［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

もはやそこに絶望しかなく、そして仮に勝利を宣言されたとしてもだ。
できることはいくらでもあった。ヒトを捨てようとしているもの、ヒトをとうに捨てているもの、ヒトだからこそできることがあるもの。
何より、あの悪魔はヒトが結束したときの強さを何も知らないのだ。

『迦楼羅！離れてろ！』

事が始まったことは驚くことでも何でもなく、予想ができていたことだった。それに対して解答を用意し、するべきであると定めたことを成し、完膚なきまでに叩きのめす。ただ、それだけのことだった。
獣がひとつ鳴き、巨体とは裏腹に音を立てずに静かに走っていく。今、与えられているものは時間稼ぎだ。それも大して時間があるわけではない。
回収を任せ、思考を繰り返す。
導き出された結論は、十分可能ではあるもの。ただ、本当に切り札で、とにかくまずし使役者を納得させなければならないもの。
やるかやらないかではなく、やるしかなく、やらせるしかないのだ。
そうして、獣の帰りを待っていた。



我が半身がやろうとしていることは随分と強大な力の行使であり、そして無謀な賭けでもある、と理解はしていた。けれども、それを止める権利も権限もどこにもない。あるわけがない。ただ、今の自分にできることは、それを回収してくることだけだった。

『――あとは頼むぜ。スズヒコ』

獣は己から語るようなことはほぼしないが、それに鳴いて答えるくらいのことはした。

「ねえっ、待って、待って！！グノウが、グノウが……！！」

待たぬ。待っている時間はないと、そう告げられていた。だから足は止めず、主人を咥えて走る。
走っていった先に、煌々とその瞳を殺意の色で輝かせた本体が待っている。

「よくやった。お前の次の仕事は分かっているね」
「……ルルゥ……」

思い返せば十数時間前か。その頃のような明確な殺意と、その隙間から覗く決意を求めるような視線だ。果たしてあのまま、フェデルタとグノウ――不死王の戦いを見ている方が良かったのか、連れてこられた今では分からない。自分の両肩に重石を乗せられたような気持ちになりながら、迦楼羅はスズヒコの方を見た。その緑の瞳は潤んでいる。

「……スズヒコさん……」
「言わずとも。始めるだけのことだ」

グノウ・スワロルドという男がいる。
それを蝕み続けていた呪いがついに発芽し、その肉体は今まさに乗っ取られようとしている。呪いの元凶――ノーライフキングに対し、取ることのできる手段を探し、それぞれが得た情報を交換し、スズヒコは手段及び呪いの解析と組み立ての全てを引き受けた。
その本体の特性上、【鈴のなる夢】は索引・記録性に長けている。この世界を行き来できる存在までを駆使し、最新の機器を利用できる機関と取引し、情報をその手に収めることに成功した。そして、自分の持っている知識と、彼ら主従が確保した情報とを重ね合わせ、様々な組み合わせを試し、最善にして最高、そして最悪の結果を生み出すための設計が完成した。あとは、それに対して力――呪いを解くためのエネルギーを支払い、解呪を行う……というところまで来ている。
しかし、既に呪いは発芽して、その肉体を作り変えつつある。つまりアプローチの手段を変える必要があり、スズヒコは故に、分かっていてもグノウを見逃していた。相手をしている暇はなく、相手をしなければならないのは自分ではない。

「グノウが……」
「カルラくん。」
「グノウが……！！戻らなかったら、僕、どうすればいいの……！！」

取り乱す子供を見下ろしていた。
15だか16だか、年相応とは言えない感情の動き方だ、と。ずっとそう思っていた。
いつまでも子供でいられると思うな、と叱責したい気持ちがないと言えば嘘になる。けれども、今必要な言葉はそれらではなかった。

「君にできることがここにある」

この少年を英雄に仕立て上げ、あの王の眼前に引きずり出さなければならない。
己の手で自分の大切なものを救わせなければならない。
いつまでも誰かに頼っている状態を脱させなければならない。

