［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

決して忘れはしないのだ。
蛮行、狼藉、支配、嘲笑。それら全てを忘れはしないのだ。忘れることがあるとしたらただひとつ。

この不死王が存在していた、ということだけだ。

光は疾駆し、十分すぎる働きをした。己の顎は遥かに破壊力を増し、ギロチンのようにその首を落とした。
炎は燃え尽き、全ての力を破壊へと変えた。考慮には当然入っていたが、僅かな悔しさと、それに伴う強烈な怒りがある。
闇は覆され、覆水は二度とそこに戻ることはない。戻れたとして、その盆は今から徹底的に破壊する。
そして。
神は、ひどく限定的で、ひどく不平等で、ひどく人間臭いのだ。故に怒りでもって、故に勝負という名の断罪でもって、これより全てを破壊する。



『怯えよ。怯えよ、我が神威に怯えよ。お前の罪を裁き、祓い、全てを滅するのはこの俺だ』

とうに開いた双眸は、それと同類の目をしていた。
邪悪、ないし闇の色。どうやっても抗えないし拭えない狂気。狂気を飼い殺し、恭順させることすらできなかった1日ほど前を思えば、随分と成長したな、と思う。成長したところで何になる……と言ってしまえばそれまでだが、完全に意味がないわけではなかった。
奉仕種族のつもりはないが、どうせなら知り合いにその力は繋ぎたい。自然とそうなった、生命を司るような異能の力に囲まれながら、そう思っている。

「グ……おのれおのれおのれェ！！ヒトの分際で！！」
『好きなだけ喚いていろ。お前の運命は定まっている』
「ギィイイ……オマエとて、邪悪、ジャアク！！そんな力で坊ちゃんの大事な大事な従者を助け……ギャア！！」
『……今何をされているかの説明が必要かな？』

処刑を待つだけの罪人の様相と化したそれを、すぐに食い殺さなかったのには当然理由がある。
罪には罪を、侵蝕には侵蝕を、不死には死と生を。

「お、おノレェ……ギィッ、ソウダ！！オマエが我と契約すればイイ！！あの従者を助けたいのダロウ～！？」

悲鳴。耳障りだな、と思った。

『契約か……なるほど、それも手段だね』
「ヒヒッ……、オマエはあの従者より食い扶持がアリそうだしナ、ッ！？」
『あいにく下品な王に用意してやる玉座はなくてね。そういうの興味ないんだ』

鎖が罪人を締め付ける力が強くなる。
赤熱した鎖が追い打つようにその身を焼き焦がし、不快なにおいがしていた。だが、やらねばならないと思っていた。

「グ……ググ……なら早ク殺せ！！殺せェ！！」
『断る。……君があの従者にやったこと、思い出してごらんよ。』

蝕んでいく。真綿で首を絞めるように、括り殺していく。
そして時が来たら、その顔を出して食い殺す。

『今、少しずつ“俺”が呪っているよ。俺が呪っている、この意味が分からないとは言わせないよ。ねえ？』
「グアア……性格の悪イヤツだなァ～！？ヒヒッ、こんなヤツに助けられるあの従者もかわいそ……グゲェ！！」
『分かってないようで残念だ。分かってくれたほうが面白いんだが』

要するに意趣返しだ。さっさと食い殺したい気持ちもないと言えば嘘になるが、苦しみには苦しみを返すのが筋だ。あいにく、そういうことばかりして生きていた男だった。
苦しみを与え続けたのなら、苦しみを与えられ続けてから死ねばいい。正しい末路だ。正しすぎる末路だ。それを実行する力と権限があるのなら、当然そうする。腐り切った玉座の王を粉砕し、そして全てを無に返す。そうしなければ気が済まない。そうしなければ気が済まず、そうすることでしか得られない結果と事実がある。

『面白くなかったんだよ。お前に対して割いたリソース、時間、人手……それらをその身で完済するまで、残念ながら殺すつもりはない』
「ググ……オマエの方がよっぽど、ヨッぽど！！悪魔じゃナイカ！！」
『そうだね、クソッタレの王様が認めるならそうなんだろう。』

貫かれた人の身体が身を捩り、その身体をより傷つけようとする。そのたび灼熱の鎖が身を焼いていく。
無駄なことなのにな、と思いながら眺めてた。最期の足掻きのつもりかもしれないが、ここまでして捕まえた時点で、こちらの勝ちは確定している。
いくらその身が傷つこうとも、全ては引き戻されてはじめに戻るのだ。そんなことすら知らずに、玉座の王は足掻き続けていた。

