［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　
パチッ、パチパチッ……

ぬるい風で火の粉が弾けながら舞い上がる。
不死王を焼き、辺りを焼き尽くした残り火はまだ尽きること無く、燃えていた。
蹴飛ばされ、瓦礫に身体を打ち付けたままピクリともしなかった姿はスズヒコと迦楼羅が場を離れたあたりで漸く動きはじめた。ぼろ切れのようになったコートの下から現れたのは人では無い。
炎で染め上げたような緋色の毛並みを持つ、大きな犬。それは、フェデルタの異形としての姿だった。

「……」



しかし、それはフェデルタとしても予想外だったらしい。やたらと近くに見える焼けた地面と自分の獣の前足を見てしまった、という声を漏らした。

（思ったより余力残せなかったか……くそ、）

しかし、この姿でも出来る事はある。離れた不死王と迦楼羅達を追う為に一歩踏み出したが、力が上手く入らずにがくりとその場で伏せてしまった。
ままならぬ身体に小さく唸りながら、辺りに視線を向ける。何処かに、自分以外の火があれば、それを貰ってフェデルタは再び燃え盛る炎と化す事が出来る。
しかし、燃えるものは自分があらかた燃やしてしまった焼け野原にそんな都合のいいものが落ちている筈もなく、フェデルタは歯噛みしつつ、もう一度立ち上がった。

「……？」

歩き出そうとした所で瓦礫の中から小さな生き物が這い出てくるのに気が付いて、少しふらつきながら近付いた。

「お前、従者の」

近くで見れば見覚えのある、黒くて小さくてよくわからない生き物。“アレ”、とグノウに呼ばれ時には無碍に扱われていたりした存在だ。
なにやら精霊の一種らしい、というのは知っているが、フェデルタとしてもよくわからない生き物程度の理解である。

「従者と一緒に取り込まれてたと思ってたんだが、無事だったのか」

犬になってもなお視界の下の方にいるアレに視線を合わせるように、フェデルタは身を低くする。
アレは、その小さい手足で身振りをする。表情も声も無い生き物の精一杯のアピールのようだ。
犬の姿のフェデルタは人の頃より言葉以外での感情を読み取る事に長けている。何かを伝えたいのか……アレの動きをじっと見つめた。

「……お前も連れてけって？」

フェデルタの言葉にアレの耳がピンと立ち、その直後に頷くように頭を縦にふる。グノウに何かしてやりたい、という事なのだろう。
しかし、この小さな精霊のようなものと、力の残ってない自分が追い付けた所で足手まといになるのでは、という危惧があった。

「……そうしたいのはやまやまだけどよ、まともに走れるかどうか――ん？」

遠くで音がする方に視線を向けると、様々な光が宙を舞うのが見える。迦楼羅も何か仕掛けているのだろうか？ 本来であれば、すぐに向かいたい所だったが――と、フェデルタが眉根を寄せた所でアレの小さい手がフェデルタの前足を叩く。

「……んだそりゃ、花びら？」

フェデルタが視線を戻すと、アレの手にはいつの間にか赤い花びらが一枚握られている。
ハザマをの空を覆っているような淀んだ赤ではなく、強く目を引く鮮やかな赤色。
フェデルタは訝りながら、赤い花びらに鼻を近付けた。

「うわっ！」

鼻をひくひくさせたところで、アレがもっていた花びらを、フェデルタの口に押し付ける。突然の事に驚き、口が開くと花びらはするりとその中へ入っていった。

「てめっ！ なにし――っ、なんだ、これ」

花びらは口の中に入った瞬間、大きく燃え上がり炎となってフェデルタの身体に染み込ん
でいく。
本来であれば小さな花びらが燃えた程度では流石にフェデルタの身体を満たす炎となることはない。
しかし、この花びらからは強い“生命の力”が感じられた。

