［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　ドアベルが鳴った。
　ドアベルが鳴ったのは客が来たからだ。
　あたしは客に接客をしなきゃいけない。
　あのカッコつけた営業文句を言わないといけない。

　初見の客なら、いかにも質屋らしくない純喫茶風の店内と痛々しいポエム、そしてカウンターで雑誌を広げながら爪の手入れをしている女に驚いて、すぐにでも帰りたそうな顔をする。

　でも入ってきた客は毎朝のニュース番組のキャスターよりも見慣れた常連だったので、まっすぐ歩み寄ってきてカウンターに品物を置いた。ちなみにあたしが毎朝見るキャスターは桝さん。顔は好きでも嫌いでもない。
　ごとりと重たい音を立てるそれは、スカルのレリーフが施されたバックルだ。あたし程の目利きともなれば、有名ブランドの正規品であるとわかる。


「質入れ」


　西日が窓から傾く頃にやってきた今日はじめての客は、つまらない顔につまらなさそうな表情を乗せて言う。

「……カツアゲしたの？」

　雑誌に目線を戻して聞いた。この子の顔を見ているより、広告ページを見ている方が楽しいので。

「盗品かどうかなんてわかるクセによ。いいから査定」

　冗談に乗ってくる器がないからつまらないのだというのに。
　でも彼のトークセンスへの期待なんて竹中直人の頭髪ほどもないので、優しいあたしは何も言わずにバックルを手に取った。

「もお……面倒くさいなあ。えー……あ、B'Factoryじゃん。
　これだったらね、えーっと……」

　これはいいものが転がり込んできたぞと、雑誌を放り投げて手を擦り合わせる。
　お父さんが意地で老眼用眼鏡をかけずに新聞を読むように、じっとそれを眺めていると……やがて数字が視えてくるのだ。

「こんなもん」

　電卓に打ち込んだ数字を相手に見せる。八百円也。

「しょっぺえ」

　諭吉4枚で買ったのにとぼやいているが、彼だってたんに市場価値が高いだけのものがウチで高値で売れないことなんて知っているはずだ。

「……わかった、売ってやンよ」

　ほくほくとした気分があたしの凝り固まった表情筋を少しだけほぐすのを感じながら、レジの中から百円玉3枚と五百円玉1枚をトレイの上に載せて差し出す。
　このバックルは店に出さずに着服してしまおう。

　そうして、指を組んで改めて聞いた。

「じゃあ、ほんとの要件聞いてあげる」

　売るところを選べば何十倍にもなるものをわざわざ「ウチ」に預けるというのだから、それなりの頼みがあるんだろう。つまり、ご機嫌取りだ。

「これも売る」

　少し固い声。嘘をついたり、何かを隠しているときに似ている。
　でも、今日は違うみたい。

　硬貨がなくなったトレイの上に、ひとつの鍵が置かれた。
　一般的なドアに使う鉄製の鍵で、某ゲーム会社の象徴的な青いハリネズミのストラップがついている。
　もちろんアンティークでもない普通の鍵なんて、本来質屋に入れられるようなものじゃない。うちでは買い取れるけど。
　でもこれは、彼に渡しておいたあたしの家の鍵だ。
　眉を潜める。貢物に釣り合わないわけじゃないけど。

「なに、清算したいってこと？」

　見上げる彼は首を振る。
　わたしはふと一つの可能性に思い至った。
　「あ」と口元を抑え、上目遣いににまぁりと笑う。

　「彼女できたんだ？」

「は？違うわ」

　腹の立つことに、彼は本気で白けたような目を向けてくる。
　じゃあ一体？なんだかあたしが負けたみたいで悔しいのだけど。
　弁明を待って沈黙するも、目線を合わせず一向に話し出さないのでイライラしてきた。
　しかし、こういう態度は珍しいっちゃ珍しい。
　いつもは遠慮すべきことも遠慮なく余計な一言を添えて言ってくるのだ。

「もしかしたら返せなくなるかもしれねぇからよ。今のうちにな」

　どういうこと？とあたしは聞くが、それ以上は歯の隙間に引っかかった肉の筋を取ろうとするみたいな顔をするから。
　わかったと言って、あたしは金庫からいくらかのお金を出して、封筒に入れて彼に渡した。彼も、中身を確認せずに受け取った。

「いってらっしゃいませ。どうかお客様が、至るべき場所へ至ることができますように」

　とても恥ずかしいのだけど、これは毎回言わなきゃいけない決まり。

　ドアベルが鳴った。
　お客がいなくなるときのドアベルは好き。
　でも今日は、少し寂しい。

　鍵のことなんかじゃない。
　あたし、そんなセンチメンタルな女じゃない。

「太地は気付いちゃったんだね」

　本当はもう死んじゃってること。



　あたし、センチメンタルな女じゃない。
　でもあたしは優しいから、少しだけ寂しく思ってあげる。

ENo.1288 裏葉 とのやりとり

自然LV を 5 UP！（LV15⇒20、-5CP）
合成LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）

Mater(1084) により ItemNo.7 白石 から装飾『キューブのピアス』を作製してもらいました！
　⇒ キューブのピアス／装飾：強さ67／［効果1］舞祝10 ［効果2］－ ［効果3］－

ナックラヴィー(502) とカードを交換しました！

幻想藻の海域 （アクアヒール）


クリエイト：グレイル を研究しました！（深度0⇒1）
クリエイト：グレイル を研究しました！（深度1⇒2）
クリエイト：グレイル を研究しました！（深度2⇒3）

グランドクラッシャー を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

おきみやげ(1246) は 吸い殻 を入手！
シオガマ(1249) は パンの耳 を入手！
結(1284) は 吸い殻 を入手！

チナミ区 I-15（沼地）に移動！（体調17⇒16）
チナミ区 I-16（道路）に移動！（体調16⇒15）
チナミ区 H-16（チェックポイント）に移動！（体調15⇒14）
チナミ区 B-4（ベースキャンプ）に戻りました！
体調が全回復しました！

ツリガネ(1255) をパーティに勧誘しました！
『チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - おきみやげ(1246) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》
　　 - シオガマ(1249) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》

MISSION!!
チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》 が発生！
　　 - おきみやげ(1246) が経由した チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》
　　 - シオガマ(1249) が経由した チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》
　　 - 結(1284) が経由した チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》

―― ハザマ時間が紡がれる。

　

　

　





　




チャット画面にふたりの姿が映る。

　







　




チャットに響く声。

　



画面に現れる３人目。

　






　





上目遣いでふたりに迫る。





　








ノイズで一部が聞き取れない。

　









突然現れるドライバーさん。

　









　







　

賑やかな雰囲気のまま、チャットが閉じられる――

チェックポイント。

仄かな光に包まれた六角形の柱が立っている。

　

･･･柱から滲み出るように、何かが生み出される。



　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！




（初発生のイベント戦：異能FP+5！生産FP+5！）