「キヒヒヒ！！魂を戻してモ……ボロボロの従者デ！あの坊ちゃんは喜びますかねェ！？」
『テセウスの船の話を覚えているか？』

一度閉じ、力強く開かれた双眸が不死王を――グノウ・スワロルドを捉えた。
覚悟は聞いた。前を向いている光の言葉は確かに聞いた。だから全てを請け負った。今更揺らぐことでもなく、自分には救済の手段がいくつもあった。
ヒトを構成している細胞は、代謝により目まぐるしく入れ替わる。最も速い細胞で、一日あれば全ての細胞が入れ替わる。逆に一生入れ替わらない細胞も存在しているため、だからこそ今、この死を待つばかりの王を玉座に据えている。
ヒトが個人足りうる、記憶領域の脳ですら。部位によって差はあれど、入れ替わるのだ。何年も旅をしていたら、その間にとっくに、“従者ではないグノウ・スワロルド”の脳細胞は駆逐されている。

『知育オモチャ以前の問題なんだよ。記憶を保持しながら入れ替わり続けることの意味』

新しいオモチャを与えることは簡単なことだ。けれど、そうして与えられたものに、本当に満足できるだろうか？
それに対する解答がこの姿で、その身を呈してまで彼が時間稼ぎをした、というのが、明確な証明だ。そもそもテセウスの船という問いかけが哲学的であり、解答を用意するのが難しい。
しかし、この場では違う。ここは鈴のなる夢の領域であり、鈴のなる夢自身が全てを用意することは容易い。

「ハ……」
『確かに俺は与えるだろう。十全の肉体のグノウ・スワロルドを与えることができる。だが』
「何ガ言いタイ？オマエのやろうとしてるコトなんて、自己満足だろウガッ！！」

潮時だ、と思った。閉じていた口が開かれる。

『全てのパーツは揃い、そして全員が参加した。お前が臆病で守られるだけの存在だと見くびっていたあの坊ちゃんですら。』
「グ……ウガアァアアア！！何を……何を！！」
『何って？破壊だよ。お前の全てを俺が蝕む。彼が散々味わい続けた絶望の中で死ねばいい。』

染み込む水のように。汚泥を水で押し流すように。上から絵の具で塗りつぶすように。
その力は不死王に注がれ、耐えきれない部分から弾けていく。角が折れ、腕が吹き飛び、脚が崩れ去った。そして。

『さようなら。』

顔の半分が吹き飛び、そこから飛び出してきたかすかな残滓が、大口の中に消えていった。



開いていた瞳を閉じ、鈴のなる夢は“死体”を見た。
五体不満足、恐らくは眼球も片方吹き飛んだだろう。だが、この領域にある限りどんな状態でも生きている。そう規定したからだ。

「……グノウ……？」
『カルラくん。もう少し力を貸して』
「……うん……」
『これから肉体の方を戻す。不死王が蝕んだ部分は全部飛ばしちゃったから、まだ見ないほうがいい。』

そういう分担ができていた。フェデルタの気配は一向になく、端から見ればパーティは半壊、これ以上の進行は難しい。そうとすら思える。
しかし、無理矢理にでも引きずり出して立てる手段には何一つ事欠かず、その肉体は戻る。戻す。そういう力に長けることになったし、知識はあった。

「……」
『……俺のことが信じられないかい。あともう少しの辛抱だよ。』
「本当に……本当に、グノウは戻ってくる！？」
『君が次に折れていいのは、膝をついていいのは、その従者が目を開けたときだけだ。分かったか』

蠢く闇を脚の一振りで払うと、そこには想像通りの光景が広がっている。
巨体が静かに脚を折り、大地にずんと降り立つ。

『想いは繋がなければならない。そして、俺は君たちを呪うだろう』
「！　どうして、」
『人の話は最後まで聞きなさい』

その瞳が再び迦楼羅を捉える。言われてみれば、あの闇の中で蠢いていた眼球によく雰囲気が似ている。巨体の向こうにいるはずのグノウの姿は、見せてもらえない。

『呪いと言っても多種多様。……例えばね、無名のものに名付けを行うことすら呪いだよ。名前は呪いのひとつと言っても過言ではない。そうなるために、全てが定まるからね。……君が使役しているものたちだって、そうでしょう』

種族の同一性は保たないままに、同じ姿と名前を保ち続けているもの。
そう名付けられたから、そう振る舞い、そう名付けられたために、そう振る舞う。そのようにできている、ひとつの解答。
彼らがどう思ってくれたのかは知らないが、結果として全てはいい方向へ傾いていた。

