラに帰ればそんな風にならないんですよね？ 　後、一日とちょっとです。ぜったい、イバラに戻れるようにしますから。 　笹塚さんが、そんなこと思わなくても済むように……」

	南 「「ええと……呼び方が悪いのかな…… 　笹塚さん、一抹さん……抹茶さん！ 　聞こえてますか？ 　あなたは僕を信じてくれるといったから、その言葉の分だけ価値はありますよ。きっと、他にも言葉を交わした人の分だけ、あなたの重みがあるんです。貴方に貴方の価値が感じられなくても、僕には価値があるんです！」

▲	真柄 「…………………………」

	真柄 「……………………………………………………」

	真柄 「えぇい、やってられっか！！ 　もうええわ、俺の負けじゃ！ 　俺もあの思い出がウソなんぞとは思っとらんわい！」

	真柄 「クソ………… 　これが宿業か。俺のしてきたこと、俺が壊してしまったもの。 　…覚悟なんて言葉で覆い隠して、見ないようにしてきたものの中身。 　……もう良い。泣くな抹茶。 　随分と美人な面構えになったなお前も」

	真柄 「……初めて……お前が誰かに助けを求めるところを見たな…… 　優しい思い出を心の支えにして生きてきたのは分かる。 　それがどれだけお前にとって大事であるかも。」

	真柄 「その思い出の先に……　お前のそばに…… 　俺はもう、居てやれんのじゃよ。 　……せめてツラ見せろ、抹茶。 　泣き顔じゃろうと、俺はお前の顔が見て行きたい」

▲	菫 「…… ………シャレオツなアクセサリーですね！」

	菫 「ぴんぴんと言うよりﾋﾞｸﾝﾋﾞｸﾝ動いておりますが。 　それは何です？ビョーキ？ 　ホンショー？それとも変わったペットですか？」

	菫 「……なんぞ苦しそうなので、 　話をしていれば紛れるかと思いましたが、 　どうにも苦手ですね、私は」

▲	モロバ 「……おいッ、笹塚一抹ッ ! ! 　もう寝てろッつったろーが、お前―――　 　包帯の下の“ソレ”は――！」 （……笹塚の異能か！？　アンジニティとしての発露か！？　 　そんなことはどうでもいい！）

	モロバ 「……奪わないで、か……。 　そうだな……。お前は、あんまりにもデカくて多くのモンを　 　真実ってやつに連れ去られようとしている」

	モロバ 「しっかりしろォッ ! ! 　ふざけんじゃねえぞ ! ! 　この俺様にバッドエンドを見せつけて行くつもりかテメーは ! !　 　オメーはそいつに屈しちまう気か！？ 　生まれちまったのに、世界に負けたままでいいのかよ！？」

	モロバ 「お前はホントにそれでいいのか！？ 　確かに――オレたちが来ちまった世界は、残酷だ！！ 　記憶さえ偽物で、親友だと思ってたヤツが殺そうとしてくる！！ 　心を預けてたヤツが、絶対に未来で交わることのない人間だと知る！！　 　それは事実だ！！ 　だがな！！」

	モロバ 「闘えとは言わねえ！！ 　受け入れろとも言わねえ！！ 　生きろよ！！ 　生きることはつまらなかったか！？ 　なくなるとわかった面白れえ思い出は、偽物だったか！？　 　違うだろ！！　お前は――生きた！！」

	モロバ 「ここで屈したら、二度と何もできなくなるんだぞ……！！　 　真柄信――　真柄信は―― 　たとえ真柄信がアンジニティでも！ 　アイツはお前に虚無だけを与えたんじゃないだろう…… ! ! 」

	モロバ 「オレは…… ! ! 　アイツがアンジニティでも、真柄と出会えてよかった ! ! 　 　お前は違うのかよ……！？ 　笹塚……ッ！！」

▲	「──……」 言葉が出なかった。 笹塚の悲痛な願いが、叶わないだろうことを自分は知っている。 恐らく、本人も。 「大丈夫です」 だとしても取り繕え。 魔術によって表情筋を動かし、いつも通りの無表情を作り出す。 大丈夫、嘘は付き慣れている。 「もし真柄さんと相対したら、なるべく殺さず身柄の確保を優先に戦います。 　私も……ここで死ぬつもりはありません、やるべきことはいくらでもありますから」

▲	ホルスタ院 「えっ、なんか赤い…… 　……もしもし？あれ？抹茶ちゃんてアンジニティの人だったのか？」 隼田院フリージアは、チャットに映し出されたその物体について、悲鳴をあげるでもなくまずは首を傾げた。 「抹茶ちゃーん？ 　大丈夫かい、抹茶ちゃん？生きてるー！？」

	ホルスタ院 「やべ……今の音が会話だって言われたら結構気が長い話になりそうだぞ？」

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