赤い花、ネクター、メルンテーゼ、命の花、グノウ、助ける、坊っちゃん、助ける――

驚くフェデルタの頭の中にはっきりとした意思の声が聞こえる。いくら獣の姿とはいえ、ここまで意思を読み取れた事は今までに無い。

（この花の力なのか。そしてこの、命の花の、元は……）

十全とは行かずとも、四肢に力が籠められる。フェデルタは、力が戻ったのを確認すると鼻先でアレの身体をつつきながら、器用に下から掬い上げる。
簡単に持ち上がった小さな身体はまるで水風船のようにやわらかく弾んで、フェデルタの頭の上に着地した。

「振り落とされるなよ！」

アレが上に乗ったのを確認すると、フェデルタは思い切り焼けた地面を蹴って走り出した。

---

ごとり。
不死王の首が地に落ちる。

「倒し、た？」
『ううん、これは――』

鈴の鳴る夢の声も何処か遠く、呆然とする迦楼羅の前で首を失った不死王の身体がどろり、と溶けはじめた。
強烈な腐臭を撒き散らしながらごぼり、ごぼりと肉がヘドロのよう溶け、地面にこぼれ落ちていく。

「……あ、」

迦楼羅はその様を見ながら震える声をこぼした。不死王に乗っ取られたグノウの身体は？

――坊っちゃん……ぼっ、ちゃん

どろどろに溶け落ちて行く身体から、かすかな声が聞こえる。それら、迦楼羅の耳には苦しみながら自分の名を呼ぶ従者の声に聞こえた。

「ッ、グノウ！？」
『ダメ！ 』

迦楼羅は制止の声よりもはやく、反射的に腐り落ちる身体にかけよった。
地面に転がる頭が、カタカタカタと笑いだす。

「ああ、アア！！！！ そんな愚かナところガァ！！！！！   大好きデすヨォ！！！！！」



頭から発せられた声。最早それは生き物の声ではなかった。怨念の唸りのようなざらついたノイズが混ざった笑い声と共に、腐り溶けたヘドロが生き物の如くうねり迦楼羅を覆い尽くさんとする。

『しょうがないなあ！』

わかりきった陽動をする不死王と、それに容易く引っ掛かる迦楼羅の両方に向けたような苛立ちにも呆れにも聞こえる声と共に、鈴の鳴る夢は領域の力を展開し、迦楼羅をその場から弾き飛ばした。
獲物を逃したヘドロはそれでも尚、蛇の如く辺りをうねる。撒き散らされる腐汁が地面に飛ぶと、どろりと腐っていく。
しかし、それは鈴の鳴る夢が展開する見えない壁に全てはばまれ、迦楼羅を汚す事はなかった。

『ここにはいない。これは、囮……力をほとんど使った囮！』
「っ、じゃあ、グノウは」
『まだ。ここから逃げて、力を蓄えようとしてるみたいだね』
「……そんな、」

すぐに追わなければ、と言おうとして迦楼羅は言葉を飲み込んでしまう。
囮を利用する所までスズヒコは折り込み済みで考えていたとしたら、その先の策を自分が邪魔をしたのではないか、という事に気付いてしまったからだ。

（結局、大事な所で……僕は……）

手を尽くしてもらったにもかかわらず、自分は邪魔をしてしまったのかーーそんな思考に陥り、迦楼羅は自然と力なく項垂れてしまった。
俯く迦楼羅の頭上に腐汁が垂れてくる。避けることもせず立ち尽くす迦楼羅。しかし、腐汁は見えない壁に阻まれ、迦楼羅を汚す事はなかった。
そんな迦楼羅に一瞥もくれず、鈴の鳴る夢は前を見ている。
この時間で、囮を捨てた不死王が何処まで離れる事が出来て、どうしたら追いつめられるか。己の領域という盤上にいる限り、把握し、思考をするのは容易な事だ。

『……僕を甘くみて貰っちゃ、困るよ。――フェデルタ！』

領域を駆け抜ける足。それは何も、己でなくても問題はない。そして、適任が近付いてくるのはもう自明だ。
名を呼ぶ声は叫びだった。空気を割く程に大きく震わせたそれに、迦楼羅は思わず顔をあげた。

