［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［スキル］OK.　

　いつも通り買い物に出かけて、いつも通りスーパーの袋を抱えて家に帰る途中だった。
　その筈だったのだがいつの間にかおれは馴染みも無ければ人気もない喫茶店で紅茶を前に固まっている。
　向かいに座る少女はおれを見つめると、親しい友人に向けるかのような微笑みを浮かべて一言。

「改めましてごきげんよう、月守命さん」


XIX. 示されたピースが一つ


　拉致された、というのが状況を表すのに一番正しい気がする。
　帰り道の途中、目の前の少女に突然腕をがっしり掴まれて「ちょっとお茶でもいかが」以外のことは何も話してもらえないままぐいぐいと連行されたのだ。
　その時点で断ればよかったのだが、深く被った鍔の広い帽子とサングラスに見覚えがあったせいで強く抵抗もできなかった。
　それでも店に入ってソファに座らされた時点で流石に、と声を荒げようとして──したのに。
　結局何もできずに座っているのには理由がある。


　喫茶店に入った彼女が取り去った帽子とサングラスの、その向こう。
　視界に映るのはとても見慣れた色だった。


　恐る恐ると投げかけた問いはあっさり否定されてしまった。だがあまり大きく外れてもいなかったようだ。
　先生の顔立ちもよく整っているとは日頃感じていることだけれど、血縁であるからだろうか。例に漏れず彼女もまた人目を惹く美しさを纏っている。


　先生もゲームを好んでよくプレイしているが、彼女もまたそうなのだろうか。
　界隈での専門用語がある、ということ自体は知っているので、彼女が口にした言葉も俺の知らない世界の話なのだろう。
　詳しく説明する気のないらしい彼女は、紅茶でも飲みながら耳を傾けてください、とおれに薦めて言葉を続けていく。


　が、続けられた言葉があまりにも突拍子の無い内容だったので、結局カップを手に持つ気にはなれなかった。
　何度も瞬きをして彼女を見る。相変わらず微笑んだまま、……嘘を言っている様子はない。
　というか時間が無いと口にしておきながら他人をこんなところに急に連れてきて、妄言を話し始めるのもおかしな話だ。


　そういうわけで一応は信じたという体で彼女の話に付き合うことにした。
　心から信じるには実際に未来でも当ててもらわないとできなさそうだったので、少しばかりの疑心が残っているのは致し方ないとしてほしい。


　彼女の話に口を挟むことなく、求められた通りに黙って耳を傾ける。


　その内容が、語られるまでは。


　少しだけの筈だった疑心が、大きく膨れ上がる。


　信じたくないからだ。例え可能性の話だとしても。
　だって先生は、今のおれにとって唯一の家族。


　何か言いたい。でも何も出てこない。
　次への疑問を、聞きたいことを、胸の内に浮かばせるためにはその可能性を受け止めなくてはいけない。
　それができないから、言葉が紡げない。


　いつの間にか顔を上げることもできずに俯いていたおれの眼前に、二枚の名刺が手渡される。
　片方にはある病院の名前と、そこの院長の名前が書いてあった。
　もう片方には彼女の名前と、電話番号。

　
　落としていた視線を上げて彼女へと向ければ、何てことないように変わらず微笑んでいた。
　それが少し気味が悪くて、でも、そういうものなのかもしれない。
　信じたくはない。けれどもしこの話が本当なのだとすれば、彼女にはずっと分かり切っていた事実なのだろうから。


　だからその笑みに絆されるように湧き上がった疑問を一つだけ投げかける。


　ぐらぐらに揺らいで崩れてしまいそうな心が、それでも明確にした事実にすこしだけ、落ち着きを取り戻す。
　分かっていた。知っていたのだ。
　死にたいとまで明白でなくとも、彼が多くの先を望んでいなかったこと。
　朝目が覚めるとテーブルに並んでいた沢山の空き瓶、部屋を覗けば灰皿の上に積み重なった吸い殻。
　眠るときは電源が切れるように。酔い切ったときにだけ見える迷子のような姿。
　その傍に居る、彼には見えない母親の愛情。
　深く突き止めずに見ない振りをしていたことがある。おれにはきっと変えられなかったことがある。
　その道筋が少しでも変わる可能性があるのなら、そのことだけは、ただ──よかった、と。


　彼女の笑みには含みがあったけれど、今日はそれ以上を言及する気にはなれなかった。
　冷め切った紅茶をようやく一口だけ含んで、小さく息を吐く。


　今のところこんな話をしても彼女に益があるとはあまり思えない。ただの善意だけでこのように行動を起こす程善良な人間に見えないのは、先生の血縁という点に引っ張られすぎているのかもしれないけれど。
　すれば彼女はくすりと笑って上品に口元を掌で覆う。
　返された答えは結局、おれにとっては要領の得ないものだった。

ENo.266 うさ子 とのやりとり


ENo.691 冬海 とのやりとり

領域LV を 5 UP！（LV15⇒20、-5CP）

アリス(808) とカードを交換しました！

偽りの禁呪詠唱 （デスブロウ）


インファイト を研究しました！（深度0⇒1）
インファイト を研究しました！（深度1⇒2）
インファイト を研究しました！（深度2⇒3）

インヴァージョン を習得！
覇気 を習得！
サルベイション を習得！
ポーションラッシュ を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

一海(853) は 百日紅 を入手！
斎(1033) は 空木 を入手！
万智花(1159) は ふきのとう を入手！
ヒシュ(1202) は ふきのとう を入手！
ヒシュ(1202) は 装甲 を入手！
一海(853) は 立派な羽 を入手！
斎(1033) は 羽 を入手！
一海(853) は 燐灰石 を入手！

万智花(1159) に移動を委ねました。

リュウジン区 Q-4（草原）に移動！（体調25⇒24）
リュウジン区 Q-5（森林）に移動！（体調24⇒23）
リュウジン区 R-5（森林）に移動！（体調23⇒22）
リュウジン区 R-6（森林）に移動！（体調22⇒21）
リュウジン区 S-6（森林）に移動！（体調21⇒20）

［861 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［443 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［192 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［393 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［295 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［214 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［150 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［72 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［131 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［121 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［151 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［12 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［46 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［3 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　

　

　




　




　



　




　

　

　




　

　

　




　

　

　




　

　

　

チャットが閉じられる――