［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　　　　トリック・ミミック・ハルシネーション
　――"あなたに見えるわたしを信じて"。


　このハザマでは、イバラシティの人間の異能が強化される。
　　　　　　　　、、
　イバラシティの人間であるくららの異能も、例外ではない。
　制御の効かなくなってしまった異能だが、色々と試してみた限り、こちらではある程度のコントロールが可能のようだ。


　最初にハザマの世界に呼び出された時、くららの姿はイバラシティにおいての本来のそれだった。
　ヒョウモンダコでも人間でもない、ただ一人にだけ正しく認識されていた異形の姿。
　別にそのままの姿でもよかったのだが、どうやら侵略者と戦わなければならない状況であるらしい。であれば、より戦いやすく、威圧的な姿であるべきだ。

　そうして選んだ姿が、巨大なヒョウモンダコだった。


***


　自己に対する世界からの認識を書き換える、擬態能力とも呼ぶべき異能。
　能力が強化されるこのハザマにおいては、自らを周囲の景色と同化させることすら可能だ。

　その異能を使い、大曲の意識が逸れた瞬間に姿をくらませた。
　今のくららは誰からも見えない。立てる音、纏う臭いすらも届かない。
　もしかすると、長い時間この状態を維持していたら、本当に存在ごと消えてしまうのかもしれない。イバラシティで身の上に起こったことを考えれば、そうなってもおかしくはない。

　けれど、その危険を冒してでも、目の前で踏みつけられている斑目は助けてやらねばならなかった。

　それは世話になっている斑目を痛めつける相手への怒りとは別の判断だ。
　簡単に殺してやるのを癪に思う程度の怒りはあるが、その衝動を抑えて確実性をとる理由がくららにはある。

　恐らく、この男は気付いている。
　くららが元々人間だった可能性に思い至っている。
　そんなことを斑目水緒の前で口にされては困るのだ。
　斑目水緒は親切だ。今は恐らく、くららのことを新種の生物か何かだと思っているだろう。
　しかし、もしくららが人間だったと知れば、彼は元に戻す方法を探すはずだ。

　――今更。
　本当に、今更なのだ。
　くららには人間だった頃の記憶はもう、ほとんどない。
　親も友達もぼんやりとしか覚えていないし、彼らだってくららは行方不明になったと納得しているはずだ。そもそも、こうなってから何年経ったかすら曖昧なのだ。
　今になって人間に戻ったところで、元の生活を送れるはずもない。
　そして何より。くららは、今の暮らしが割と気に入っている。

　ここで大曲を殺しても、イバラシティでどうなるかはわからない。
　けれど、この男は現在進行系で斑目水緒に危害を加えている。斑目にもう少し体力と腕力があればよかったのに、と思わなくはないが、どちらにしろくららはもうこの男を殺すことに躊躇いがなかった。
　一度は殺すつもりで噛みついたのだし。

　だから覚悟を決める、というほどのこともなく。ただタイミングだけを見計らって、腕を伸ばす。
　触れるためには認識される必要がある。
　故に、ギリギリのところで擬態を解く。

　"わたしはここにいる"と、目の前の男に、世界に。認識させる。

「……ッ」

　くららが触れるより先に、臭いでも嗅ぎつけたか大曲が目を見開くが、もう遅い。

　逃げられないよう、最初に首を。それから、胴や脚に腕を絡ませて拘束する。くららの皮膚には毒がある。噛みつかずとも、直に触れた箇所から毒が入り込む。男が動けなくなるのにそう時間はかからないだろう。
　普通ならば、その息が絶えるのにも。
　あの学生を殺した時と同じだ。あの時は、殺すつもりはなかったけれど。

「あら……地雷踏んじゃったかしら」



　何でもないように男が呟く。その態度に苛立ちが募る。

　そうだ。知られては困ることを知った可能性がある、それだけで十分だ。
　ついでに、斑目水緒を痛めつけた。それも一応理由に入る。
　だから絶対に確実に、ここで殺す。

「くららちゃん、殺しちゃだめだ！」

　足元で体を起こした斑目水緒が、こちらを見上げて叫んでいる。
　うるさいなあ、と思う。
　なんでこいつはこんなにお人好しなんだろう。
　自分の手が汚れるわけでもないのに。寧ろ代わりに片付けてやることに感謝してくれたっていいのに。
　本当にめんどくさい男だ。

