Halshuggning -11-

『君は現状に望んで身を置いているのと同じだから』

『窓はいつだって開いている。だれもあんたなんかに鍵をかけない』

『望んだもの全て手に入るわけじゃないけど、望まなければなにも手に入らないともいうぜ』

『逃げられないたくさんの理由があって、仕方なくここに居るのなら、僕それはとてもよくない事だと思う』


これまでに投げつけられた幾つもの言葉たち。
それは、きっと、親切心から出たものなのだろう。
幸せだ、と思う。
彼らは幸せだ、自由というものを一度でも知っていなければこんな事なんて言えない。
彼らは知らないのだ、その幸せの下に幾つもの不幸が埋まっていることを。
踏みつけられるその下で、生きている者達がいることを。


この手を、足を、そして魂を縛る鎖の重み。
それをわかって欲しいだなんて思ってはいない。
だから、『こうすれば外れるだろう』だなんて、希望を見せるな。
どうせその手で外しはしない。
触れてしまえば、巻き添えになるのだから。


誰も不幸になりたいだなんて思わないだろう。
だから、その鍵が壊れることはない。

幸せの青い鳥は、籠の中で死ぬんだ。

ちょっとこわい。

そういうものじゃないんでしょうか？と不思議そうに。

棺が揺れている。

座ったまま、机に向かっていた身体をクリストファーの方へ向け。
ジュリ、という言葉にぴくりと眉をはねさせる。

言いながら立ち上がり、まっすぐにクリストファーの――扉の方へと歩き出す。
クリストファーの手前で立ち止まることはせず、そのまま廊下へ出ようと脇をすり抜けようとする。
止められなければ、そのまま樹里の部屋へと向かっていくだろう。

　

　

　
ため息をひとつ、「我慢してあげて」と諭すクリスティーナに視線を落とす。

　
同情などバカらしい。と言いたげに頬を擦る。
気のない心配をひとつ投げて、後を歩く。

　
人形にそう、声を返して肩をゆする。

　

　

　

そっと苦笑いを零した。

弾き上げられたコインを注視する…と同時に、ほんの少し息を止めかかとを上げる。
ピリリと空気が張り詰め、緊張しているのだということは分かるだろう。

―― 表を示したそれを、ただジッと見ていた。

真剣な面持ちで、クリストファーの言葉をきく

カタリナは、腰にさげていた袋から、粉末の薬を選んで

粉末の入った小さな瓶を、クリストファーが受け取れば
その手を強くにぎり

あなたが立ち去った後、ふと、名前に気づく

その名前を、どこかで、見たような…