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そんなほのぼのとした受け答えをしながらも、無表情で大鎌を構えます。

放たれた矢を次々に大鎌で叩き落としていきますが、
矢が爆ぜる度にみるみる刃は欠けてゆき、やがて刃の中程から砕け散ります。

攻撃を防ぐ手立ての無くなった少女の身体が異形の矢の直撃を受け、
さらに追い打ちをかけるように次々に着弾し、周囲が爆轟に包まれます。


　+ + +


やがて、風が土煙を晴らしてゆきます。
その爆心地のあたりで、白い少女は相変わらず浮遊しているのでした。
服こそボロボロに千切れ、その意味をほとんど成していないものの、
身体には傷一つなく、手にした大鎌は刃こぼれ一つありません。

彼女がゆっくりと手をかざすと、あの数多の蝙蝠を射ち抜いた黒い矢が再び放たれます。
しかし、今回放たれたのは二本だけ。
ですが、その照準は恐ろしく精確で、それぞれ小さな魔女の頭と胸を目掛けて突き進みます。

後日、二人がすれ違いにグリゴリを診に行くとはこの時は思ってもみないことだった。

食べ物なら当然に?　と考えて

安心です、と

日が陰り始めた午後。
手配書が剥がされ、もう本来なら姿を隠す必要もないはずなのだが
レグルスはまだフードつきの上着を好んで使用していた。

簡素な日除けの屋根が張られた軽食屋の店先に
見知った顔を見つけ、静かに近づくと
大きな音を立てて向かいの椅子を引く。
正面の席の相手の顔を覗きこんで、どっかりとその椅子に座った。

相手の反応も待たずに辺りを見回す。メニューが視界に入った。

ミハイユが慌てる様子を見せるので、少し怪訝そうな顔をする。
しかしそのままでも問題ないと判断したのか、何も言わないまま服を着るのを待つ。
それからすぐに宿を出た。


そんなこんなで出てきたのは、ごくありふれた街並み。
路地裏での出来事など誰も知らないかのように、穏やかな時間が流れている。
一度脚を止めて、ミハイユに向き直る。

出来ないなら出来ないで地道に探すまで。
だが出来るならば任せた方が効率がいい。

どきまぎしながら恐る恐る肩に手を伸ばして軽く触れる

とある宿のとある一室。

そこで自らが眠らせた魔女に会うために女はやってきた。

小さな金属音を立てて、鍵が回る。

軋む音を鳴らしながら、ゆっくりと扉が開いた。