「わかってるよ！ ちょっと待ってろ！」
「……えっ？」

叫びに呼応する声が、迦楼羅の背後から聞こえる。
ダン！ダン！と大地を踏み抜く足音が近付いてくる。
何事かと振り返った迦楼羅の頭上を、火の玉が飛び越えていった。

「……おじ、さん？」

火の玉は、緋色の獣の姿だった。一気に駆け抜けて行く様子は、さながら巨大な火球そのものと言っても過言ではない。スズヒコにはこうなる事すらわかっていたのだろうか？迦楼羅は、驚いた表情のまま、鈴の鳴る夢に視線を向けた。

『君のエイドも、僕も、フェデルタも……今は君の剣と盾ってこと。ね、前を向いて。グノウを迎えに行くんでしょ？』

地面を見てもなにも始まらない。剣と盾があるならまだ戦える。
暗く影を落とした迦楼羅の心を、光と炎が照らす。

「……うん！！」

スズヒコの言葉に迦楼羅は力強く頷くと、しっかりと顔を上げて前を見据えた。

視線の先、赤い空の下、炎の軌跡が尾を引いて延びていく――

「クソ、クソクソ！ なんでこんな……せっかく全てが我のものになったのに――我の、力が……！」

廃墟を飛び移りながら、グノウの姿に戻った不死王が喚き散らす。こんな情けなく逃走を余儀なくされるなど、予想外でしかない。

何もかも上手く行くはずだったのに！！

たかが人間崩れの異形に！！

果ては、あの坊っちゃんまでもが！！

憤りは他者への恨みになり身体の中にとぐろを巻く。吐き出す力もないままに、不死王はとにかく鈴の鳴る夢の領域を出ようとした。
領域を出て、だれでも、なんでもいい、なにかを喰らって、そうして力を得ればあんなヤツらなんて――！！

「何処にお散歩だい？ 王様」
「ギッ！？ 貴様ッ、その姿は――」

走る不死王の横に現れた緋色の獣。滲み出る炎の気配にそれが、先ほど自分を焼いた男であると不死王は瞬時に判断した。
どこまでも邪魔をする存在に向けて、不死王が恨みの声を吐き出す。

「しっつこいんダよォ！ 燃えカスが！ 我の邪魔をするなァ！」
「悪いな、用があんのはこっちだよ！」
「ナニッ！？」

ぴったりと並走した獣の頭の上にいる小さな存在に不死王はようやく気がついた。
それは、メルンテーゼにいた頃からよく知っている不死王と呼ばれる己と比べて、小さく、ちっぽけな――

「シェイドだと！？  なめやがって！！ 退け！！」

不死王に飛び付こうと、アレの小さな身体がおおきく弾む。
しかし、不死王が振るった爪に当たると小さな身体はパンッ、と水風船のようにあっけなく飛び散る。
そして、並走していたフェデルタの姿もいつの間にか消えていた。

「ハハハッ！！ 雑魚ドモ――ガッ！？」

しかし、水風船のように弾け広がった闇の色がぐにゃりと形を変えていく。それは、鋭い嘴と翼をもった鳥――燕だった。

シュンッ！

不死王の頬を燕が横切る。頬にわずかな傷が刻まれた事に気付いた不死王の顔はみるみるうちに屈辱へと歪んでいく。

「この、下級闇霊ごときがア……！」

シェイドは、メルンテーゼでは誰でも手順を踏めば契約の出来る存在だ。
並び立つ事すらあり得ない下位の存在に、矜持ごと傷つけられた不死王は、足を止
め自分の回りを飛び回る闇色の燕を握り潰そうと手を伸ばした。

