心臓が早鐘を打つ。威圧感と恐怖で顔を背けそうになる。 巨大な影を縛っていた鎖が、少しずつ腐食し、千切れ飛んでいく。その四肢を拘束していた杭だけは未だその形を保っているものの、あっさりと支配を脱してもおかしくはない。 声が出せない。 身動きが取れない。 自分も、四肢が揃っている筈の赤目も、ただ見上げることしかできない。 「あれが……悪魔?」 ようやく、その姿を目にできた。あの日、祭りの夜に攫われ、自らを生贄に、触媒に召喚されたであろう悪魔。竜。 全身の鱗は封印の鎖によってか、傷つき、汚れてはいたものの、ヒビ一つ入っておらず、巨大で何層にも重なって、傷つけることなど不可能に見え。 その爪は地面を噛み締め、何処までも追いすがって行けるとも思える強靭さで。 翼はその巨体に見合う大きさではあったが、空を飛ぶための物ではなく、折り重なったいくつもの鱗によって、鎧や、盾のようにも見えた。 そして、その口は、牙は、何者をも噛み砕くであろう事は、考えるまでもなく理解していた。 「こんな物が、私の中に……。」 口から漏れ出た言葉に、反応したのは赤目だった。 彼女は、声に反応すると何かに気がついたようにこちらを向き、そして。 「は、はは……」 にやりと、口角を上げてみせた。 「ざまあ、無いね。ほら、やっぱり、あなたのソレは、あなたの物じゃない。私の、そう、私の物だ。 そして、ここで、あなたを、お前を、消してしまえば、それは全て、私の物になる!」 赤目の右腕が、大きく口を開けた。先程までとは異なる怖気が、体中に響き渡る。 しかし、それと時を同じくして、ソレ以上の怖気が、自分だけに走ったことが分かる。 なぜなら、それは赤目からは見えていない光景。自分を見下ろしている赤目の、背後からもたらされる光景だから。 『退け』 その一言で、赤目の動きが一瞬で止まる。 振り返った顔は、こちらから伺い知る事はできなかったが、最後に見えた顔は、怯え、竦み、がしりと首根っこを掴まれた小動物のようだった。 「――――やめっ」 止めて、と言い終わらない内に、赤目の体は、竜の瘴気に一瞬にして包まれ、同じような色の霧となって霧散した。 ふと、赤目の姿が消えた途端、体に力が戻ったことが分かる。同時に、巨大な右腕に、強靭な両足、翼に、尻尾と、角もいつもの姿に戻っていた。 『見苦しい。影に押し出された影の末路など、溶けて消えるだけだというのに。 ……さて。』 竜が、自分を見下ろしている。先程までと異なり、体に力が戻り、見上げるだけの気概だけは何とか持てている。 『お前が、この空間の主か』 「……お前が、私の中にいた、悪魔?」 『悪魔、などと、お前たちが身勝手に呼んでいるに過ぎぬ。だが、お前の中に封印された者をそう呼んでいるのならば、然り。』 「……聞きたいことが、ある。」 『聞こう。』 「え?」 少し、素っ頓狂な声が出た。まさか、素直に聞いて貰えるとは思っていなかったからだ。 『未熟にも囚われた私が、お前と共に朽ちる運命に無かったのは、お前の生への渇望故。お前には敬意を払う価値がある。』 「それは、どうも?」 褒められた、のだろうか。私が死んでいれば、この悪魔ごと死んでいたという事だろうか。 飢えれば暴れだし、あらゆる物を食らってまで生き残ろうとしたこの右腕が、そんな殊勝な物とはあまり思えなかったが。話が逸れた。 「……私の体を、元に戻すことは、できる?」 『何処までだ。』 「私の、元の手足を取り戻して、尻尾と翼、角を取り外す。」 悪魔は、暫し考え込んで、言う。 『言おう。不可能だと。』 今日は、何度違う衝撃をこの身に受ければ良いのだろうか。 分かっていた。どこまで前へ歩いても。誰と出会っても。右腕を切り落とせても、元の姿へと戻る手がかりは、一切無かった。 「それは……どうして?」 震える声で、言う。目が潤んでいるのが分かる。大声で泣き叫びたくなる。だが、それは全てを聞いてからだ。 でなければ、一生後悔することになるだろうから。何の解決にもならないから。 『魂が欠けているからだ』 「魂が、欠けている?」 『お前の魂は特別だ。本来ならば、私の魂を魂の内部に入れ込んだならば、内側から裂けるか、食らいつくされるかのどちらかだろう』 説明、してくれているのだろうか。意味は全く分からないが。 『しかし、お前の魂は、私を入れて、有り余る程の大きさを持っていた。魂がお前の肉体に収まりきらず、結晶として外部に現れる程に。』 はっと、胸の宝石を見下ろす。これが、容器から溢れ出した、魂の塊?肉体という器に入り切らず、こぼれだした魂のスープが、これだというのか? そして、魂の中に、悪魔が入ったと言うならば、青から赤に変化したこの色は、悪魔の色だ。悪魔は、この中に、魂の中に入っていたのだ。 『だが、お前の魂は、私を入れようとした時に、既に欠けていた。欠けたお前の魂は、少しずつその中身を漏れ出させていた。欠けた肉体が、魂の隙間となったのだ。 そして、私の魂が入れられた時。