皆様、御疲れ様でした。このコミュニティ、途中でネタが尽きてしまいまして……。今考えれば、以前（六命）に言った話、もう一度しても良かったのかもしれません。もう少し体調が良ければ、色々と書いていられましたね。

途中から段段と上手く話ができなくなり、申し訳無い事頻り。気軽に資料を集める事もかなわなくなりましたからねえ……。
何度も『体調不良』で休んでしまって。
ああ、愚痴だけではなんですね。いけない。有終の美といいますから、ちゃんと綺麗に終わらせたいと思います。

なので、本日は話を長く。物語の最後はあっさりと締める方が好きなのですが、何分、聞きたがりの語りたがりですから。御免下さい。

前回御話した通り……。僕の手持ちで好きな本を幾つか御紹介致します。そうですね、小説ならあらすじくらいは御紹介しましょうか。（※中の人の好みを出しています。御了承下さい。）

そうですね、まずは小説を五本程に絞って。……このコミュニティで使用した文献類は、小説の後にオススメ本として御紹介致します。

1冊目　『書物狩人』シリーズ（赤城毅/講談社）

……一番最後に持って来るか、最初に持って来るか、悩みました。
一見、このコミュニティにとって敵のようなタイトルかもしれませんが、実はそうではありません。寧ろ、最も相応しいともいえます。

主人公はル・シャスール……仏蘭西語で『狩人』と名乗る銀髪の男。東洋人のようだと思われるというだけで、正体は不明です。表の顔は多種多様。この物語は、彼の持つ裏の素顔、書物狩人という顔にスポットを当てて進みます。

書物狩人というのは、一冊だけで世界状勢を揺るがしかねない内容を孕んだ本を、合法非合法を問わず入手する職業。例えば、ただいま世界に満ち溢れている聖書に異を唱え、かつ正当性のある書物があるとしたら？　これは大変な事になるでしょうね。

ここまで言うと、『なんだ本にまつわる話でも、書物狩人は本の敵じゃないか！？』と思われるでしょう。いかにも書物狩人は本の敵に見えますが……。彼等、いいえ、ル・シャスールの手元で愛される本は、しあわせなのだろうと思いますよ。僕はね。

九割の真実と一割の虚構を用いた緻密な物語は魅力的ですよ。作者の博識と、ストーリーの手腕には舌を巻くばかりです。
また、巻末には毎回使用した主な資料も掲載されております。

御気に召しましたら、『天皇の代理人』（角川春樹事務所より）もどうぞ。こちらは本の話ではありませんが。

これ、予想外に長くなりそうですね。

2冊目 『あやし』（宮部みゆき/角川文庫）

宮部みゆきは今や知らない者は居ないだろうという程の、大作家ですね。冒険からミステリーまで幅広く手がけています。
その中でも一際心に来るのは、時代物だと……これは個人の趣向性ですが、そう思います。人情ものも怪奇譚もこなしますよ。

さて時代小説から選別に悩みましたが、人情物ではなくホラーである『あやし』を選ばせてもらいました。
時代ホラーの中には三島屋シリーズもあるのですが、『あやし』は主人公を一人に絞ったものではない、短編集です。

2話目「影牢」では、一風変わった始まり方を致します。

『はい、左様でございます。六間堀町の蝋問屋、岡田屋の一番番頭を務めておりました松五郎とは、手前のことでございます。――』

この語り口は、松五郎が磯部という与力（警部のようなものと思って下さい）に話をする格好で始まり、そして終わります。
話は岡田屋の事――設えられた、座敷牢へと――移っていくのです。
じっとりとした嫌な空気、這うような気配。それらを巧みに描き、最後にはアッと思わせる。

宮部みゆきの描く時代小説には、因果なものが多く思えます。
因果は、良くもあれば悪くもある。
彼女の作品は少年少女が成長や奮闘していくストーリーを思わせますが、時代短編では後味の悪いものも結構あります。
しとしとと嫌な雨の降る日に読んでみて下さいませ。

......すみません......。大分紹介する本が多くなってしまって。
こちらで続きを掲載しています。とても長くなっていますので......失礼します......。

http://ginkgo.versus.jp/ikki-hon-69.html