○月　○△日

　ブラウニーさんと契約しました。

　なんだか楽しげな妖精さんです。

　ブラウニーさんは回復が得意みたいでした。

　ちょっと、煽り癖のある、にぎやかで騒がしい仲間がまた増えたのでした。

　あ、そうそう。
　今度から二回目の闘技大会が始まるみたいです。
　一回目は登録しはぐっちゃったけど、今回は皆と一緒に参加する事が出来ました！
　初戦がどうなるかちょっと不安だけど、精一杯頑張るよ！

　それと、新年だから揚羽ちゃんがお餅を焼いてくれて、皆で食べました。
　でもお餅を焼いてたら、知らない子達もやって来て、お餅のおすそ分けをしたよ。
　うーん、やっぱりお餅って珍しいんだよねきっと。
　私も始めて見た時はとっても驚いたもんね。
　揚羽ちゃんの世界の料理は、どれもとってもユニークで不思議がいっぱいです。




　──『彼女』と私は、親友だった。

　いや、今でも親友だ。
　少なくとも私は、今もそう思っている。

　『彼女』と出会ったのは、まだ私が随分と幼い頃……今も見た目は幼いとか、そういうツッコミはいらないよ。

　あの夜、バルコニーでぼんやりと星を眺めていた私の元に、光が落ちてきた。
　そのボールのような形をした丸く薄い膜に覆われたそれは、私の目の前でふわふわと漂いながら、暖かな光を放っていた。
　そんな不思議な物体に、警戒しなかったわけじゃない。
　けど、危機感よりも好奇心の方が、よっぽど刺激された。

　私はその光に手を伸ばし、私の手が膜にふれた瞬間だった。
　突然、球体は風船が割れるように破裂して、溢れ出すように目映い光がバルコニーを満たして、私の目は眩んだ。

　それから、私の視界が戻るまでになにがあったのかはわからない。
　けれど、再び目を向けたとき、目の前には小さな女の子が倒れていた。

　年の頃は当時の私よりも幼いくらいだったから、たぶん７〜８歳くらいだと思う。
　どこかで見たような姿の、エルフの女の子だった。

　それが『彼女』と私の出会いだ。
　こんなふうに突然現れたものだから、色々と騒ぎにもなったけど、『彼女』が『時渡り』と言われる特別な精霊の一人だと判ると、手厚くもてなされる事になった。

　『彼女』はいつでも城から出ていけるのに、私の側から離れようとはしなかった。
　だから自然と一緒に暮らすことになって、私たちは毎日のように一緒に遊んで、勉強して、イタズラをした。
　『彼女』がどうして私に懐いて、離れようとしなかったのかはわからない。
　けど、私にとって『彼女』は初めて出来た友達で、大切な妹だった。

　……そう、妹のようだったんだ。

　私が『彼女』を最初に見たとき、既視感を感じたのは当然だった。
　『彼女』は、私にとてもよく似ていたのだ。

　『彼女』を研究していた人たちは、それを精霊の擬態だと言っていた。
　精霊の中でも純粋な魔力体に近い『彼女』が、最初に会った私を参考に肉体を形成したのだろうって。

　そしてこれは、お兄ちゃんが調べて後で判った事なんだけど、『彼女』のように一定の肉体を持たない精霊は、近くの相手に影響を受けやすく、用意に姿形や性質が変化してしまうのだと言った。
　特に私と『彼女』は同じように時間に関わる特性を持っていて性質も近かったために、与える影響も非常に大きかったのだろう。
　それがあの日の事故の原因でもあったのだけど、判ったところで今更だった。

　……ともかく、姉妹のように似ていた私と『彼女』は、とても気があった。
　考える事も、欲しいものも、やりたい事もそっくりで、お兄ちゃんが好きなのも一緒だった。
　二人がかりでお兄ちゃんを困らせたこともたくさんある。
　それだけそっくりだったから、喧嘩をしたことも一度や二度じゃなかったけど、それでも私たちはとても仲がよかったんだ。



「ねえ、ティアには夢があるの？」

　『彼女』の何気ない質問に、私は首を傾げた。

「うーん……『　　　』にはなにかないの？」

　質問に質問で返すと、『彼女』も困ったように首をひねった。

「んー……よくわかんない」

　それもそうか、と思って私は頷いた。

「私はね、お母さんみたいな立派な女王になって、みんなが笑顔でいられる国を作るのが夢なんだ」

　私がそう話すと、『彼女』は興味深そうに言った。

「みんな笑ってるの？　楽しいの？」

　『彼女』の問いに私は力一杯頷いた。

「うんっ、たのしくて、幸せで、みんな笑顔なんだよ」

　私が夢を思い描いて言うと、『彼女』は瞳を輝かせた。

「すごいなぁー！　そしたらきっと、みんな喜んでくれるよね！」

　うんうん、と『彼女』も頷いて、私の手を握った。

「それじゃぁ、私の夢はティアの夢を叶える事にする！」

　『彼女』の言葉に、私は驚いた。

「えっ、いいの？　私の夢なんだよ？」

　私が問い返すと、『彼女』は嬉しそうに笑って言った。

「うんっ！　だって、とっても素敵だなって思ったんだもん！」

　――だから、一緒に夢を叶えようね！

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ぐんにゃりとのびる。モチのようにゆっくりと胴が伸び続けている。


一ｒｙ

　

　クロエは強気の表情でそう言い放った。

クールクール、煽られても全く乱れません