私の魂がその隙間から溢れ出ようとしたのだ。』 思い返す。最初に変化したのは、腕と、足の一部。どちらも誘拐した連中によって大きく傷つき、用途を失ってしまった部位だ。 『だが、その隙間は私が通れるほどの隙間ではなく。そして私自身も、奴らめの封印によって、お前を食い破る事ができないほどに押さえつけられていた。 危機感、焦燥感、様々な感情があったが、最も大きかったのは飢餓感だ。最も大きな魂の隙間――そう、お前の右腕から、私は食欲を満たそうと、溢れ出したのだろう。 そして、一通り欲求を満たした後、私は封印によって、殆どの意識を失っていた。』 『話を戻そう。お前の魂は今も欠けたままだ。そして、その欠けた部分を、私の魂で補っている。癒着した私の魂を剥ぎ取れば、お前は先程のように、立つことも、這うこともままならなくなるだろう』 それは、元に戻ったとは言えない。 「だけど、翼は……尻尾は、角は?これは、どうして、今の説明だと、隙間から、出ているの?これも、取れないの?」 矢継ぎ早に繰り出す言葉に、焦りが見えるのが自分でも分かる。どうしてだ。ここまで来て、どうして。そういう気持ちが、次々と溢れ出してくる。 『それは、お前の魂が内部の私の魂と同化し、変化し、それが肉体へ波及した物だ。それは、私の体ではない。既にお前の体となっている。 だから、私の魂を取り除いたとして、其の物は無くならん』 キン、と耳鳴りが鳴る。うるさいほどに、心臓の音が鳴っている。 私は、私の希望は何処へ行ったのだろうか? 体から力が抜け、崩れ落ちる。懐に忍ばせていたカードが、こぼれ落ちて、悪魔の持っていたカードと重なって、交わった。 だが、その時。私はまだ、既に引き返せない所まで来ている事に、気がついていなかった。 |
エアリス 「あっはは、さすがに頭からぱっくりいかれたら私だって無事じゃいられないよ。 それ以外の部分はまあ、最悪なんとかなると思うけど!」 俯く彼女を気遣うように、殊更明るい口調で。 「それじゃ、お言葉に甘えてちょっと見てみようかな? ちょっと失礼するよ。大丈夫、必要以上に触ったりなんかしないから……」 屈みこんで、胸の宝玉に対峙する。 それはどのような役割を持っているのか。 生物学的な視点から、魔法使いとしての視点から、それぞれ調べようとするだろう。 |
ロズ 「どこまで、強くなるんだろう、なれるんだろう。」 |
ロズ 「……強いのだと良いなあ。」 |
ロズ 「……強いのだと良いなあ。」 |
ロズ 「兎に角、前へ、前へ……。」 |
「………」 |
エアリス 「やあ、やあ。『わたし』を呼び出したのはきみかな。 ご期待に沿えるよう、できるだけ頑張って見せるよ」 |
デイ 「幽霊でもいいのなら、手を貸しましょう」 |
シーレ 「私は一人では何もできませんので」 |
ロズ 「使い方……まだ分からないけど、みんなを援護して、それで 」 ロズ 「……ええと。 」 ロズ 「……力いっぱい、やります。ちょっと周りごと、みんな傷つけちゃうかもしれないから、気をつけて……。」 |
○ | Pno43 あっちにいっぱいBUGいるんですって! [前 / 新 / 集] Eno43 モニア Eno259 ジョーカー Eno260 メイナード・ウォーカー Eno142 壊れたカメラ Eno14 闇 |
VS | Pno113 ロズPT [前 / 新 / 集] Eno113 ロズトア Eno14 闇 Eno80 エアリス・フローレンシア Eno117 デイ Eno57 シーレ |
× |
○ | Pno5 空気の行く先 [前 / 新 / 集] Eno5 アンノウン Eno286 ジェイイガ=ルノ=ダナン Eno4 ドリス=ドワイズ Eno44 氷の宰相 Eno368 イゼット・エヴェレン |
VS | Pno113 ロズPT [前 / 新 / 集] Eno113 ロズトア Eno14 闇 Eno80 エアリス・フローレンシア Eno117 デイ Eno57 シーレ |
× |
× | Pno2 Achenbash's [前 / 新 / 集] Eno2 スレイン・F・アッヘンバッハ Eno45 アマリア Eno122 無貌の魔女 Eno136 李紫涵 Eno1 シャラヴィス |
VS | Pno113 ロズPT [前 / 新 / 集] Eno113 ロズトア Eno14 闇 Eno80 エアリス・フローレンシア Eno117 デイ Eno57 シーレ |
○ |
ロズ 「わたしは前に進む。何があるか分からないけど、前に進むって決めたから。」 |
「………」 |
誰にも知覚されない死角── もしかすると、彼女が『いるかもしれない』場所に、 幻術士は、音もなく現れていた。 ■■■■ 「こんにちは、こんばんは。 始めまして、お久しぶり。 教えてくれるかい、わたしの名前を」 |
ロズ 「私は前に進むの、だから……!」 |
「………」 |
