本当に平和だ。
大学でもお友達が……少ないけど出来た!(できたのだ!)
日常での騒乱に巻き込まれることもなくなって、本当に平和。
普段通りヒカラビ荘のみんなとは挨拶もするしちょっとした遊びもするし
……消えない落書きをしちゃったりしたけれど……本当に私ヒカラビ荘にかわいそうなことしてるなぁ……なんて
でもそんなことを出来たり余裕がある毎日は本当にいい。
何もないって言っても本当に何もないわけじゃない。
家でいろいろしたり、ちょっと音を出したくなればスタジオを借りたりして。
ドラムがちょっとうまくできたのは……良かったかな? ベーシストなんだけどなぁ……
ちょっと連絡を取ったり、普段通りの生活をしたり――大学生活でそれなりに日常が埋まるようになった。
いつまでもこんな日々が続きますようにって。
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傷だらけの体に
流れ込む記憶
あぁ、いつになったらコレに慣れるのだろうか。
やっぱりそうだったじゃないか
守ろうとしたその場所は私にとって不必要で
なずみなんて要らないって
身をもって知ったじゃないか
傷だらけになった体を運んでくれたのはアンジニティ
どうしてって思った。
そんなナカヨシごっこみたいな関係じゃないのに
こんな使えない身体を、私を、置いていってしまうか――殺してしまえばいいのに
……どうやら食料が思ったよりも拾えていないらしい。
――ああそういうことか
丁度いい食料があるじゃないか
私は口にすることは叶わないけれど
それ以外は、きっと
ソレに忌憚などしないだろう
でもそれは
許されない
私は生きていなければならないのだ
結宮 拘は生きていなければならないのだ
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私に彼氏ができた。
それは私にとっては遠かったはずの人物だけれど。
私はなんともうまく立ち回ったものだ。
私は私を見ながらそういった感想しか出てこなかった。
将来性もあるし、外見も内面も別に悪い人ではないけれど。
そういう目で見たことは無かった。
やさしくされるその行為も慣れたものだ
「――どうした? なずみ?」
そう聞かれる。
あぁまたか
私の体を操っているくせに、こうやってたまに私に返してくる。
だから、見ているだけだとどうなってしまうかもわからない。
「ごめん、ちょっと……ぼーっとしちゃってた。」
とりあえず、そう返す。
「気分が悪いなら、やめるけどさ」
(うんそうしてくれると……今日はいいかも、ごめんね)
「ううん、大丈夫。 本当にいいのかなって……また思っちゃって」
ああ、言葉にならないのだ。 いつもそうだ。
相手に対して美味いことを本当に言ってしまうのだ、私は。
優しい言葉に、優しいその触れかた
激しく求められ、それを求める
優しく触れられる、腕の中に納まる
悪くは無いのだけれど。
――最初は嫌悪感も強かったけれど、慣れてしまえば、委ねてしまえばその快楽は私にも伝わってくる。
これが外見的にも、内面的にも受け付けない相手ならば無理だっただろうが。
私は私に優しいのだ。
彼も私に優しい。私に優しいのかはわからないけれど。
本当にそうかはわからないけれど、少なくともそう思わないと、やっていられない。
少なくとも求められているのは結宮拘。私。
私なんだよね。
どういうことなのか理解は出来ないけれど。
気が抜けない、私が私として動くのを常に眺める日々。
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