「……難しいね」
『それで構わないよ。さて、ここで一つ予告をする』
「……うん」
『今からグノウ・スワロルドを産み直す。そのために飲み込む』

緑の目が見開かれる。どういうこと、と聞くよりずっと早く、その大口が開いている。

「待って！！ねえ、そんなことして、グノウは……グノウは、平気なの！？」

それは欠片も待ってくれなかった。ボロボロの肉体が見えたと思うと、鳥がそうするかのようにずるりと飲み込まれ――そして、領域の神たる異形の腹部に、ストンと落ちてくる。
淡く光る身体が透けている、ということに気づいたのもその時だ。水の中にいるような格好で、従者は腹の中に沈んでいる。透明な壁の先には、何もかも元通りの姿がある。

「グノウ……ッ」
『理論を説明するかい？』
「……無事、なんだよね？」
『無事にして出すのが俺の仕事だ。』

要するに、ここ――腹の中はゆりかごだ。荒野で蘇生を行うより、自分の中に引きずり込んでしまうほうがずっと早い、ということだ。直に力を浴びせることが可能だから、より早く産み直し――十全な何もない身体を吐き出す、ということが可能になるはずだ。
問題があるとするなら、ここはハザマだ。それだけが微かな気がかりだったが、どのみちやることは変わらなかった。

『フェデルタも戻ってきていないし……今できることを粛々とする。君は、前を向いて祈りを捧げておいて』
「……」
『……何度も言うけど。君が折れていいのは、次に従者が目を開けた時だ。それまで耐えられないというのなら、俺がこの従者を殺すよ』

破壊された廃墟に、ただただ静寂が落ちていた。



あたたかい。けれども冷たい。
誰かが無理やり手を引こうとしていて、それを振り払うことを許してくれない。
ぬるま湯とも冷水ともつかないどこかに無理やり沈められていて、誰かが見張りを立てている。まだ身体はピクリとも動かず、動かせず、最後の記憶からすると、もはや肉体は奪われてしまったのかもしれない、と思っていた。

誰かの声がする。
それが誰の声かすら分からない。

「……ッ！！」

手足に強烈な痛みが走る。気を失うことすら許さない、生暖かい地獄。
その痛みが、猛烈な勢いで四肢が再生し、伸びていることによるものだということを、グノウ・スワロルドはまだ知らない。
そして、無理やりここに沈めたのが誰なのかも、自分の手を引こうとしているのが誰なのかも、同様に知るところにはならない。
ただ、痛みと、微かに囁くような声だけを聞いていた。誰かが呼んでいる。それが誰なのか、耳もやられてしまったのか、何も分からなかった。

ENo.165 フェデルタ とのやりとり

グノウ(909) に ItemNo.23 立派な歯+1 を手渡ししました。

龍は起き上がり、再び上空へと消える。

　

龍の頭から小さな光の玉が出て、

空へと飛び去って行くのが見えた。

兎角杏子(381) に 100 PS 送付しました。

迦楼羅(931) に ItemNo.19 ブロッサムシグネットリング を送付しました。

兎角杏子(381) から ライター を受け取りました。

命術LV を 5 UP！（LV40⇒45、-5CP）
武器LV を 5 UP！（LV76⇒81、-5CP）

にく(596) の持つ ItemNo.4 ヘタ に ItemNo.23 すごい羽 を合成し、活力漲るモアイ像 に変化させました！
グノウ(909) の持つ ItemNo.13 ヘタ に ItemNo.6 永久雪 を合成し、活力漲る星屑 に変化させました！
迦楼羅(931) の持つ ItemNo.6 書類 に ItemNo.16 すごい羽 を合成し、活力漲る黒帯 に変化させました！

メアリー(1302) とカードを交換しました！

究極体 （アルティメットフォーム）


オアシス を研究しました！（深度0⇒1）
オアシス を研究しました！（深度1⇒2）
オアシス を研究しました！（深度2⇒3）

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

グノウ(909) は ものすごいお肉 を入手！
スズヒコ(244) は すごい羽 を入手！
グノウ(909) は 白龍の鱗 を入手！
スズヒコ(244) は 黒龍の鱗 を入手！

現在のパーティから離脱しました！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

フェデルタ(165) からパーティに勧誘されました！

『ツクナミ区 K-2：チェックポイント《小集落》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - グノウ(909) の選択は ツクナミ区 K-2：チェックポイント《小集落》

MISSION!!
ツクナミ区 I-10：ツクナミセントラルラボ を選択！
　　 - フェデルタ(165) の選択は ツクナミ区 I-10：ツクナミセントラルラボ
　　 - グノウ(909) の選択は ツクナミ区 I-10：ツクナミセントラルラボ

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［432 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［476 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［400 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［330 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［267 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［151 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［306 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［48 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［222 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［102 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［107 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［56 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［86 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［14 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［38 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［84 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［100 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［18 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。

　

　

　

ツクナミセントラルラボ。