エアリス
「きみが、わたしを止めるというのなら。 その『意志』、しっかりと示して欲しいんだ。」 |
デイ 「さぁさぁ……どちらがBUGか答え合わせといきましょう」 |
シーレ 「……」 |
クラヴィス 「どうか 前に進むことを許してください」 |
「………」 |
ケートゥ
(姉さん……) |
ラー 「開拓の時間だ、そこを退いてもらうぞ」 |
まりあ 「さぁ、開拓を始めるわよ!」 |
まりあ 「黒の刃は無限に舞い踊る!」 |
漆黒の瘴気が身体を覆う! |
エアリス 「清濁飲み込んで世界はなお綺麗だ」 |
エアリス 「見えるかい聞こえるかい感じるかい人々の息遣いを」 |
エアリス 「予想外のハプニングが、君たちを待ち受けているよ」 |
エアリス 「どうして、今それを行う必要があるだろう?」 |
エアリス 「多少は消費を軽減してくれるはずだよ」 |
ラー 「『其の叡智は数多を拓く』」 |
ラー 「『無明の幕開け』」 |
ラー 「『踊れ神煌、我が同胞を心躍らせるべく――』」 |
ラー 「廻れ神煌、我が具現よ。天に座す光忌の力、思い知れ――――」 |
ラー 「『照らせ星光、闇夜進みし旅人の道標と成れ』」 |
ラー 「『照らせ星光、闇夜進みし我の道標と成れ』」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
「………」 |
ロズPT Chain | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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BUG Chain |
エアリス
「あ、戦闘を始める前に……ちょっと待ってほしい」 バックパックから怪しげな錠剤を取り出す──! |
エアリス
「ごめんね、痛いかな。すぐに終わるからね」 |
ケートゥ 「……つ……っ!」 |
エアリス
「……あは、可愛いねぇ」 |
ケートゥ 「……この程度……っ!」 |
ケートゥ 「……つ……っ!」 |
エアリス
「カードの力が上手く引き出せない……こんな時に」 |
エアリス 「かつてより成長したって本当に言えるのかい?」 |
「………」 |
「………」 |
ロズ 「……えっ?」 |
「………」 |
エアリス 「あの時を境に時間は止まってしまったんだ」 |
クラヴィス 「諦めないでください、まだ道があります!あなたが作るのです!」 |
ロズPT Chain 列命傷冥闇Lv4(1) 全活気Lv4(2) 治癒活気Lv4(3) 列殺傷冥闇Lv3(4) 列命傷冥闇Lv6(5) 遠傷痕冥闇Lv5(6) 自傷冥闇Lv4(7) 列治癒活気Lv4(8) 列自傷冥闇Lv5(9) 列傷冥闇Lv7(10) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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BUG Chain ?(1) ?(2) ?(3) ?(4) ?(5) ?(6) ?(7) ?(8) |
クラヴィス 「厳しいですね…」 |
ケートゥ 「まだまだこれからだよ」 |
エアリス 「あてずっぽうよりはマシだね?」 |
まりあ 「会心の一撃!」 |
まりあ 「会心の一撃!」 |
デイ 「あたた……勘弁して欲しいわぁ」 |
デイ 「痛ぁっ!?」 |
ロズ 「行くよ……。」 |
このカットインはいもさん(Eno.106はぴこさんPL)から頂きました ありがとうございます!
It`s show time! |
「………」 |
きみの血は、何色なのだろうね。 |
デイ 「まずは軽くね」 |
ロズ 「ありがとう……。」 |
「………」 |
エアリス
「……ほんとは私にそこまでする必要なんて、ないのさ」 |
シーレ 「……。」 |
ロズ 「あ。」 |
まりあ 「ドゥブッハァ!」 |
「………」 |
6'th chain!! |
クラヴィス 「これは…きついです」 |
クラヴィス 「これは…きついです」 |
デイ 「幸運の七つ目ね」 |
デイ 「あらぁ……これが苦手なのね」 |
クラヴィス 「これは…きついです」 |
デイ 「ははぁ……いい音したわね?」 |
デイ 「あたた……勘弁して欲しいわぁ」 |
シーレ 「jurisprudenz.」 |
ロズ 「ありがとう……。」 |
ロズ 「ありがとう……。」 |
「………」 |
「………」 |
エアリス
「すごいね、まるで回復されてるみたいだよ!」 |
エアリス
「……ほんとは私にそこまでする必要なんて、ないのさ」 |
「………」 |
ロズ 「あ。」 |
「………」 |
「………」 |
Over drive!! |
デイ 「さぁもっと怯えて!もっと魅せて頂戴!!」 |
シーレ 「weisheit.」 |
ロズ 「あ。」 |