「なぁおい、聞いたか？」

「あぁ、聞いた聞いた。あの道具屋だ？」

「お山から嫁ば連れて帰ってきたんだと」

「あんの険しい山に一人で住んでた娘だってな」

「それだけじゃねぇ。すんげぇ別嬪さんだ。だども、肌は真っ白だしよぉ。髪の色もなんかオラ達と全然違ってた」

「まだ見たことねぇけど、それじゃあまるで」

「雪女じゃねぇかって皆言っとる」

「なぁおい、聞いたか？」

「あぁ、聞いた聞いた。あの道具屋だべ？」

「娘ば生まれたんだと」

「あんの雪女との間にだろ」

「そんだけじゃねぇ。嫁ゆずりの真っ白い肌で、髪の色も薄いんだと」

「猟師のやつらにゃ人気らしいじゃねーか。指を握ってもらったら獣に襲われねぇって」

「オラたちみてぇにお山にいかねぇ人間にとっちゃ、ただの薄気味悪い娘にしか見えねぇよ」

「祟られたりしねぇよなぁ……？」

　まじまじと見つめられると、帽子を被り直して気恥ずかしそうに視線を逸らす少年。
　少女の言葉を聞くと、少し考え込むように顎に指を当ててこう言った。

　少年は指を三本立てると、「今から言うこれが、一番現実的かもしれません」と、前置きした。

　当然のように言い放つ少年。
　どうやら彼の中では、既に手紙を受け取るつもりであるらしかった。

その日、私は収集した情報には一揆内の政争の件が目にとまった
情報は戦の要、ある程度、現地人から情報供給を得ることができた私は、
その報告書などを目の通していた

そこに人の気配…どうやら、敵ではないわね…とおもったら、声から、雪か…

そう珍しそうに思っていると、もっと驚く事を言ってくる、

共和制とはなにか

…疑問に思うこともそうだけど、政治について質問してくるなんて、
今までのこの子からは想像もできなかったことだったのだから

報告書ではアムルイ？だったかしら、その子が共和制を目指そうと音頭をとっているという噂は既に知っていた。だけど…政治に疎い雪がそれを知っていたとは…まあ、雪も商人という職業だから、情報ははいるものよね

それにしても、政治に疎そうなこの子がそれを口に…いえ、それに興味をもったというのにびっくりだわ

そう…共和制と英雄を新たな君主とする勢力…どっちが勝つか、この世界の人間ではない私にはどちらでもいいこと、でも雪は違う…

雪は戸惑ってる様子が見える…それもそうね、雪にとって戦いや政治は今まで無縁だったのだから…

ふと、もれた祖父の口癖がこぼれた、乱世に生きた謀将の祖父の口癖が…これがでてくるということは、この一揆一筋縄ではいかなさそうね

聞かれるまま楽しそうに話すグレンダ。
しばらくすると彼女のエンブリオの一つ、ケット・シーが足元にやってきた。