「……僕に……」
「君が取り戻すんだ。そうでなければ何の意味もない。不死王が君の隙間に取り入るかもしれない」
「ッ……けど、どうやって……あんな、あんな怖いグノウなんて、僕……、……初めて見た……」
「……」

いつまで経っても従者従者と、そうやってついて来てくれると思っているのか。それとも、単についに変化してしまったという現実を捉えられないだけか。
何れにせよ、やらなければならないことは決まっていた。
迦楼羅の服のポケットに入っていた紙片が淡く光る。

「救いたいのだろう。できることは頑張ってする、と言っただろう」
「……うん……」
「もう一度言う。君にできることがここにある……君にしかできないことがある」

ふわりと浮き上がり、ポケットから出てきた紙片が、迦楼羅の眼前に浮遊する。

「……僕にしか、できないこと」
「俺を召喚しろ。【鈴のなる夢】という概念を従えろ」

見開かれる翠の目。

「スズヒコさんを……ど、どうやって……」
「普段と何も変わらないよ。……要するに、君のために剣と盾になるって言っているんだ。あのクソ野郎、君が何かしてくるとは欠片も思っていない。そこを突くのが一番いい」
「……」

ヒトでないからできることがある。
同時に、ヒトでなければできないことがある。

「俺は疑問を感じていた。君たちの力を使うとはいえ、今までの計画では主体は俺だった……要するに、カルラくんが見ているだけのポジションにいることが気になっていた」
「それは……僕が、僕に、できることがないから」
「それは違う！！」

獣の咆哮のように、スズヒコは叫んだ。
無力を装うヒトの子に詰め寄った。想う気持ちについて、そればかりは決して嘘ではなく、ここにいる誰にも負けてはいないのだ。だから、それを支柱にして立って欲しかった。
――他人だ。どれだけ協力関係が存在していようと、所詮他人だ。

「君だけだ。本当に心の底からあの男を救いたいと思っているのは！！俺は正直、あの男が最終的にどうなろうとどうだっていいんだよ！！」
「……ッ、でも、」
「手助けしてくれていたとでも言いたいのか。偶然やっていることが同じ方向を向いていただけだ。だから君が――君が中心になるんだ。俺という剣と盾を持って、あの場にもう一度出向け。何もできないだけの主人から卒業しろ！！それは今だ！！」

俯いてしまった子供を見つめる。
子供かもしれないけれど、時と場合と場所によっては、とっくに成人として放り出される年齢であることも知っていた。
畏れることなど何もなく、自分の力を示せばいい。それだけのことを求めているつもりなのに、どうして踏み出してもらえないのか――従者に対する想いはその程度のものなのか、と。そう言いたくなる口を厳重に閉じる。

「……悪いね。俺が君くらいのときはとっくに自立していた」
「……自立……」
「いいか、カルラくん。周りの大人がお膳立てして、はいこちらが無事戻ってきたあなたの従者ですよ……とするのは、君を説き伏せるより簡単だ。けれどそれでいいのか？待っているだけ、戻ってきたものに何の文句も言えない……それでいいと思う？」

少しずつ語気を弱めて、なだめるように。

「本当に欲しいものがあるなら。……グノウ・スワロルドを完全な形で取り戻したいなら。君も加わるべきだ、この戦いに。……グノウさんに、帰ってきてほしいんだよね？」
「……うん」
「心配することは何もない。君の身も守り、グノウ・スワロルドは救う。それはフェデルタも望んでいるはずのことだ。――走れ。剣を取れ。巣食う邪悪を断ち、ここですべてを終わらせてみせるから。」

剣はふわふわと漂っている。今はただの紙切れだが、一時的にでも契約が交わされれば、望む形状のものとなろう。

「……だから、俺を手に取って。そして命じろ。そのくらい、いつもやっているから……簡単でしょう」
「……ほんとに、助けてくれる？グノウのこと……」
「それは君次第だ。俺は言ったよ、君は光であり続けろと。目印としての光、誘蛾灯としての光、意味は様々あるけれど……君の想う心が全てだ。俺はそれに応じる、それだけ」