ぐしゃり。

不死王の手の中で燕が弾けると、飛び散った闇が鎖になり一気にその身体を拘束していく。

「ギイィィィ！！ この、程度ォ！？」

鎖を引きちぎろうとしたその瞬間――鎖全体がぼぅ、と炎に包まれる。

『俺の事、わすれてた？』

何処からともなくーー否、鎖を包む炎から声が聞こえる。
不死王はそこで漸くあの時のフェデルタは力を失っていなくなったのではなく、その力をシェイドに預けていたのだと気付いた。

「ア"ア"ア"ッ！！！！」

ぎちり、と身体をきつく締め上げられると鎖の炎が不死王の身を焦がす。もはや逃げるために足を動かすことは出来なくなっていた。

ズンッ！

そして、間髪入れずに地面から突き出た杭に不死王の身体が串刺しにされた。
闇色の鎖がしゅるりと動いて杭と不死王を束ねるように縛り付けた。
それはまるで、はりつけにされた罪人のようだった。

ENo.158 不浄の滝 とのやりとり

ItemNo.39 無糖フルーツゼリー を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 強靭41 活力47 鎮痛54 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

龍が起き上がり、空へと消える。

　

龍の頭から小さな光の玉が出て、

空へと飛び去って行くのが見えた。

　

　

　

無事に残っているファッションエリアに入ってみる。

　








　




こちらに気づき、･･･目を背ける。

容姿からしてロストのひとり、アルメシアのようだ。

　

　

　








並ぶ衣服をチラッと見つつ、願いが伝えられた。

グノウ(909) に ItemNo.23 すごい羽 を送付しました。

制約LV を 5 UP！（LV15⇒20、-5CP）
料理LV を 5 UP！（LV78⇒83、-5CP）

タスク(1648) により ItemNo.2 火龍の鱗 から装飾『金のピアス』を作製してもらいました！
　⇒ 金のピアス／装飾：強さ545／［効果1］火纏45 ［効果2］－ ［効果3］－

順(39) により ItemNo.12 厚手のコート に ItemNo.26 小さな灯火 を付加してもらいました！
　⇒ 特質強化！効果3のLVが19増加！
　⇒ 厚手のコート／火衣：強さ218／［効果1］耐火35 ［効果2］器用30 ［効果3］火纏38

迦楼羅(931) の持つ ItemNo.11 フード付きローブ-ラクーン- に ItemNo.1 ビー玉 を付加しました！
　⇒ 特質強化！効果3のLVが11増加！
ホークアイ(631) の持つ ItemNo.30 クロノスのコート に ItemNo.33 魔力溢れる滑々な変な本 を付加しました！
　⇒ 特質強化！効果3のLVが11増加！
ホークアイ(631) の持つ ItemNo.12 壊れかけた遡行の時計 に ItemNo.38 強い牙 を付加しました！
　⇒ 特質強化！効果3のLVが11増加！

ひさめ(528) とカードを交換しました！

芍薬 （ハデスポムグラネイト）


エラト を研究しました！（深度0⇒1）
エラト を研究しました！（深度1⇒2）

高速配置 を習得！
爆弾魔 を習得！
ライフスワール を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

順(39) は すごい羽 を入手！
順(39) は すごい羽 を入手！
順(39) は 火龍の鱗 を入手！
フェデルタ(165) は 地龍の鱗 を入手！

順(39) がパーティから離脱しました！

現在のパーティから離脱しました！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

スズヒコ(244) をパーティに勧誘しました！
グノウ(909) をパーティに勧誘しました！
『ツクナミ区 K-2：チェックポイント《小集落》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - グノウ(909) の選択は ツクナミ区 K-2：チェックポイント《小集落》

MISSION!!
ツクナミ区 I-10：ツクナミセントラルラボ を選択！
　　 - フェデルタ(165) の選択は ツクナミ区 I-10：ツクナミセントラルラボ
　　 - グノウ(909) の選択は ツクナミ区 I-10：ツクナミセントラルラボ

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［432 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［476 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［400 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［330 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［267 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［151 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［306 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［48 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［222 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［102 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［107 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［56 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［86 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［14 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［38 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［84 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［100 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［18 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。

　

　

　

ツクナミセントラルラボ。