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泰元2年　2月23日　　http://lisge.com/ib/k/8/r158.html



受け取った紙袋を開きもせずに、清は布団に寝転がっている。
その紙袋は、深谷が懇意にしているバー、オブシディアンのママから受け取ったものだ。

二月になっていた。
寒さが緩み、梅の花を見る頃になると、深谷にも清のことが、おおよそわかってきた。
清は無気力なのだ。
体は健康なようだが、何かをしたいという意欲が見られない。
ただ、全く何もしたくない、動けないという事でもない。
自分で考える事が嫌なだけだから、言われれば家事でも、深谷の手伝いでも、大抵の事はできる。
だから深谷も、気が付くのが遅れた。

一度気が付けば、清のおかしな行動は、ほとんど全てそこに由来しているとわかった。
その最たるものが、服だ。
清は自分の服を買わない。ここへ来た時に来ていた服と、深谷の古い服を着て過ごしている。
どうしても必要なものだけは買ってはいるようだが、ちぐはぐで、見苦しい事この上なかった。

だから深谷から、バーに頼んでいたのだ。
まとまった枚数があれば着回しが利くし、深谷の服を着る羽目にもなるまい。
だが、彼女は化粧品まで集めてくれていたらしい。
思ったよりもママは、深谷と清のことを気にかけてくれていたようだ。

彼女らの教えてくれた手がかりは、妖怪を見つけるのに確かに役立った。
人との関わりを減らしていながら、こうして助けられることがあると
また少し、人と親しく関りたくなってしまう。

……問題は、当の清が何一つありがたみを感じていないことだが。


気力がないというなら、大人しく受け入れていればいいものを、今日の清は機嫌が悪かった。
バーの雰囲気が嫌いなのだろう。育ちの良い娘が、気に入る場とも思っていない。
だが、今、清が頼れるのは深谷しかおらず、深谷が、清のことで頼れるのは彼女らくらいだった。


清は寝返りを打つ。深谷に背を向けた。


無気力な癖に、清は妙に投げやりだ。
それとも捨ててほしいのだろうか。今度こそ捨てられて、ごみのように路地に転がっていたいのだろうか。
兄のように？


何か狙いがあるはずだと、真っ黒な瞳が深谷を見返す。
きっと清の納得する理由を、深谷は答えられない。
財布を拾って交番に届けてやる、酔漢に手を貸してやる、その延長に、哀れな小娘を拾うことがあっただけ。
警察に届けず家に置いたのも、退魔師として仕込み始めたのも、
ただ、それらを知った清がどうするかに興味があっただけだった。
深谷なりの理由があったのだが、それは恐らく、清の納得するものではない。

清は哀れだ。

恵まれた家で、幸せな暮らしをしてきたからこそ、兄が死んだことを乗り越えられなかった。
傷つくだけ傷ついて、その結果がこれだ。
自棄を起こしている姿は、かつての自分と似ている。

自分がいなくても神社は変わらず在るし、必要としてくれた人ももういない。
死ぬまで一人なのだと考えていたし、諦めと無気力に満ちた暮らしは、ぬるま湯のように居心地が良かった。
理解できる。できてしまう。
それが虚しく、何も生まないということも。
優しさでは、清を救えないことも。

自分も清も、あまりに虚しい。
差し伸べられる手をすべて振り払い続ければ、何一つ残せないままこの世を去るのだ。
このままなら、2人ともそうなる。それは、ひどく恐ろしかった。

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「……あの？」

言い訳だ。
理由なら幾らでも作ることができるが、結局は人肌恋しいだけで、
そしてそれを清に伝えたところで、何の意味もない。

断るならそれで、一向に良かった。
家事をしているから手伝いをしているから、それが家賃で良いだろうと、
その程度言い返せば、それで済む話のはずだ。
そう言われれば深谷は、舌打ちの一つでも落とし、機嫌を損ねたような顔をして、あとはいつも通り過ごせばいい。

だが、清は何も言わなかった。
嫌だとも、何とも、顔を背ける事すらしない。
死んだような目が宙を見ているばかりで、この期に及んでも、清は無気力だった。

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楽しいかといえば、あまり楽しくはなかった。

布団の上で目を閉じている清は、寝ているのか起きているのか判然としない。
確認するつもりもなく、深谷は煙草を燻らせている。


清は疲れ切っている。
深谷の言葉に逆らわないのも、荒唐無稽な話を信じるのも、疑うことすら面倒だからだ。
身を守るつもりもなくて、今にも消えてもいいと思っている。
だから妖怪からも逃げようとしないし、深谷を拒みもしない。
拒むようなら安心できたが、どうにも根が深すぎた。