返事の代わりに、迦楼羅は浮遊していた紙片に手を伸ばした。
手に触れた瞬間、そこにあったはずの【鈴のなる夢】の姿が霧散するように消えていく。

「！　スズヒコさん、」
「ゥールルル……」

控えていた獣が身を伏せ、その背に乗れと促した。【鈴のなる夢】と同じ色の瞳が真っ直ぐに迦楼羅を捉え、背中を押すように鳴く。

「……僕、ほんとにうまくできるか……分からないよ、もしできなかったら……」
「ウウゥ」
「けど、できることは……頑張ってする、って、言ったから」

その言葉を待っていたかのように、獣は走り出す。
来たときと同じように音を立てずに、炎が燻る方向へ向けて、全力で。



状況としては最悪、と言わざるを得ない。獣は緩慢にそう思った。焦土と化した大地に、腐敗した肉の臭いと焼け焦げたものの臭いがする。
しかし、獣は従順な下僕でしかなかった。一飛びで距離を詰めると、その炎はスウと消えてなくなっていった。

「ヒヒ……ギャーッハッハッハッハッハ！！何もできない坊っちゃんが戻ってきましたか！！ノコノコと！！ああ、ユカイ、ゆかイ！！」
「グルルル……」

定められている。
守る盾になれ、と。

「……僕は……」
「坊っちゃん。早くこちらへどうぞ？私と一緒に参りましょう？」
『きくな　カルラ。よべ　わが　はんしん　鈴のなる夢』

獣は微かに気づきつつあった。けれども、それを明かすにはまだ早いだけだった。眼前の危機、あるいは好機を逃してはならないことだけは知っていた。
【鈴のなる夢】の気配は完全に隠蔽され、――ほぼ全てが紙片の中に収まっており、咲良乃スズヒコという自我だけが獣へと譲渡されている。

「……ねえ、グノウ、」
「ええ。何でしょう」
「僕、グノウの……グノウの傍に、ずっといたいから」

半分異形と化した男の、嘲笑うような笑みが深められるのを見た。
自分の手に落ちると思っている。何故この炎が唐突に消えたかも知らず、そのように思い込んでいる。
幸せなことだ。視野が狭く、考慮外のことが起こるなど、何も思ってはいない。

「だから、……お願いが、あるんだ」
「ええ、エエ。何なりと、お申し付けください。従者ですから」

蹄と化した従者の足が、コート……コートと言えるかも分からないものを着た男を蹴り飛ばす。場にはただ二人と一匹が残る。
握りしめられた紙片がくしゃりと潰れるのと、その言葉が発されるのはほぼ同時だった。

「――グノウ、負けないで！！お願いだから、……戻ってきてっ……！！」

刹那、その場に迸ったのは雷にも似た閃光だ。
煌々と輝く対の翼が広がるのと同時に、焼け跡を完全に覆い隠すように水が流れ行く。それがただの幻であるということに誰かが気づくよりずっと早く、魚のような長い尾の鱗が光を生む。腕と思しき場所からもまた翼が生えていて、それは金属のような光沢を帯びていた。
人の面影はどこにもない。歩くのに適さない形状をした足は地につくことなく、少年と獣の前に浮いていた。



『グノウは僕が助ける。早くそこから出ていって』

甲高い鳴き声。
見上げる主人と、異形と化した従者の間に、それは君臨した。神々しくもあり、邪悪さもあるような姿で。

ENo.719 ケムルス とのやりとり


ENo.909 グノウ とのやりとり


ENo.1386 ボルドール とのやりとり

フェデルタ(165) に ItemNo.2 癒魔香【メディスパルフェム】 を手渡ししました。

グノウ(909) から 朱の光焔 を手渡しされました。

ItemNo.26 火加減見守り焼き魚 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 活力20 敏捷20 強靭20 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

