あるいは、掠奪や侵略を目的とした方々であれば、そういう目的で再訪することもあるでしょうね。これまで城内を歩いただけでも、あちらこちらで掠奪の痕跡が見て取れました。

調度品のひとつも持って帰れば、いくらかの食事は約束されましょう。国が倒れるか叛乱が鎮められるか、混乱の後に充分な食糧が約束されるとは考えづらくありますが。
……スチュアート、あなたが何を目的としてこの騒動に乗じているのか、お聞きしても？

世間話の場にふさわしい話を楽しめるのは、そういった環境で過ごしてきた者だけでしょう。私も恵まれない境遇だったとは言いませんが、愉快な話は提供できませんし、そのような話をされても共感もできない自信がございます。

失礼を承知で申し上げますと、そこに不愉快な話以外にないのであれば、私がお聞きしたいのはまさにその不愉快な話なのです。……それを聞いて愉快な思いをするということもありませんが。
私は私のいた世界の亞人しか知りませんし、私が体験として知るのは私の境遇のそれだけです。知らぬものへの関心を持つのは不自然なことでしょうか？

お父さんからは、ちゃんと客観的に物事を考えるように言われていたのにっ。
あたしもまだまだです……。

スチュアートさんは、そこまで考古学に興味があるんですか？
確かに、面白い話はありそうですけど……でも、他の世界に行くのも、
同じくらい面白い気がしますし。
未知の土地、未知の道具とか、出会いは沢山ですよね。

エンブリオがちょっと危ないものだってわかったら、この世界の人達はこれから
どうするんでしょう……。
エンブリオがないと暮らしていけないこともあるのなら、仕方なく今まで通りに
するんでしょうかね。
だから、代替案を考えておかないと危ないって言ってたのにー。

……じゃあ、お互い様ってことで。な。

ああッ　そう気にすんなっての！
別にひどかねえし、大丈夫だからよ……！

……友達も一緒に追放されたのか。
メルンテーゼに？ はぐれたってことか？

ああ……俺も尻尾はドアに挟みまくったなあ。
手も、姿が変わっちまってからしばらくはモノ掴むことすら大変でさ……
そうか、スチュアートも。

……大変だったよな。

……！

まあな、お前や他の友人たちが居て、
触れあってくれることは嬉しいし、今の生活も受け入れつつあるけど……

それはそれとして、まだ辛いことはあるもんな。

……その通りだ。ありがとう、スチュアート。

ああ、そういう考え方もあるのか。
確かに、そう捉えれば、心根を強く持てる気がするな。
スチュアートは頭のキレるヤツだなあ。
なんつーか、歳の割に大人びてる、みたいな……

そういえば今更だけど、スチュアート、
お前いくつなんだ。

……”ヒノモトノクニ”トイウ世界ヲ、りんがーはっと君ハゴ存ジデショウカ？

アヤハ……私ノ妻ハソコノ世界デ生マレ育ッタト言ッテイマシタ。
モシモ元ノ世界ヘ戻ルコトガアッタラ……。

……モシモ私ガ力尽キタナラ……。

アヤノ形見ノコノループタイヲ、私ノ代ワリニアヤノ故郷ヘ持ッテイッテ下サイマスカ？

アヤノ痕跡ハ、コレシカナイカラ……。
セメテ、コレダケデモ、元ノ世界ニ戻シテハクレマセンカ？

……フフ、マッタクモッテ非科学的デスネ？
自分デモ馬鹿ゲテイルトハ思ウノデスガ、ソレデモ……。

……。

『小生たちはかつのです！！
かって、そして――
ぜったい、みんなそろってさきにすすむのです！』

ヨーレ王？！　パラダイスの姿は…
どうして…　どうしてこんなことに気付けなかったのかしら…　

ううん。今はそんなことより…　

2人とも、気をつけて！　

……今は落ち着いているみたいだけど……。

こうなれば、存分に愉しませていただこう。