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『ユイちゃん。お前、死ぬ前になんかやりたいことないの?』 |
カスミ湖。
白昼の陽光を照り返す水面を眺めて、二人の少年は水上に浮かぶボートに揺られている。
ちょうど一年前、季節は年明けの冬。それでも、よく晴れた暖かい日だった。
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『……だーかーら、死なないって。 例えばさあ、心臓移植で生き延びた人間を死んだって思うのかよ。』 |
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『思わないけどよお。』 |
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『よろしい。ですからオレは死にませ~ん。 つか何? そんなに死んでほしいの? キッツ……。』 |
澄んだ湖と、その水底を覗き込む。
冷たい水の中に沈んだ神社を見下ろして、白い息を吐き出した。
何年も見つけられていないままの、噂に聞いただけの魚影を探す。
子供の頃、一番最初に二人でこうしてボートに乗ったのは、たったそれだけの理由だった。
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『あのさ。一人の人間の死って、心停止と脳死のどっちだと思う?』 |
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『……お前が死なないってんなら、心臓が止まったときじゃないの。』 |
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『なるほどね。それじゃ、心拍停止状態から回復した人間は一回死んだってことになるな。』 |
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『じゃあ脳死。』 |
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『なるほどね。それじゃ、植物人間はもう死んでるってことになるなあ。薄情者~。』 |
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『分かってたけど、お前サイテーだな。』 |
二人の少年は、学校や家ではできない話をここでしていた。
カスミ湖の外周、水辺に放置されていたボロのボートを拝借して、
人間だらけのイバラシティから逃げ出すように、他に誰一人もいない湖の中央まで漕ぎ出す。
いつものことだ。この日もそれは変わらない。
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『オレは死なないよ。』 |
二人の少年は、本当にそこに居るかどうかも分からない魚を追いかけていた。
いつまで経っても見つからず、一向に姿を現さないそれに言い訳をするように、
『きっと日頃の行いが悪いんだ』とお互いをからかって笑い合う。
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『記憶と情報がバラバラになるんだって。記憶ごとの時系列とか、関連性とか。 自分がいま何歳だったかとか、どこに居るのかとか、今まで何をしていたか……とか。』 |
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『常人でも忘れないような大事な記憶が壊れたら、ついでにオレの人格もぶっ壊れるわけだ。』 |
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『まあ、当然だよな。人格は記憶から成るものなんだから。』 |
2月15日。約束の日が近付く。
“暮泥 唯”という一人の少年の存在は、周囲の人間に死の定義を問う。
家族も、友人も、各々がその答えを導き出すことを強要された。
“暮泥 唯”は、15歳の誕生日を迎えたところで死ぬことはない。
人格の死というものは、この社会においては死と認められることはない。
このイバラシティに張り巡らされた社会のルールは、まだ生きている彼の死を認めない。
彼の死を定めるものがあるとすれば、それは個人による勝手な思い込みだ。
“暮泥 唯”は生き続ける。
社会的に、法律に従い、戸籍上、公的な書類が示す通りに。
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『ショータ。オレがおかしくなっても、そばにいてくれる?』 |
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『…………』 |
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『……分かんね。』 |
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『はは。』 |
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『……俺もソラコー行こうか迷ったけど、やめたんだよね。 高校でお前と初めて会う奴らにとっては、それがお前なワケじゃん。』 |
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『何も知らない奴らが、元々のお前のことをなかったことにするワケじゃん。』 |
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『何も知らねえくせに、お前は始めからそういう奴だったって勝手に思い込むワケじゃん。』 |
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『俺、多分そっちのほうが耐えられねえわ。』 |
静かな水面の向こう側を、ゆらりと魚影が通り過ぎていく。
二人の少年は、それに気付かなかった。
いつものことだ。この日もそれは変わらなかった。
カスミ湖の底に沈んだ神社と、度々目撃される巨大な魚影の噂。
まだ幼かった二人の少年は、きっとそれが神様なのだと信じて疑わなかった。
神様を見つけることができたら、願い事を聞いてもらうのだと決めていた。
結局、在りもしない神がその願いを聞き届けることはない。
いつのまにか中学生になっていた少年たちは、もはや神など信じていなかった。
幼い頃の約束を引きずりながら、水底の忘れられた神を探す。形骸化した儀式を続けるだけだ。
童心を捨ててしまった少年たちは笑いながら言う。
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『ほら、きっとお前の日頃の行いが悪いせいだ。』 |
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『そう? お前の前世が大罪人だったからだろ。』 |
ちょうど1年前、2月14日。
二人はそれきり、出会っていない。
朝原 昇太
暮泥 唯とは同い年の幼馴染。
二人はそれだけの関係だ。この少年は『暮泥 唯』という人間を、まだ生きていることにしたかった。
暮泥 唯
朝原 昇太とは同い年の幼馴染。
二人はそれだけの関係だ。この少年は『暮泥 唯』という人間を、もう死んでいることにしたかった。
終末まで 残り21時間
ハザマの刻は36時間続く。
彼が真に『暮泥 唯』であるかどうか、
このハザマにおいては実に些細な問題だった。
暮泥 唯(261) に ItemNo.95 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.96 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.97 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.98 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.99 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
具現LV を
10 DOWN。(LV10⇒
0、+10CP、-10FP)
自然LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
領域LV を
10 UP!(LV0⇒
10、-10CP)
料理LV を
5 UP!(LV30⇒
35、-5CP)
濯木 龍臣(406) により
ItemNo.10 白石 から射程3の武器『
カド』を作製してもらいました!
⇒ カド/武器:強さ67/[効果1]祝福10 [効果2]- [効果3]-【射程3】
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濯木 龍臣 「カ……あの……いや……これでいいか?」 |
齎藤 颯(130) の持つ
ItemNo.2 美味しい草 から料理『
さくらんぼのクラフティ』をつくりました!
濯木 龍臣(406) の持つ
ItemNo.9 美味しい果実 から料理『
さくらんぼのクラフティ』をつくりました!
ItemNo.8 美味しい草 から料理『
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ』をつくりました!
⇒ ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ/料理:強さ45/[効果1]治癒10 [効果2]充填10 [効果3]増幅10
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ぐちゃぐちゃに潰れた記憶を繋ぎ合わせた。
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ユメミ(1438) とカードを交換しました!
夢の残滓
(ツインブラスト)
プチメテオカード を研究しました!(深度0⇒
1)
プチメテオカード を研究しました!(深度1⇒
2)
プチメテオカード を研究しました!(深度2⇒
3)
ストーンブラスト を習得!
アマゾナイト を習得!
ノーマライズ を習得!
プチメテオカード を習得!
ガーディアン を習得!
パージ を習得!
エリアグラスプ を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!