迦楼羅(931) に ItemNo.15 立派な毛 を送付しました。

グノウ(909) から すごい羽 を受け取りました。

迦楼羅(931) から セレスタインクロー を受け取りました。

呪術LV を 25 DOWN。（LV40⇒15、+25CP、-25FP）
武器LV を 23 DOWN。（LV99⇒76、+23CP、-23FP）

領域LV を 30 UP！（LV10⇒40、-30CP）
合成LV を 28 UP！（LV71⇒99、-28CP）

志騎(288) の持つ ItemNo.32 朱の光焔 に ItemNo.23 強靭な皮 を合成し、活力漲る黒帯 に変化させました！
ItemNo.2 朱の光焔 に ItemNo.15 すごい羽 を合成し、活力漲る星屑 に変化させました！
　⇒ 活力漲る星屑／素材：強さ60／［武器］反光55(LV95)［防具］全反55(LV95)［装飾］活力50(LV90)

順(39) の持つ ItemNo.33 永久雪 に ItemNo.44 やくそう を合成し、活力漲る黒帯 に変化させました！

順(39) により ItemNo.2 活力漲る星屑 から装飾『ヌクレオチドプロファイル』を作製してもらいました！
　⇒ ヌクレオチドプロファイル／装飾：強さ654／［効果1］活力50 ［効果2］－ ［効果3］活力33

ロッテ(948) により ItemNo.5 赤色の果実 から健食『レッドベリージュレ』をつくってもらいました！
　⇒ 調理の勘！［ 2 6 3 = 11 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ 調理の知識！［ 4 3 1 = 8 ］成功！料理の強さが増加！
　⇒ レッドベリージュレ／健食：強さ283／［効果1］器用41 ［効果2］幸運47 ［効果3］連撃54

フェデルタ(165) により ItemNo.2 ヌクレオチドプロファイル に ItemNo.9 匂辛夷 を付加してもらいました！
　⇒ 特質強化！効果3のLVが11増加！
　⇒ ヌクレオチドプロファイル／装飾：強さ654／［効果1］活力50 ［効果2］体力50 ［効果3］活力44

ソク(1661) とカードを交換しました！

輝刀一閃 （クラウソラス）


メガトンパンチ を研究しました！（深度0⇒1）
メガトンパンチ を研究しました！（深度1⇒2）
メガトンパンチ を研究しました！（深度2⇒3）

ディスインフェクト を習得！
ポーションラッシュ を習得！
大砲作製 を習得！
エレメントフィールド を習得！
百孔千瘡 を習得！
奇想天外 を習得！
クラーレ を習得！
サンクチュアリ を習得！
マッドパーティ を習得！
領域残滓 を習得！
ジハード を習得！
ラバーキン を習得！
息災延命 を習得！
遠隔合成 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

フェデルタ(165) は すごい羽 を入手！
フェデルタ(165) は すごい羽 を入手！
スズヒコ(244) は 赤色の果実 を入手！
フェデルタ(165) は 赤色の果実+1 を入手！
グノウ(909) は すごい羽 を入手！
フェデルタ(165) は 虹色の石 を入手！

▼エイド化候補（基本行動にてエイド化可能）
迦楼羅(931) のもとに ケツァルコアトル がゆっくりと近づいてきます。
迦楼羅(931) のもとに リンゴさん が興味津々な様子で近づいてきます。

フェデルタ(165) がパーティから離脱しました！

迦楼羅(931) がパーティから離脱しました！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『ツクナミ区 K-2：チェックポイント《小集落》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - グノウ(909) の選択は ツクナミ区 K-2：チェックポイント《小集落》

MISSION!!
リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス を選択！
　　 - スズヒコ(244) の選択は リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス
　　 - グノウ(909) の選択は リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［436 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［482 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［402 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［328 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［265 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［149 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［311 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［47 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［224 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［94 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［104 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［84 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［13 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［37 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［76 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［71 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［15 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。

　

　

　

聳え立つ巨大マンション、昇竜レジデンス。

　

その姿はハザマでも健在で、それを見上げると――

　




上空からふたつの巨体が迫り来る！