「くららちゃ、……！」

　ちょっと黙ってろ、と空いた腕で口を塞いだ。むぐ、と目を白黒させる斑目の頭に、目隠しをするようにぐるりと腕を巻きつける。べちべちと触手が叩かれているが、痛くもなんともない。力加減には少し意識を割くが、それだけだ。拘束を解くことはない。
　見られたくない、というより、見せたくないと言った方が正しい。斑目は気が弱いから。

　　　　　　　　　あなた
　今から自分は、斑目水緒の意に沿わないことをする。

　研究室で噛みついたはずの大曲は、どうやらあちらでもまだ生きているらしい。
　つまり、毒では殺し切れなかったということだ。
　抵抗する様子がほとんどないところを見るに、毒が効かないというわけではないようだが。今度は確実に息の根を止めなければならない。
　ならばより、直接的な方法をとるまで。
　七本の腕に渾身の力を込める。
　本来のくららには、人を絞め殺すほどの力はない。拘束するくらいが関の山だ。

（――でも、）

　あの藻噛という学生から聞いた蛸の怪物の話を思い出す。
　抑揚の薄い声が語った海の怪異譚。
　クラーケンと呼ばれる怪物はその巨大な腕で、船のマストをへし折ったという。
　深い海の色をした瞳はきっと、くららを通して怪物を見ていた。

　自分にもできるだろうか。
　くららというものがその怪物だと、この異能で世界に認識させたら。
　人一人まるごとへし折るくらい、容易いことなんじゃないだろうか。
　そうすることで今の暮らしが守れるならば、躊躇う理由はない。

　効果はすぐに現れた。
　体中の筋肉が膨れ上がり、腕で捕らえた男の体が音を立てて軋む。
　今度こそは逃がさない。


　――さあ、世界よ。

　"おまえに見えるわたしを信じろ"。


***


　実のところ、くららは別に斑目水緒に認識してもらえなくてもよかった。
　抵抗されたならば、力ずくで引きずって脇に抱えて進むつもりだった。
　どうせ元の世界でも意思の疎通は満足にできていないのだし、彼の安全さえ確保できれば他のことは些末な問題だった。

　初めてハザマで相対した時、彼の視線は上を向いた。
　自分より大きなものを見る目線。それが異能が強化された故か、噛みついたら異能が解けるという制約が別の空間に移動したことでなくなったのか、定かではないが。
　くららの本当の姿が見えている斑目水緒の目にすら、ハザマではくららが望んだ姿に映るらしい。
　だから、きっとわからないだろうな、と思ったのだ。

　しかし、斑目水緒は一目でくららをくららと認識した。
　目の前に来たくららを見上げて、安堵したような顔で「くららちゃん」と呼んだ。
　驚いて腕の一本で斑目の頬に触れると、「やっぱり。模様でわかったよぉ」と、さも当然のような顔で言ったのだ。蛸の姿でいた頃の模様なんて、出会った時に見ただけなのに。

　浅瀬を気分よく漂っていたところを拾われて、無遠慮に触られたので頭にきて噛みついた時は、別に死んでも知ったことではないと思っていた。
　何故か毒に苦しむ様子を見せない男が、くららの手をとった時。
　驚きと興味に輝く目でくららの目を見つめた時。
　確信したのだ。この男だけは、本当の自分を見てくれると。
　それからくららはずっと、斑目水緒の研究室で暮らしている。

　彼の机の上、写真立ての中で笑う学生を見て、初めて殺してしまった人間の顔を思い出した。
　写真を見ているくららに気付いた斑目は何も知らないまま、海で死んだという教え子の思い出話を始めた。

　『すごく海が好きな子で』
　『あの日も一人で海に出かけて』
　『最上くんの論文、読んでみたかったなあ』

　そうぽつぽつと語る寂しげな横顔に、胸の奥がかすかにきゅうと締まった。
　きっとそれは、くららがヒョウモンダコとして海を漂ううちに忘れかけていたものだ。
　だからくららは、斑目水緒の傍にいる。このハザマにおいても。

　机にあった写真立てはいつの間にかなくなっていた。
　斑目水緒は"最上くん"の話をしなくなり、代わりに"藻噛くん"が研究室に出入りするようになった。
　それは明らかに、日常に入り込んだ異物であったのに。
　くららを含めて、違和感に気付く者はいなかった。
　このハザマに来るまでは。

