http://lisge.com/ib/talk.php?p=291&sno=27455009
みっつ、隠し事がある。
ひとつは、暴かれたとしても困らない。
ひとつは、罪を犯した者とだけ分かち合う。
さいごのひとつは、誰にも明かさない。
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暮泥 唯 「来たよ~。」 |
カスミ区。両脇を建物に挟まれ、日照権をほぼほぼ譲り渡したかのようなボロアパート。
ノックもせずに404号室のドアを開け、やたら暗い玄関に靴を脱いで上がり込む。
白い蛍光灯に照らされた部屋。閉まったままのカーテン、シミだらけの天井。
布がかけられたままのイーゼルと、何故か片隅に置かれているらくがきだらけのホワイトボード。
液晶タブレットに向き合ったまま、画面をペンでかちかちと叩き続ける部屋の住人に声をかけた。
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速水 徹也 「…………。」 |
そこにいる従兄からの返事はない。
部屋の隅にスクールバッグを置いて、図書館で借りてきた魚図鑑を引きずり出す。
傍らのベッドに飛び込めば、そこにある枕の上で本を開いた。
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速水 徹也 「……来たよお、じゃねえよ。」 |
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暮泥 唯 「来ました!」 |
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速水 徹也 「違ェだろ。来ましたもいらっしゃいましたもねえよ。 毎回毎回言ってるけど一週間前には連絡入れろっていつも言ってるし、 今月来ていい日はこの前手紙に書いて送ったはずだし、今日はその日じゃないし、 そもそも今月は〆切がヤバいから原則来んなっつってるはずだし、忘れたとは絶ッ対言わせねえし、 つか真っ昼間からなんで来たの? 今日学校休みなの? なんでそういうことすんの? とにかくな、俺いまお前に構ってる暇ねえの。とっとと帰れ今すぐ帰れ即座に帰れ。」 |
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暮泥 唯 「…………ん。」 |
ほとんど一息に言ってみせるあいだも、従兄は顔を上げることなく画面と向き合っている。
せわしなく筆を動かすその様子と、液晶画面の中で描かれていくイラストをしばらく眺めて、
それから、手元にある魚の写真へと視線を戻した。ページをめくる。
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暮泥 唯 「じゃあ放っといてくれていいですよ。勝手にやります。」 |
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速水 徹也 「ア~~~~? 今なんつった? あのね……それはちょっとダメなんですよね……。 いくら合意の上でも子供の衣食住を完全にほっとくクズ野郎になりたくないのでダメで~す。 帰れ帰れ。俺のまっとうな社会性と尊厳を守るために帰れ。ここはお前の家じゃねえ。」 |
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暮泥 唯 「子供を寒空の下に放り出すほうが人としてどうなんですか?」 |
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速水 徹也 「うっせえ高校生にもなって子供自称すんな甘ったれ。 そろそろまともなバイト探して社会勉強してきな!」 |
プラスチック製のペン先で画面を擦りながら返事をすると、やっとベッドの方へと視線をやる。
押しかけてきた従弟が我が家のようにくつろいでいる様子を見て、釈然としない顔をしてみせた。
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暮泥 唯 「そういえば、この前置いてったシャツどこにしまってあります?」 |
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速水 徹也 「ア? あ~、洗ってそっちのクローゼットにかけてある。」 |
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暮泥 唯 「りょ~。」 |
図鑑は広げたまま、ベッドから起き上がる。
指差して示されたクローゼットを開けて、そこに並ぶ衣服を眺めた。
その中のひとつ、ハンガーにかけられたワイシャツに手を伸ばす。
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(ワイシャツばかり並んだクローゼット) |
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暮泥 唯 「…………どれ?」 |
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速水 徹也 「ハ~~~? どれって。自分のシャツだろ、見て分かんねえの? どれどれ……。」 |
開け広げられたクローゼットを隣から覗き込み、そこに並ぶ衣服を眺めた。
その中のひとつ、ハンガーにかけられたワイシャツに手を伸ばす。
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速水 徹也 「どれ………………どれでしょうね……。」 |
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暮泥 唯 「テツ兄……。」 |
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速水 徹也 「ア~~~~~ハイハイハイハイハイ……。 あ、タグ違うから多分おそらく八割がたきっとコレ!! オラ受け取れ!!」 |
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暮泥 唯 「あざっす。」 |
投げつけられた学校指定のシャツを適当に丸め、鞄の上に乗せる。
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速水 徹也 「じゃ、今日は服取りに来ただけ?」 |
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暮泥 唯 「え? 泊まりますけど。」 |
そのままベッドの上に戻った。図鑑のページをめくる。
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速水 徹也 「あのね……君ね……泊まりますけど、じゃねえだろ……!! ハ~~~~つーか最近来る日多くね? とりあえず叔母さんに電話かけるわ……。」 |
