日記一覧(E-No101〜200)

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E-No111 神矢 進十郎
……

「で、何ですって? カレイ……」
「カレイディア、って言ってましたよ、たしか」
「……さあねえ」

若い女性看護士を見つめ、中年の婦長は少しだけ考えるようにすると、やがて小さく首を横に振った。

「フィリピンあたりの島の名前かしら、私は聞いたことないけれど」
「ですよね……私もそうかなあ、って… 進軍がどうとか、兵隊がどうとかってしょっちゅう口にするから、そういう……昔のことを思い出して夢に見ているのかなあ、と思って」
「意識はどうなの」
「それはまだ… でも昨日はなんか手を伸ばして、何か書きたがっていたようで… それでペンを」
「ペンを?」

婦長の目が鋭くなった。

「ペンを渡したの?」
「あっ、いえ、筆ペンですけど……すみません」
「気をつけてね。 何もなかったからいいけど…」
「はい。 …結局、なんかよく読めない、文字かどうかもわからない感じでぐにゃぐにゃー、って」
「当然でしょう、意識はないんだから」
「でも、いつもははっきりとつぶやくんですよ」

そういって、若い看護士は小脇に抱えた一冊のノートを差し出した。

「きっちりと決まった時間に、しっかりした口調で。 まるで日記を書いてるみたいに」

それを取り上げぱらぱらとめくる婦長の目が次第に細くなっていった。

「あなたが書き取ったの?」
「はい。 私速記の資格もあるので…あっ、もちろん先生にはもう報告済みです。 珍しいケースだけど、まあないとは言えないだろうって…」
「……戦争、ねえ」
「そうです、何だか戦争の夢を見てるみたいで… そのカレイディアっていうところの」

しばらくの無言のあと、なんかかわいそうですよね、と看護士は続けた。

「こんなになってからも、すごく辛いことの夢を見て。 どうせだったらもっと楽しい夢を見れればよかったのに」

定時巡回行って来ます、と言い残し、看護士は部屋を後にした。 ひとり残った婦長はノートを閉じ、深くため息をつくと、やがて静かに立ち上がった。

「ほんとうにそうかしら。 『すごく辛いことの夢』なのかしら、ね」

部屋を出るとき小さくつぶやいたその言葉は、誰の耳にも届くことなく、ただ空気にまぎれて消えていった。

……
……

「で、何ですって? カレイ……」
「カレイディア、って言ってましたよ、たしか」
「……さあねえ」

若い女性看護士を見つめ、中年の婦長は少しだけ考えるように…

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E-No127 グラハム・タピア
いつも通り、この世界は闇に包まれていた。
「……?」
ごろごろしていた僕の隣で同じようにごろごろしていたライズはふと顔を上げた。
それに合わせて細長い布ーー包帯、というものがはらりとずれ落ちた。この間王様に面白がって着せられたもので、何でも何かの仮装らしい。皆でこうやって仮装して、騒ぐ祭りなのだと聞いた。
僕たちの世界には祭りと呼ばれるものは無い。
皆で集まるというのは何だか不思議な感じがした。

「……ライズ?」
「グラハム」
ライズはずっと、空ばかりを見つめている。
その目には不思議そうな感情ばかりでなく、恐れや畏怖といったものも少なからず見て取れた。
「どうかしたのかい」
そこで初めてこちらの存在に気づいたかのように、弾かれるようにしてライズはこちらを見た。
「グラハム、あのね、あの」
ライズは言いにくそうにそわそわしている。
僕はその意図がいまいち掴めずに首を傾げた。
「……どうしたんだい、一体」

「そ、空が……ううん、闇がおかしいんだよ」
それを聞いてはっとする。
いつも隠してあった右腕の紋章を思い返すと、ここ近く激しい痛みも無く、まるでそのものが無いような錯覚さえ覚える。
ーー彼に、何かあったのではないのか。
人の表情を読むことに聡いライズは僕の顔から何かを悟ったようであった。
「グラハム……」
「……何でもないよ」

そう言うのが限界だった。
いつも通り、この世界は闇に包まれていた。
「……?」
ごろごろしていた僕の隣で同じようにごろごろしていたライズはふと顔を上げた。
それに合わせて細長い布ーー包帯、というものがはらりと…

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E-No142 マスク・ド・ソード
HENTAIは褒め言葉だ。
E-No151 銀獅子
(彼女の日記帳)
懺悔者の道の所所には昔の名残を僅かに留める様に、寂しい雨粒に似た形で私の半分程の背丈に築かれた積み石が在る。
其れには何の標しも看板も無く、はて此れは此の祭祀殿で何がしか偉業が為遂げられた記念であるのか、或いは神を崇めるのか死者を偲ぶのか、それとも実は矢張り単なる道標であるのか。最初から何処か不恰好な上にエトランジェらの戦いに巻き込まれ打ち倒され崩おれた物も多い。きっと過去に昼の在った時には、これらは何も語らず、押し黙りながら奇妙な形の影を地面へと落としていたのだろう。
私が戦場に出る前、動物園から移った北海基地を思い出す。島国のいやはてと、其処からほんの僅かに千切れた様な小さな島。岩と言われるような雨粒に似た形の島には昔は修道院が建てられていて、今は其の跡に基地が建っている。切り立った崖の下にはかつて僧侶達が暮らしていた石積みの小屋が残り、懺悔者の道の積み石を見る毎に私は島と小屋の、どちらも見た気になるのだ。
死者を回向するのに石を積む事は、東に多い。私が石を積む時は建設のためであり、基地を造るためであり小屋を建てるためだ。
歪んだ地膚には乾いた秋風がけだるく吹き抜けた。
寓意的な紋様にも見える其れをソムナンビュリストは踏みつけ、崩おればらばらになった小石を見下ろして薄く笑う。
回向のためでも建設のためでも、自分が石を積む時は、どうか、銀獅子、壊して欲しい。いつも後一歩の処で突き崩して欲しい。完成して、終わってしまうことの無いように―――と。

――――――――――

(彼女の走り書き)
菓子より悪戯。(性的な意味で)(ただしソムナンビュリストに限る)
(彼女の日記帳)
懺悔者の道の所所には昔の名残を僅かに留める様に、寂しい雨粒に似た形で私の半分程の背丈に築かれた積み石が在る。
其れには何の標しも看板も無く、はて此れは此の祭祀殿で何がしか…

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E-No169 オリヴィア・シャムウェイ
通帳がやってきた。
これで荷物欄に悩む必要が無くなった!

