あの赤い光が　頭の端でチラついて離れない



昔、侵略されてもいいと彼が言っていたのを聞いたことがある。
漠然と彼の足元に敷かれたレールを厭うような声色で、
ただつまらない未来を忌避するその言葉は
明確な意思も無く、ゆるりとしたもので。
まぁ、どことなく、よくあるモラトリアムに似たものだったように思う。


けれども

―　守らんでもよくない？　―

再び聞くこととなったその言葉に、
妙にはっきりとした意思の色が見えた気がして。
その明瞭な声色と鈍く光る赤い目に、無意識に息を詰めた。

自分が胸の内にしまい込んでいた願望を、
ほんの少し魔が差して考えてしまった可能性を



―二人で堕ちればずっと一緒にいられる―

あの紅い目に見透かされてしまったのではないかと
思い返してはきゅう、と心臓が縮んだ。


イバラシティには家族も友達もいて、それは護るべきもので。
もちろん彼もその内に含まれている一人だから。
裏切る事なんてあり得ない、あってはいけないと思っているのに。

あまりにも短い、二人の間に残された猶予が燻る炎のようにジリジリと
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――焦る心を焚きつける。

▲	七坂 「ああ～～アビーが壊れちゃった はい画面見て画面～～俺の振る指を目だけで追いながらクマの事を考えて～～？」

	画面に向かってシュッシュと指を振る様は全然黒魔術ではない…… これはただのEMDRというカウンセリング技法だ！！物理！

▲	縹 「さあ、何ででしょうね。 縹もよく分かりません。どっちでも良かった。だから籤を引いてみた。そうしたら、たまたまアンジニティだった。 その程度ですよ、縹にとってこの侵略戦争なんて」

	縹 「…………」

	縹 「ありがとうございます、あびこさん。 でも、たった36時間で……何が出来るんですか？」

	縹 「なぁにも出来ないと思いますよ？ 実際、今だって縹たち、何にも出来てないじゃないですか。あびこさんは、自分が世界を救えたり誰かの運命を変えられたりできる……特別な存在だって思えるんです？」

	縹 「あびこさんも縹も、ただの高校生なんですよ。 ……何か出来るなんて、それこそ驕りではありませんか」

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