［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［スキル］OK.　

　世界で一人ぼっちになってしまった。


　あの頃はずっと、そういう感覚だった。
　あの人たちとのお別れがあんまりにも突然で、きちんと悲しむこともうまくできないまま。
　たらい回しにされる親戚の家で向けられるのは、おかしくなった視界に対する恐怖と嫌悪ばかり。
　突然家族を失ったことで気が狂ってしまったのだと囁かれていたと思えば、次いで向けられるのはまともに生きられない子どもに対する憐憫の情。
　おれだって参ってるのに、誰も本当に寄り添ってなんかくれなかった。


　世界で一人ぼっちになってしまった。


　だからある日真夜中に家を飛び出した。
　夜は変なものが多くて嫌だけど、なんだかもうどこも息苦しかった。
　その頃の家から近かった並木道は、一年中桜が咲き続ける不思議な場所で。
　走り疲れて歩き疲れて、適当な幹の元でしゃがみこんで膝を抱えた。
　このままずっと丸くなっている方が楽なような気もして、視界を閉ざして朝が来ないことを願ったりもして。
　どれくらいの間、そうしていたのかは分からない。


　けれど、それは不意に。



　声が聞こえた。
　慌てて顔を上げはしたが、瞳には誰も映らない。


　どうやら幹を挟んで向こう側から声は聞こえていて、だから姿が見えないのだと分かる。
　でもその頃のおれは今よりも本当の人とそうでないものの区別がつかなかったから、振り返って確認するのが怖くて動けはしなかった。


　こっちが何も答えないのに、そのひとは問いを投げかけ続ける。
　一つも上手く返事ができなかったおれは、でも三つ目の問い掛けでようやく、声を絞り出すことができた。



　多分、だれでもよかった。
　だれでもいいからこの胸の内を聞いてほしかった。
　だれにも言えずに抱えているのが、苦しかった。


　本当の心を伝えかった。
　知ってほしかった。
　分かってほしかった。
　あの人たちみたいに抱きしめてくれなくてもいいから。
　慰めてくれなくたっていいから。


　そうやって堪えていたものをひとつこぼせば、ぽろぽろと全てまろびでていく。



　誰の前でも流すことのできなかった涙が、馬鹿みたいに一緒に溢れていく。


　もう一度口にしてしまえば、本当にぬくもりなんてこの世界にはもうどこにもないように思えて。
　抱えた膝に額を押し付けて、また視界を闇に閉ざしてしまう。
　返事はすぐには返らなかった。もうどこかにいってしまったのかもしれないし、或いは幻聴だったのかも。
　そう己を疑い出した頃に、それでもその誰かはちいさな声でまた問いかけてくれた。


　静かな声音はすんと冷えていて、落ち込みきった胸の内を更に凍えさせるようで。
　ああでも、だからこそ。
　ぐちゃぐちゃになっていた頭の芯にも与えられた冷たさで、目の前がすこしだけはっきりとする。
　四つ目の問いを、心の中で繰り返す。

　あの人たちと一緒に死にたかったか。
　
　ベッドで一人目覚めたとき、二人はもうこの世にいないのだと聞いたとき。
　そりゃそうだ。絶望したし、なんでこんなことになったんだって、そう思いはしたけれど。
　だからといってその問いに返す答えは、決して。





　苦しさの中沈んでしまっていた、大切な思い出を拾い上げる。
　おれが生きてきた10年。長い人生で見てしまえば短いのだろうたったの10年。
　それでもたくさんの愛を与えられて授けられた、ずっとずっと消えることの無いかけがえのない時間。





　ならば望むことはたった一つだけなのだ。
　その思い出も、その愛も、この身に今もまだ在り続けているのだと証明するために。
　のこしてもらえたおれにできる唯一のことは、きっと一つだけ。


　これからも生き続けて、この生を肯定し続けること。
　さいごのときは笑って、あのとき終わらなくてよかったって言えるように。



　そんなおれの言葉に、そのひとが返したのは短い相槌だけ。
　それきり長く、それ以上の会話が続くことは無くて。
　

　だからようやく気になって、幹の向こうへと目を向けたけれど。
　結局そこには誰の姿も無かったから、ああやっぱりおれの都合のいい幻聴かと。
　それともすぐに移ろいで消えてしまう、人ではない何かだったのだろうと。










