［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

「食料、武器……うん、揃ってる」

　拠点で次の目的地への準備を進める。
　夢見こそ悪かったが、あれから特に異変は起きていない。

「うさ子ちゃん、準備整った？」　

　莉稲が横から話しかけてきた。彼女は俺の隣に腰を下ろす。

「……何事もないままなら、いいんだけれど」

　ため息がちに莉稲は言った。
　この拠点も今までは不可侵領域だったのだが、これからはアンジニティとの決闘の戦場になるらしい。どうやらこの世界のルールを引いてる奴らが互いの不可侵領域を消し去ったようなのだ。
　俺たちにも、アンジニティにも最早安息の地は存在しなくなる。それをルール側が施行したというのだから争う俺たちを面白がっているようにしか思えない。趣味の悪い連中だと感じていた。

「大丈夫ですよっ。ばっちりです。みんなのことも、莉稲お姉ちゃんのことも守るために私は精一杯戦います！　この蒲ノ穂の力があれば怪我だって治せるンですから！」

　意気揚々と杖「蒲ノ穂」を掲げてみせる。
　莉稲は共感力が高い。他人の痛みに寄り添って、自らも心を痛めるような人間だ。だから、余計な心配をさせるわけにはいかなかった。
　極力相手陣営との戦闘を避けていた旅路も、これからは大きく変わるだろう。俺が、うさ子がこれまで以上に覚悟を決めて戦わなければならない。
　莉稲は強くて、俺が守る必要なんてないのかもしれない。それでも、彼女は俺が痛い目に遭えば悲しむだろうから。
　この先辛い思いをさせるならと俺は彼女の善性を跳ね除けようとしたこともある。
　けれど、結局俺には突き放すことができなかった。

---

　なんてことはない、昼下がりのことだった。俺はある決意を胸に、自宅アパートの扉を開いた。

「おかえり〜」

　部屋で留守番をしていた莉稲が迎える。
　彼女の周りは常にのんびりとした時間が流れていた。こと自分の行動圏においては、それは仮初の日常の上に成り立っている歪な時間だった。

　──今日で終わりにしよう。

　莉稲は俺の家によく遊びに来ていた。
　彼女が見張っていられる位置。それがこの部屋。
　彼女が安心してくれるならと甘んじていたが、この選択は信頼を利用して己の都合に付き合わせているだけではないだろうか。

　信頼を否定するのが裏切りなら、どうしたっていずれ傷つけることにはなるだろう。
なら、程々のところで突き放してやるべきじゃないのか。
　積み重ねれば積み重ねただけ、崩れた時に伴う痛みは大きくなるのだから。

　終わらせるのは一瞬だ。傷つくのは一度だけで良い。

「あのさ」

　壁際でテレビを見ていた彼女の正面へ歩み寄り、視界を遮るように腰を下ろした。
　背後で旅番組のリポーターが聞き飽きた感想を口にしている。
　そのまま壁に手を突き当て、顔を近づけた。

「お前、もううち来るのやめろよ」

　温度のない声を落とす。
　こうしてしまうだけで、俺はいとも簡単に莉稲の自由を蹂躙することができた。
　胡桃色の瞳の中に、つまらなそうな男の顔が映っていた。
　彼女は何も言わなかった。何も訊かなかった。
　小さく開いた口からは戸惑う声も無く、視線の合った目は逸れることのないままこちらを捉え続けている。
　どんな感情を抱いているのかは読み取れない。けど、見えないなら見えないままで有難かった。
　彼女に押し退ける力がないと知ってて威圧する人間が、そこに配慮することはないのだから。

　二言目を発しようかという矢先、彼女は白く細い指先をこちらに伸ばしてきた。
　彼女の両手は押し退けるどころか頬に触れ、包むように挟み込む。
　やわらかく固定された頭が、逃げ場を失った。
　そうして、彼女は自らの顔と距離を詰め──