　イバラシティを覆っていた嘘が剥がれ落ちる。
　巧妙で狡猾で、ある意味においては――或いは誰かにとっては、優しい嘘。
　もうこの世にない人間の顔をした侵略者が、ここでは牙を剥く。

　藻噛叢馬は侵略者だ。

　斑目水緒もきっとわかっている。
　わかっていてなお、"藻噛くん"に会いに行くと彼は言う。
　話をしたいと、そう言うのだ。

　愚かだと思う。
　度し難いほどのお人好しだと思う。
　だからこそ、無事に藻噛叢馬の元まで送り届けねばならない。
　それが斑目水緒の望みであるならば。


***


　腕に抱いた男の鼓動が止まっているのを確認して、瓦礫の陰にぽいっと捨てる。
　力の抜けた体が抵抗なく落ちて、転がった。

　別に罪悪感もなにもないが。
　人の骨を折る感触は、あんまり気分のいいものではないな。と思った。

ENo.520 チャコール とのやりとり


ENo.1386 ボルドール とのやりとり

タウラシアス(173) から 否定の世界の反魂香 を手渡しされました。

ItemNo.39 否定の世界の反魂香 を使用しました！
　魔香のため、体調は回復しなかった。
　今回の全戦闘において 復活43 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

タウラシアス(173) から 150 PS 受け取りました。
タウラシアス(173) に ItemNo.31 ぶにゅぶにゅ を送付しました。

自然LV を 30 DOWN。（LV35⇒5、+30CP、-30FP）
付加LV を 13 DOWN。（LV60⇒47、+13CP、-13FP）

武術LV を 30 UP！（LV5⇒35、-30CP）
命術LV を 5 UP！（LV31⇒36、-5CP）
防具LV を 18 UP！（LV81⇒99、-18CP）

タウラシアス(173) により ItemNo.11 紅小石 に ItemNo.41 腐肉+1 を合成してもらい、謎の肉 に変化させました！
　⇒ 謎の肉／食材：強さ20／［効果1］増幅10(LV5)［効果2］攻撃10(LV15)［効果3］強撃10(LV30)

ItemNo.33 珊瑚 から防具『魔性なる海馬の毛皮』を作製しました！
　⇒ 魔性なる海馬の毛皮／防具：強さ436／［効果1］増勢40 ［効果2］－ ［効果3］－


ItemNo.33 魔性なる海馬の毛皮 に ItemNo.25 燐灰石 を付加しました！
　⇒ 魔性なる海馬の毛皮／防具：強さ436／［効果1］増勢40 ［効果2］奪命20 ［効果3］－


くじらきんぐ(1684) とカードを交換しました！

全ての生命の源 （フロウライフ）


ヘカトンケイル を研究しました！（深度0⇒1）
ヘカトンケイル を研究しました！（深度1⇒2）
ヘカトンケイル を研究しました！（深度2⇒3）

コラプション を習得！
フェイタルポイント を習得！
アウトレイジ を習得！
応酬 を習得！
デスブランド を習得！
ブレイクスルー を習得！
クランブル を習得！
ジェネラル を習得！
怪力乱神 を習得！
荒療治 を習得！
如夜叉 を習得！
マーシャルアーツ を習得！
重鎧作製 を習得！
ソードブレイカー を習得！
ハイドロラッシュ を習得！
プルート を習得！
活殺自在 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

タウラシアス(173) は 紫水晶 を入手！
ナックラヴィー(502) は 黒水晶 を入手！
ナックラヴィー(502) は すごい石材+1 を入手！
ナックラヴィー(502) は すごい羽 を入手！

タウラシアス(173) に移動を委ねました。

タニモリ区 D-16（山岳）に移動！（体調25⇒24）
タニモリ区 E-16（山岳）に移動！（体調24⇒23）
タニモリ区 F-16（山岳）に移動！（体調23⇒22）
タニモリ区 G-16（山岳）に移動！（体調22⇒21）

［826 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［447 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［491 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［198 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［402 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［323 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［246 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［182 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［103 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［145 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［141 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［277 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［35 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［147 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［77 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［93 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［67 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［43 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［66 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［55 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［0 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［0 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［0 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　　　･････ヴオオォォォ･･･ッ！！

　

　

　

チャットに響く走行音。

　

　

　



　

　

　　　ヴォンヴォンヴォンヴォンッ

　

　




　

アルメシアがバイクで登場する。

　

　

　








　








　

　

　







　

　

　　　――ザザッ

　

　

　

　

チャットが閉じられる――