歌い出すほど上機嫌な薙疾に対して、薙影が声をかける。

薙疾は3日ほど通ったのだが、ほぼボウズの状態だったのである。
（まだこちらに来て10日ほどしか経っていないはずだが）夏期間に行ってみた海でもハズレ。

スターゲイザー
HP4684／SP317／PSP15

前衛でありながら射程3、攻撃1の付与を持つ闇弱点の魚類。
フリーズスターとパラライズスターによる状態異常攻撃を繰り返す……

まあ、一言で説明するならば雑魚である。魚だけに。

件の、水辺での戦い。

それが終わった後、薙疾の契約エンブリオである瑞薙がパロロコンを食べることで
元々ミニドラゴンであった瑞薙はパロロコンへと姿を変えた。

薙影によると「再構成」──
同じ「竜」として近い存在であるエンブリオの因子を取り込むことで、生命の形を変えた、とのことだが。
正直この世界の理に明るくない薙疾には、よくわかっていない。

とは言え、世界の作りなどわかっていないとしても
これだけの変化を遂げた瑞薙のことを忘れ、エンブリオを食材と見ている時点で文字通りの得魚忘筌である。

薙疾とそのエンブリオたち「食材」の扱いについて騒いでいると、通りすがる者が一人。
この世界に召喚されたものは誰でも知っている……

エンブリオを「食材」と一言で言い切るルリアンナ。
その言葉に、薙疾は胸を撫で下ろす。

ミニドラゴンがパロロコンを食べることで、パロロコンへと変貌したこと。
それを思い出したので、本来食べるために持って帰ってきたスターゲイザーの扱いに困窮していたこと。
友人から貰ったダークホースの肉もどうしたものかと騒いでいたことを説明する。

最近農業の手伝いをしてくれる人が多くて捗るのよね！と付け足す。

そう言ってルリアンナと別れ、帰路に着く薙疾一行。
それを笑顔で見送った後に、ルリアンナは一つのことを思い出す。