………………。

……雨が降るとは聞いていたけれど、まさか、こんな早く降り出すなんて。

……今日も、当てることが出来なかった。

ここに来て、一か月――。始めて、もう半年――。

……早く帰って、身体を温めよう。

あ……、

おかえり、ナル。

あーあーずぶ濡れじゃねーかよー。
ホラ、さっさと屋敷に戻って温かいモンでも飲もうぜ？

あの……その、これは……、

あ、いや大丈夫服は透けてねーからッ！！
すこーし肌色っぽい服に見えるだけだからッ！！セーフセーフ！！

とっ、とりあえず着替えて来いよ！なっ？！
あ、いっそ風呂に入っちまうか？そっちのほうがいいな！あったまるし！！

その“飾り棚にかかっていた剣”は俺が戻しとくからさ！！

……どうした？ナル？

……気付いて、いたんですか。

え？……あ、あぁ。剣を持ちだしてたことか？
そりゃ流石になくなってることぐらいは気付くって！

最初は盗まれたって思ったけど次の日にはいつも戻ってきてたし、
あぁ、ナルが使っているんだなーって思うサ。

…………。

あ、いや、なんか隠してるみたいだったから、聞かなかった、んだけど……。

でもそれって剣の練習や、俺の代わりに<庭園>周辺の魔物退治に使ってたンだろ？
なら全然隠すことねェって！むしろそれこそ俺の仕事なのに、任せちまってホントゴメン！

…………。

でもルリアンナも変だよなァ。<庭園>の統治はナルに、守護は俺にって言ったけど、
どっちもナル一人で出来てるじゃねーか。俺は確かにラクだけどよ。

第一<庭園>だって平和そのものだし、いっそナルにも城攻めに参加してもらったほうがイイと思うぜ。マジで。

……さい。

あ、今度ナルのエンブリオ見せてくれよっ。
ずっとココにいるとはいえ最初にネクターをもらったんだし、何体かは契約してるだろ？
いや仲間にエンブリオの生態を調べてるヤツがいてよ、なるべく多くのエンブリオを――……

ナ、ル……？

……ったく、ルリアンナのヤツ。何がスーパーブレンドガールだ。
こんな肝心なこと、なんで教えてくれねーんだッつの。

………………。

……全部同じ、パンツだなァ。

………………。

……誰が誰のだか、間違えたりしねーのかな。

――つまり、この状態ッスと、
おじょーさまとレンツさんがケッコンするってことッス？

なっ！？

ななな、何を馬鹿な事を言っていますのっ！？

だ、第一、お互いの事を良く知ってもいませんのに…っ！

あ〜、それオイラ知ってるッスよ！

まずはお友達からってことッスね！

ちが〜〜う！

あら、私は心配ご無用ですわ。
それに、シロも伊達に私のお供をしているわけじゃあありませんわよ。

オイラ、力と速さには自信があるッスよ！

シロも戦えますの。魔法が効きにくい相手でもシロが相手できますわ。

……って、私たちの心配よりも、
貴方…自分自身の身を守る武器をまだ見つけていませんの？

別に心配するわけじゃあありませんけれど！
そんなので、敵に襲われたら危険なのは貴方じゃありませんこと？

武器が無いんじゃあ、格闘技になるッスけど…大丈夫なんスか？

何を言っているか分からないわねぇ？
（そしてほっぺたを離して再度言わせてから）

あらあら？　じゃあその人からしたらレンツはヒーローじゃない？
その人も惚れてしまうのかもしれないわねぇ（ぽつり

あら？　そう言う人達も裸だったのね？
どんな方たちだったのかしら？
でも部族って言う事には男女問わず、裸だったんでしょ
凄く眼福だったんじゃない？
（拗ねたようにほっぺたを捻りあげた

私についていって遊び歩くって結構ハードよ？
私の場合バーで夜まで飲んでいたりする事もあるから
レンツってばっ　そんなにお金ないでしょ（くすっと頬笑みつつ

（俯きつつ何かを押さえるように左右に顔を振りつつ）
いたらこういう所に入って戦っていると思うかしら（若干潤んだ瞳で見上げる）

天国だか地獄だかにいる両親ならそう嘆いているかもしれないわね

命の恩人だから好きねぇ……
そのうちその枕ことばが無くなると嬉しいわね

こんなにたくさんの世界があるのに珍しいこともあるのですね。精霊教会には1年ほどしか所属していませんが・・・。大会で頑張れるような実力はありませんでしたし、そのときは仕事をこなすだけで精一杯でしたから、あはは。