一つも自慢できない人生だった。

親に捨てられ、神社の子として育てられた。
この生き方をしたのだって、それ以外を知らなかったからだ。
幼い子供が親を全てとするように、深谷にとって、神が全てであっただけ。
そしてたまたま、神力なんてものが強かったから、巫覡になれて、それで生活ができただけだ。
それなりに満足していたから、ほかの生き方を、わざわざ探しもしなかった。

それでも神の愛と人の愛は違う。
一方通行の信心ばかりを捧げて、それでいいと思っていた頃に、人の愛を知ってしまった。
己の言葉によって、手によって、好ましいように変わってくれる人間が存在することが嬉しくて、
深谷は沙耶に夢中になった。
幸福にしたかったし、与えられるものは与えた。全霊で愛した。己より好きだった。

それを失った今、この生は無意味で、残るものなど何もない。
妻も子もいなくなり、妖怪を祓ったとて、またすぐに生まれるだけ。
新たな生き方を探す気もなくて、深谷はこのまま、暇を潰しながら生きるのだと思っていた。


だが、何か一つ、今から残せるとするなら。

もしも清を立ち直らせて、退魔師として一人前にできれば、
それは、深谷が生きた証になるのかもしれない。

清が全く立ち直れないと、深谷は思わなかった。
言えば動くし、殴れば目が生きた。自分の意見を持って言い返す気概があるのなら、まだ希望はある。
優しさは清を救わない。しかし、信仰はどうだろう。
退魔師の弟子として、忙しく働く日々は？

退魔師として清を育て上げること。
立ち直らせて、一人で生きていけるようにすること。

それさえできれば、この人生は報われる。
そんな気がしていた。

ItemNo.2 いとしきまぼろし を使用しました！
　魔香のため、体調は回復しなかった。
　今回の全戦闘において 耐疫10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

タウラシアス(173) に ItemNo.35 羽 を送付しました。

料理LV を 25 DOWN。（LV65⇒40、+25CP、-25FP）

自然LV を 5 UP！（LV5⇒10、-5CP）
付加LV を 30 UP！（LV35⇒65、-30CP）

ItemNo.25 激情の澱 に ItemNo.27 柿 を付加しました！
　⇒ 激情の澱／武器：強さ306／［効果1］体力20 ［効果2］体力30 ［効果3］－【射程1】

ナックラヴィー(502) の持つ ItemNo.17 幻想藻の紅揺鬣 に ItemNo.3 白い塊 を付加しました！
オプスキュリテ(938) の持つ ItemNo.11 飢渇の狂石 に ItemNo.22 触手 を付加しました！

トキワ(398) とカードを交換しました！

転送：トキワ工房夜が楽しくなる薬 （プレリュード）


ムスケルクラフト を研究しました！（深度0⇒1）
ムスケルクラフト を研究しました！（深度1⇒2）
パワフルポーション を研究しました！（深度0⇒1）

ブルーム を習得！
オートヒール を習得！
クリエイト：マナクリスタル を習得！
フングラ を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

不浄の滝(158) は 角閃石 を入手！
タウラシアス(173) は 角閃石 を入手！
ナックラヴィー(502) は コベリン を入手！
ナックラヴィー(502) は 虹色の雫+2 を入手！
ナックラヴィー(502) は 燐灰石 を入手！
ナックラヴィー(502) は 立派な羽 を入手！

▼エイド化候補（基本行動にてエイド化可能）
不浄の滝(158) のもとに 木霊 が空を見上げなから近づいてきます。
不浄の滝(158) のもとに 岩巨人 が興味津々な様子で近づいてきます。

ミナト区 B-11（山岳）に移動！（体調16⇒15）
ミナト区 C-11（山岳）に移動！（体調15⇒14）
ミナト区 D-11（森林）に移動！（体調14⇒13）
ミナト区 E-11（草原）に移動！（体調13⇒12）
ミナト区 F-11（草原）に移動！（体調12⇒11）

［870 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［443 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［190 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［380 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［296 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［204 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［143 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［61 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［123 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［108 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［129 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［12 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［37 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




チャット画面に映るふたりの姿。

　





　





　

　

　

　

　

　





　

　

　

　

　

　





　





　





　





清々しい笑顔を見せるふたり。

　

　

　






　








　

　

　

ふたりの愚痴が延々と続き、チャットが閉じられる――