枯れた土地を進む事、四日目。不慣れな場所とはいえ四日続けてともなると少しは慣れてきたのか、足運びにも幾らか違いが見えてきた…ようにも思う。

　先を行く男は連日の悪路を物ともせずに、奥へ奥へと踏み進んでいっていた。

　直接聞くのも憚られたので、後を追う傍らに男が探す何かを考える事が目下、銀髪少女の日課となっていた。
　とはいえ、思い当たるような知識はなく、こんな事ならもっと勉強しておくんだったと胸中で呟いていると…。
　少女の肩口に腰掛けていたピクシーのグラナが注意を発するように光れば、少し後に詰めていたザントマンのカンタルが思わずその光景に口笛を吹いてみせた。

　思いがけぬ光景に慌てて駆けつけてみると、そこには男だけでなく三者三様の姿が見て取れたのだった。

一人目（？）は、鬼火とも称される紅色の帯を引いた塊
二人目は、自分とそう齢も変わらなそうな大剣を携えた赤髪の少年
三人目は、ふさふさとした垂れ尾が魅力的な狼とも犬とも感じうける女性の獣人

　息も絶え絶えながらに観察していると、男から簡単に三人の紹介を受ける。此処に至ってようやく砂地を進むに当たって行軍を共にする人達だと分かって安心した反面、先走った考えを思い出して顔が赤くなるのを誤魔化すかのように、一つ咳払いをし遅ればせながら自己紹介をしたのだった。
　進むにあたって軽く戦闘の相談を行うとの事で、邪魔にならないよう歌を奏でているセイレーンのラクレットを引っ張って少し離れた所で様子を伺っていると、後方を警戒していたサラマンダーのルイと白狼のアンジェロの姿が見えてくる。

　声を掛けながら、ふとこちらに戻ってくるエンブリオの様子が少しおかしい事に気がついたのは、偶然かはたまた必然だったのか。

　少女が声を掛けるよりも早く、危険を察知したのだろう旅支度に身を包んだ四者は各々の獲物を手に構えれば、白狼と炎の精霊と入れ替わるように前へと出れば、間もなく五体の影が襲来してきたのだった。

　現れたのは大きな体躯を誇る蟹が3つに、先日遭遇した虹色貝、それに形容し難い缶…のような影であった。
　男がその敵影を見て、軽く舌打ちしたのを銀髪の少女は聞き逃さなかった。見れば女性の獣人の方も心なしか表情が曇って…いるようにも思う。

　ここ数日の疑問が解けた事で胸中の靄も晴れれば、戦いの足しにでもなればと戦いが勝利で終わるよう祈りを届ける事にした…以前に、応援するべく声をかけて叱責された数日前の反省を活かしてのものである。
　効果があったのかは定かではないが、戦いは終始男達が優勢のまま進んでいき、やがて形容し難き缶を倒せば敵影は全て地面へとその体を横たえさせていたのである。

　その缶に近付く赤髪の少年と、その後ろで様子を見守るかのように煌めく鬼火の二人を尻目に、男と狼にも犬にも見て取れる獣人の二人は今後の進路について話し始めるのを見て、次の日も砂地を進むのだと分かれば、二人に気付かれないよう静かに嘆息を吐いたのだった。。。

よろしく頼むとばかりに、片手を軽く上げて見せて

枯れた土地を、ざくりざくりと金髪の少女が歩いてくる

そうはっきり言うと、頭を下げる

ところで、といい、全身に視線を向け

シュガーは怨霊と会話をしています…