私自身は天使や神の存在は信じておりますけど、ほかの方にその考えを押し付けたいとまでは思いませんから・・・。ツールが教会であれ、魔術であれ、科学技術であれ人が幸せにしてくれる素敵なものですしね。教会としては人々の心の平穏を守っていければくらいでしょうか？　私はつい黙って見てられずに体が動いてしまいますが。

レアちゃんが言うような精神世界に直接行くというのは難しそうですけど、夢という現象を通じて体感することはできるようですね。ただ、その場合も夢を見ている本人の持つ記憶の影響を受けているので、千差万別の世界となるようですが・・・。それでも住んでいる天使や悪魔が共通というだけで十分なのかもしれません。私もそのうちゆっくり見てみたいなぁ。

失ったあとで後悔することがあっても、自分で選んだことならまだ許せるかな。とりあえず家と安定した身分は捨ててみたけど、私にとっては特に重要なものではなかったみたい。

自分は楽しいけど、果たして他人にとって楽しいのかな・・・。王国の図書館だのがあれば一番良かったんだけど、あまりこの国に期待はできそうにないみたい。強いて言えば・・・ついさっきの研究所が怪しいかも。

あのおっさん私と戦うときは既に満身創痍だった気がするけど・・・。確かにテティもテオのとこも、ロウも外の世界から来たみたいね。テティはお人好しだから本気で何とかしたいと思ってるんだろうけど・・・ほかの人はどうなんだろ。今まで気にしたことも無かった。

今度戦うときはもうちょっとまともに戦えるかもね。
強くなりたいってわけではないし、そっちの研究だの鍛錬にはあまり興味はないけど、邪魔するようなら蹴散らせるくらいにはならないと。

介錯ね。分かったわ。
・・・やるとすれば久々だから、痛くても御免なさいね？

・・・ああ、薬のほうね。何だ。
だったら王城前で一揆賛同者が集ってるのとは、別の酒場を当たりなさいな。阿片窟の一つ程度、この辺りでも在るでしょうし。

まあ、弄るのはさっきので暫く止めときましょ。マンネリって危険だしね・・・。恐怖には鮮度が有るって、えらいせんせいも仰っていたそうよ。

――私は、意思疎通を行えるような本格的な契約を結んでいないわ。
面倒だからと言うのも有るけれど・・・そう言った事を、やる気にはなれないの。
行使できる力の程度も、この前の大会で示したとおり。
貴方と同等か、それより少し劣る程度かしらね。

・・・代用して、戦い方に合わせるようにはしてあるけれど。
私の本来のやり方は、今のように白兵戦闘型ではないわ。
失ったものを取り戻すまでは、まだまだこのまま、かしらね・・・。

それにね、レンツ。
私が本式の契約を交わす者が居るとすれば、それはただ一体。
もう、決まっているのよ。ずっとずっと、前からね・・・。

――構えろ

うはぁ……ニョロニョロニョロニョロ蛇のおねーさんばっかじゃねーかよ。
俺としちゃぁ大歓迎だけど、ココは兵舎だろ？兵士はみんな喰われちまったのか？

城外の庭や森ならまだしも、城ン中までこうなんじゃ、
いよいよキナ臭くなってきたぜ……？

オレ、レッサー。イウ。

お手伝いしちゃうぞ☆

お手伝いしちゃうぞ☆

私に毒されてくれると聞いてっ！！

私に毒されてくれると聞いてっ！！

私に毒されてくれると聞いてっ！！

留まる理由もあるまい。進むぞ

周囲の安全を確認っ、後方からの追撃もナシッ！
そんじゃぁこの調子で、ガンガン進むぜーっ！！

あれ、は……？

どうした？

……んあ？もしかしてコレ、材料として使えんじゃねーの？
どれどれ……

こーれーで、よしっ！
はっはっはっ！上手いモンだろ？冒険者の嗜みってヤツだぜ！

では、始めるとしよう

――構えろ

ふっふっふ。脇腹を攻撃されることを覚悟されたしっ！

数に差もあるしまずは適当に技を振って変動のテストだな。
さてどうなっておることやら

また耳栓を配る作業が始まるお…

うーん・・・