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暮泥 唯 「…………ん。」 |
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速水 徹也 「電話帳入れてたっけ? あ、入れてるわ。お前んち電話番号変わってないよな?」 |
液晶タブレットの隣に伏せて置かれたスマホを手に取り、画面を何度かスワイプする。
そのあと、黙ったまま耳に当てた。静かな部屋に、その通話の呼び出し音がかすかに漏れ聞こえる。
しばらくコールを繰り返して、ぷつ、と音が途切れる。
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(通話中) 「あ、もしもしすみません陽子さん? 速水……あ、はい徹也です。 あーはいお久しぶりです……何とか生きてます……本題入っていいすか? 今ユイがうちに来てて……え? は? ちょっ、ちょっと待って下さいね……。」 |
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速水 徹也 「おい、お前……ずっと家に帰ってないってマジ……?」 |
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暮泥 唯 「…………。」 |
視線を逸らす。壁際に押しのけてあった布団を抱き寄せた。
再び静かになった部屋に保留中のメロディがごく小さな音で鳴り響いている。
ため息。保留を解除して、再び通話を始める。
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(通話中) 「あ~、分かりました。とりあえず今日はうちに泊めます。 はい、はい……また電話します。よろしくお願いします……失礼しま~す……。」 |
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速水 徹也 「…………。」 |
通話を終える音。もう一度ため息の音。スマホを元あった位置に置く。
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速水 徹也 「────おい。」 |
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暮泥 唯 「!!」 |
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速水 徹也 「…………その反応、何? 俺もお前に構ってる暇ねえっつった。後にする。」 |
言いながら、咄嗟に身を屈めた拍子にベッドから落ちた図鑑を拾い上げた。
自重でぐしゃりと潰れたページのシワを伸ばして、身をかばう姿勢のままでいるそれに投げて寄越す。
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暮泥 唯 「は…………、」 |
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速水 徹也 「小さいガキじゃないんだから、引っ叩かなくても良い悪いは分かってんだろ。 今描いてる絵が上がったら聞く。それなりの理由は用意しとけよ。」 |
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暮泥 唯 「…………と、」 |
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速水 徹也 「何。」 |
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暮泥 唯 「……言わない、と、ダメ……ですか。」 |
両者が沈黙する。
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速水 徹也 「…………そうだな。言わないならお前をつまみ出して、叔母さんちに叩きつける。 お宅の子がうちに入り浸って本当に困ってます、やめさせて下さいって訴えるね。」 |
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速水 徹也 「大人には子供を守らなきゃいけない義務があんだよ。 オレはクズだから、正直言って、その責任を負いたくない。負えもしない。」 |
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暮泥 唯 「…………。」 |
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速水 徹也 「…………。」 |
沈黙が続く。返事を諦めたのか、布団を掴んで無理やりかぶせた。
描きかけの絵が表示された画面の前へと戻っていく。
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「オレ、異能のせいで『15歳になったら人が変わる』って昔から言われてて。」
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「家族もオレも、そのつもりでいて。でも、実際は結局何も変わらなかった。」
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「だから、オレ、それが分かった時はすごく嬉しくて。」
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「これでやっと、みんなを安心させられると思ったんです。」
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「でも。 みんなは、オレが何もおかしくないのがすごく怖かったみたい。」
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その夜、ぽつぽつと理由を明かす。
朝日が昇れば、部屋を出て学校へと向かった。
何事も無かったかのように、平凡な毎日が過ぎていく。
まだ高校一年生だった頃。過ぎ去った去年、十月の秋の記憶だ。
速水 徹也
暮泥唯と15歳離れた従兄。在宅イラストレーター。
自身が高校に通っていない中卒であるため、暮泥唯の母から『卒業が難しい息子を高校に行かせるべきか否か』という相談に『行かせるべき』と答えた。
暮泥 唯
速水徹也と15歳離れた従弟。高校生。
妹が産まれてすぐの頃、妹にかかりきりの母に代わって面倒を見てくれた従兄を親のように慕っている。異能が覚えているせいだ。彼の認識はひどく歪んでいる。
終■まで 残■13時間
ハザマにおいて、隠し事はたったひとつだ。
イバラシティでの秘密など、もはや隠す必要もない。
しかし、それ以上に明かす必要もない。