　いやでももしかしてあれって、というかもしかしなくともまあ。

（先生だったのかな）

　すっかりその後訪れた慌ただしい日々に薄れて消え去ってしまっていた或る夜の時間を、このタイミングで思い出したのはたまたま昨夜の夢に見たからとそれだけに過ぎない。
　おかしな経験は常日頃してしまっているものだから、いつの間にか不思議な夜のこともそれらの一つとして消化されてしまっていた。
　今日行う分の勉強も丁度キリのいいところまで終わったし、ならばと本人に確認するために自室の扉を開ける。


　ん、とソファに腰掛けている姿に声をかけようとしたものの。最後まで紡ぐことなく口を噤んで大人しくする。
　というのもよくよく顔を見てみれば瞼を伏せている。つまり寝ている。
　流石に人の睡眠を邪魔してまで話しかけるつもりはないので、代わりに自室から持ってきたブランケットを膝にかけてやった。
　前はこれぐらいのことをしているとすぐに起こしてしまっていたのだが、最近は多少のことでは目覚める気配がない。
　それだけ深い睡眠を取れているということではあるが。

（……よく寝てるなあ）

　別々に寝るようになったので、夜眠れているのかは知らないのだけれど。
　ただこうやってうたた寝している回数が前よりも増えているのは確かだ。
　食事の後とか、仕事の休憩中とか、休日のお昼だとか。
　恐らく元々積み重ねてきた睡眠負債の量が多すぎるのだろう。眠れる内にたくさん寝てくれたらいい。

　そんな風に思いながらなんとなく横に腰掛けて、寝顔を見つめながら夢のことを思い出す。
　世界でひとりぼっちだったあのとき。誰も味方してくれなかったあのとき。
　突然現れたこの人だけが、こんな視界のことなんて何とでもないように手を取って家族にしてくれた。
　あの夜の誰かが、先生かはまだわからないけれど。
　それでももし、あの夜の望みを聞いて手を差し伸べてくれたのであれば。
　いや、ううん。別に、そうじゃなくても。


　消えることのない大切な10年。
　その上に今もまだずっと、おれは愛情を積み重ねている。
　あのとき泣いて嫌がったこの視界だって、ちょっとずつだけれど悪くはないって、そう思ってる。

ENo.266 うさ子 とのやりとり


ENo.691 冬海 とのやりとり

特に何もしませんでした。

領域LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
防具LV を 4 UP！（LV95⇒99、-4CP）
装飾LV を 1 UP！（LV0⇒1、-1CP）

ラス(1320) とカードを交換しました！

転写『ブレイドフォーム』 （ブレイドフォーム）


クイックレメディ を研究しました！（深度0⇒1）
クイックレメディ を研究しました！（深度1⇒2）
クイックレメディ を研究しました！（深度2⇒3）

リフレクション を習得！
コンテイン を習得！
ヘイルカード を習得！
ピュリフィケーション を習得！
クイックレメディ を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

一海(853) は 柿 を入手！
斎(1033) は ふきのとう を入手！
万智花(1159) は 柿 を入手！
ヒシュ(1202) は ふきのとう を入手！
万智花(1159) は とげとげ を入手！
一海(853) は とげとげ を入手！
一海(853) は 毒液 を入手！
一海(853) は 牙 を入手！

万智花(1159) に移動を委ねました。

リュウジン区 L-5（森林）に移動！（体調10⇒9）
リュウジン区 L-4（草原）に移動！（体調9⇒8）
リュウジン区 L-3（チェックポイント）に移動！（体調8⇒7）
チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
体調が全回復しました！

『ウシ区 R-4：チェックポイント《古寺》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - 万智花(1159) の選択は ウシ区 R-4：チェックポイント《古寺》

MISSION!!
リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》 が発生！
　　 - 一海(853) が経由した リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》
　　 - 斎(1033) が経由した リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》
　　 - 万智花(1159) が経由した リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》
　　 - ヒシュ(1202) が経由した リュウジン区 L-3：チェックポイント《果物屋》

［871 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［441 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［177 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［377 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［286 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［199 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［137 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［56 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［122 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［92 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［90 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［83 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［0 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［8 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　　　ザザッ――

　

　

　






チャットにノウレットが現れる。

･･･が、どうも雰囲気が異なっている。

　





　




　





　





　

　

　

チャットが閉じられる――

チェックポイント。

仄かな光に包まれた六角形の柱が立っている。

　

･･･柱から滲み出るように、何かが生み出される。



　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！