　──思い切り頭を打ち付けた。

「〜〜〜〜ッ」

　星が弾けたみたいに目の前がチカチカと明滅する。いたい。めちゃくちゃいたい。
　人間不意の一撃には弱いもので、思わず身を引いて尻餅をついていた。

「ッにすんだ……！」

　明らかに仕掛けた側にしては余裕のない台詞を口にして、額を押さえながらなんとか彼女の方を窺う。
　その顔を見て、想定していたはずなのに思考が止まった。

「──痛いね」

　彼女は泣いていた。俺と同じように額を押さえていた。
　それだけ言って、スッと立ち上がる。その足は負荷など一切感じさせず。

「へ」

　目を丸くして間抜けを晒す俺をよそに、彼女は横を抜けて台所へ歩く。
　そして袖で顔を拭うと冷蔵庫の卵を取り出し、手際よく調理器具を扱い始めた。

　馴染んだ光景。熱した卵焼き器に弾ける卵液の音。香ばしく立ちのぼる匂い。
　茫然といつもの異能が行使される不可解な光景を見ていることしかできなかった。
　ややあって、卵焼きの乗ったひと皿がテーブルに箸を添えて置かれる。

「召し上がれ」

　そこに説明は無く。手を付けられるはずも無く。
　息が詰まったまま皿に視線を落としていると、彼女のほうが口を開いた。

「……やめないよ。鬱陶しいと思われても、わたしは。わーくんがここにいるって知ってるもん」

　彼女は続ける。

「ひとりで悲しくなっちゃいやだよ。わーくんだって、痛かったんでしょう」

　なにを、口走っているのか。
　彼女のことは見透かせないのに、逆はまるで。
　痛かったんでしょう、なんて。
　たとえば俺が柄のない刃を固く握っていたとしても、切り掛かられたら痛い方はあちらであろうに。

「……だから、ね。食べて元気出そう？」

　当然のように食事を促す。
　この手を振り払ってしまえばどうだろう。あまり意味をなさない気がした。
　彼女は考えもしない行動ばかり見せつける。核心に触れることはないくせに、刺さった本人ですら気づかない棘をあっさり溶かして。

「……いただきます」

　まだ繋がっていても良いように錯覚させてしまう。
　そんなこと、あるわけないのに。

　卯島渉は弱いままで、汐見莉稲は強いのだ。

　それを知っているから、彼女が目を掛ける必要など無いくらい俺も強く在らねばならない。そうして願わくば、いつか自然と離れて忘れてくれと思う。
　俺はもう、あんな顔をさせてまで寄り添わせるわけにはいかない。

ENo.153 十九号 とのやりとり


ENo.490 雛 とのやりとり


ENo.631 クロウラ とのやりとり


ENo.880 オバチャン とのやりとり

ItemNo.4 エナジー棒 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 活力10 防御10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

ユイノ(388) に 120 PS 送付しました。

エナジー棒（30 PS）を購入しました。
エナジー棒（30 PS）を購入しました。

自然LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
付加LV を 5 UP！（LV6⇒11、-5CP）

ロッテ(948) とカードを交換しました！

ダガーハッシュ（連撃） （グリムリーパー）


クライオセラピー を研究しました！（深度1⇒2）
ディープブルー を研究しました！（深度0⇒1）
ディープブルー を研究しました！（深度1⇒2）

スキューア を習得！
環境変調耐性 を習得！
ヒールハーブ を習得！
上書き付加 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

ケムルス(719) は 剛毛 を入手！
ナキドリ(516) は 剛毛 を入手！
ケムルス(719) は 鱗 を入手！
サキ(768) は 不思議な布 を入手！

次元タクシーで ウシ区 E-19：チェックポイント《黒い水》 に行こうとしましたが、チェックポイントが開放されていません。

チナミ区 D-3（隔壁）には移動できません。
チナミ区 D-3（隔壁）には移動できません。
チナミ区 D-3（隔壁）には移動できません。
チナミ区 D-3（隔壁）には移動できません。
チナミ区 D-3（隔壁）には移動できません。
体調が全回復しました！

『カミセイ区 F-11：チェックポイント《商店街》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - うさ子(266) の選択は カミセイ区 F-11：チェックポイント《商店街》

MISSION!!
ウシ区 E-19：チェックポイント《黒い水》 を選択！
　　 - うさ子(266) の選択は ウシ区 E-19：チェックポイント《黒い水》

［861 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［443 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［192 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［393 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［295 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［214 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［150 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［72 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［131 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［121 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［151 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［12 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［46 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［3 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　

　

　




　




　



　




　

　

　




　

　

　




　

　

　




　

　

　

チャットが閉じられる――

チェックポイント。



再び現れる守護者。

　　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！