Infomation | ||
|
||
Diary | ||
例の王様に「女の体の時は相応の声になるよう召喚士の彼女に頼んでみる」などと言ってしまった。 その時の彼の夢の欠片はもの凄いピンク色をしていて、ああきっと幸せなことを考えているんだろうなと思った。 しかし半分本気、半分口約束くらいのつもりで口走ってしまったのだ。あまり召喚士に用事の無い僕はコンファイン――依代を変える時以外は彼女に会うことはない。おねだり、なんてあまり柄じゃないし。 しばらくコンファインの予定もなかった筈なのだが、最近トラックの後ろに牽引されることとなった家庭菜園を眺めている時に後ろから声をかけられる。 「お前さんそろそろ召喚士の姉ちゃんにコンファインしてもらいな」 「運転手さん」 このトラックの運転手――佐川さんだ。 トラックという乗り物を運転する技術に長けた人だけど、家庭菜園のスペースを作ったり色々やっている。目下トラックの中で安全に火を使うことに頭を悩ませているらしい。 トラックについて、詳しいことは僕には良く分からないけど。 「今、コンファインをするのかい」 「じゃないとこれ以上強くならんよ」 どうやらそういうことらしい。 僕はコンファインは新しい力を取得する為のものと考えていたけどどうやら違う考え方もあるのか。 強くならないのは――困る。そうでないと無事に戦火を潜り抜けることが出来ない。その後に色々楽しみがあるというのに。 「そうだね。そうするよ」 色々都合がいい。 彼は僕の隣に立つと菜園を眺めた。平原から持ってきた土が入れてあるだけでまだ何も植わっていない。 青髪の少女や魔女見習いの少女は何か植えるものを探すとか言っていた。 「何か植えるのか?」 「植えたいけど何も無いからね。僕も探しにいかなくちゃ、」 「おいトラック野郎、てめー俺は板金屋じゃねえっつったろ! 耐熱容器ってどんぐらいのデカさで作ればいーんだよ!」 駄目だろうね――と続く筈だったが、隻眼の青年の大声にかき消されてしまった。隣に立つ彼はうるさそうにそちらを見て、もう行くわなと小さく告げてから歩き出す。 折角なので僕も召喚士の彼女にお伺いを立ててみることにした。 ***** 「ふうん……依代を女性にすれば可能なんじゃないかしら」 「そういうものかい」 事の顛末を灰色の髪を持つ少女に話すと、あっさりとした回答が帰ってきた。 今まで僕はあまり依代のことを気にかけたことはなかった。依代が何であれ、僕が僕であることに変わりは無かった。 「その場合、貴方が女性になるということは依代と近くなるということでしょう。貴方が話すんじゃなくて依代を介して話すことを意識すればいいわ」 「難しいね」 「慣れたら簡単よ。依代の意識と共生している子だっているのだから」 ふと、守護天使の少女を思い出した。確かにそちらの方が大変かもしれない。 首尾良くコンファインしてもらうと、少しだけ伸びしろが増えたと少女に教えて貰った。これでまだ強くなれる、のかもしれない。 少しだけ意識して、女性の声が出るように話してみる。 「あー……んん? どうかな? ちゃんと出来ているかい」 「ええ。ただ」 す、と少女は僕の体を指さす。つられて見ると凹凸のない体。心なしか目線も高い。どうやらコンファインした時に性別が男性に傾いたらしい。 折角コンファインしたのにこれだと王様への説明がややこしくなりそうだった。 まあ、男性でも体格が良い訳ではないのだけど。 「まあいいよ。ありがとう」 僕の言葉に少し目を細めると少女は空を見た。広大な草原なのに空は相変わらず闇に包まれている。 暗い闇。 「……気をつけなさい」 闇を見上げたまま少女は静かに言った。 「貴方への視線を感じるわ。見張っているような」 こちらを向いた少女の顔にはいつものように妖しげな笑みが浮かんでいた。 静かに闇を見上げた。 彼はずっと見ていたのだ。 「……そう」 お礼を言って少女の元を離れ、トラックが止まっている所まで戻る。 その途中、右腕に激痛が走った。 「!」 手袋の下の皮膚が焼けるような痛みを感じて、思わず右腕を押さえて雲の上に踞る。 戦いで吹き飛ばされたり斬りつけられたりした時はそれほど感じないのに、まるで臓腑がひっくり返るようだ。。 「う……」 痛みを堪えて右の手袋を外すと、別段血が出ている訳でもなかった。ただ、手首から肘にかけて黒い刺青のような痣が現れているだけ。 ――黒い、十字架のような刺青。 はっとして空を見上げると、常に変わらない闇がそこにあった。 僕は闇が苦手だった。嫌い、とはまた違う。しかし厭であったのは確かで、僕はいつもそれから逃げる術を探していた。 ここに来たときは、少しでもあの手から逃げることが出来たと思ったのだ。異なる世界までは追ってくることは出来ないと。 だが、違う。闇はどの世界にも等しくて、故に彼の前では世界の壁など無い。 見つけられてしまった―― やはり、僕は夜の眷族からも闇そのものからも逃げることは許されないのだ。 |
||
今回の滞在 | ||||||
|
||||||
Message(Personal) | ||||||||
|
||||||||
Message(Linkage) | ||
|
||
Market | ||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||
Ability Setting | ||
|
||
Item Setting | ||||||||||||
|
||||||||||||
Skill Setting | ||
|
||
Schedule | ||
|
||
Lvup | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レベルアップしました
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
攻略の時間になりました!! | ||||||||
|
||||||||