(((∈(*・ω・)∋<まーしゃるさーん、マセキマセキ!


              こっちくんな!>(゜Д゜)
E-No175 新世界 群鮫
あさがさむいぞ
E-No191 レイ=ファート
先週の訓練記録・星図魔法スキル修練

『今週から訓練開始です。まずは星図魔法。といっても、いきなり使うなど無理な話。
書物を読んでしっかりと基礎を学んでください』

魔法を学ぶのはいいけどさー。なんで星図魔法なのよ。
幻創魔法とか精霊魔法の方がカッコいいじゃない?

『カッコよさで生存のための技術を選ぶのはどうかと思いますが……。
もちろん、いくつか理由があります。
まず第一に、星図魔法がもっとも自然的な力を用いた魔法であるらしいこと。
ミーティアさんからの聞きかじりですから正確な理解か確証が持てませんが、
幻創魔法は、魔力を用いて自らのイメージを物質化・具象化する魔法、
精霊魔法は、魔力を用いて自らのイメージ通りに物質を変質させる魔法、ということですね?』

昔、サチさんが嬉々として話してたことだとそういうことになると思うわよ。自信ないけど。

『その前提で話を進めます。
この2種類の魔法に共通するのは、魔力を介して自らのイメージを外界に現出させる点
つまり、イメージを現出させるだけの「魔力」が存在しなければ本来の威力が出せないわけです』

はぁ。

『それに対し、星図魔法は天の星々の力を借りて攻撃する魔法だと聞いています。
星の力を加工する工程には自らの魔力を使うのでしょうが、威力の大部分は星の力を借りる。すなわち、威力に対し魔力の量や存在が影響する幅が最も狭いと思われます。
また、星という自然的な力が力源ですから、おそらく星のある場所ならば使用することが可能でしょう。カレイディアの魔力でなければ使えない、ということはないのだと思います。
様々な場所を旅されるのであれば、ある程度の威力を汎用的に確保できそうな星図魔法の方がミーティアさんに向いていると思われます』

建物の中とか昼間はどうするのよ?

『星の力が建物ごときに遮れますか。そして、夜間でなくとも星は存在しますし、光を放っています』

嘘!見えないのよ?

『他の光が強すぎるだけです。むしろ星が毎晩消えたり復活したりする方が驚きでしょう?』

それは…たしかに……。

『話を続けますよ。第二、星の力を借りるってカッコいいじゃないですか』

カッコ良さで技術選ぶなっていったのは誰よ。

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ねー。レイー、あんたも少しは魔法を覚えなさいよー。

『不要です。私は魔法の技術がなくともマナを操作できますから』

マナ?

『カレイディアでいう幻素や魔力みたいなものですよ』

ふーん。
でも、マナってのが操作できても幻素の操作ができるとは限らないじゃん。

『それは……たしかにそうですが……』

もし使えないとしたら、わたしと体を共有してるときはいいけどさ、自分の体取り戻した後に基礎が無いと困るでしょ?せっかくの魔法戦技が使えなくなっちゃわない?

『う……』

分かったでしょ。ちゃんと初等学校用の教科書用意しといたから。
はい、そうと決まったら交替、交替。

『わ、分かりましたよ……』

『あー疲っかれたー。わたし寝てるからさぼっちゃだめよー』

はいはい。

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『ちょっと、レイ。そろそろ交替・・・』

いえ、もう少し……なるほど、どの魔法も力の素は同じ……。
重要なのは照射、収束、圧縮、拡散……力を操る技術面なわけですか……。

『・・・』

ふぅ。星図魔法は中々面白いですね。

『そうねー。じゃあ、わたしもそろそろ勉強したいんだけど』

いえ、もう少しだけ。

『・・・・・・要らないこと言うんじゃなかったわ』

(二人とも、星図魔法の使い方について基礎的な知識を学びました)
先週の訓練記録・星図魔法スキル修練

『今週から訓練開始です。まずは星図魔法。といっても、いきなり使うなど無理な話。
書物を読んでしっかりと基礎を学んでください』



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E-No192 ヒノト・カグラ
あー、ひさびさにぶっとんだわ。
こわいこわい。
やっぱ引きこもっとくのが一番だな。
E-No196 フォントゥーハ=ヤクートノ=オバサナーノ
第46週

この地域がすんだら、作戦を中止し撤退すると発表された
私達は元の世界に戻ることになるけど、この世界はどうなるのかしら

所詮私達はこの世界にとって外野の人間だけど、こんなに長い間いると現地の人や場所に情ももってしまう

召還士のお嬢ちゃんや、司書さんの残した想いを考えると、この世界を救いたいと、本心でそう思う
このまま私達だけが元の世界に帰っても何も救われない

私になにができるだろう
第46週

この地域がすんだら、作戦を中止し撤退すると発表された
私達は元の世界に戻ることになるけど、この世界はどうなるのかしら

所詮私達はこの世界にとって外野の人間だ…

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