暮泥 唯(261) に ItemNo.95 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.96 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.97 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.98 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.99 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
お野菜(50 PS)を購入しました。
お野菜(50 PS)を購入しました。
解析LV を
5 DOWN。(LV7⇒
2、+5CP、-5FP)
変化LV を
10 UP!(LV15⇒
25、-10CP)
料理LV を
5 UP!(LV67⇒
72、-5CP)
齎藤 颯(130) の持つ
ItemNo.23 お野菜 から料理『
塩キャベツと謎肉丼(小盛)』をつくりました!
濯木 龍臣(406) の持つ
ItemNo.12 謎の肉 から料理『
塩だれロースト謎肉丼』をつくりました!
ItemNo.19 お野菜 から料理『
うすぼやけた記憶』をつくりました!
⇒ うすぼやけた記憶/料理:強さ82/[効果1]器用10 [効果2]幸運10 [効果3]命脈10
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誰かの声と雑音ばかりが鮮明に耳に残る。
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海の魔物(671) とカードを交換しました!
代償と補償
(パワフルヒール)
超過適応 を研究しました!(深度0⇒
1)
超過適応 を研究しました!(深度1⇒
2)
超過適応 を研究しました!(深度2⇒
3)
ブレイドフォーム を習得!
スポイル を習得!
フォースフィールド を習得!
グラトニー を習得!
光輝燦然 を習得!
☆エレメントフィールド を習得!
☆初習得ボーナス:各FPが2増加した!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!

[843 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[396 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[440 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[138 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[272 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[125 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[125 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[24 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
―― Cross+Roseに映し出される。
フレディオ
碧眼、ロマンスグレーの短髪。
彫りが深く、男前な老翁。
黒のライダースジャケットを身に着けている。
ミヨチン
茶色の瞳、桜色のロング巻き髪。
ハイパーサイキックパワーJK。
着崩し制服コーデ。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
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フレディオ 「いよぉ!なるほどこう入んのか、ようやく使えそうだぜ。」 |
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ミヨチン 「にゃー!遊びに来たっすよぉ!!」 |
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エディアン 「にゃー!いらっしゃいませー!!」 |
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白南海 「毎度毎度うっせぇなぁ・・・いやこれ俺絶対この役向いてねぇわ。」 |
ロストのふたりがチャットに入り込んできた。
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ミヨチン 「・・・・・?おっさん誰?」 |
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フレディオ 「フレディオにゃー。ピッチピチ小娘も大好きにゃん!」 |
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ミヨチン 「・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・」 |
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フレディオ 「・・・いやジョークだろジョーク、そんな反応すんなっつーの。」 |
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ミヨチン 「大好きなのは嬉しーけど、そのナリでにゃんは痛いっすよぉ! なんすかそれ口癖っすかぁ??まじウケるんですけど。」 |
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フレディオ 「え、あぁそっち?・・・ジョークだジョーク。」 |
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エディアン 「私はそっちじゃないほうですね。顔がいいだけに残念です。」 |
軽蔑の眼差しを向けるエディアン。
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白南海 「・・・別にいいだろーよ。若い女が好きな男なんてむしろ普通だ普通。」 |
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フレディオ 「おうおうそうだそうだ!話の分かる兄ちゃんがいて助かるわッ」 |
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フレディオ 「・・・っつーわけで、みんなで初めましてのハグしようや!!!!」 |
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ミヨチン 「ハグハグー!!」 |
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エディアン 「ダメダメやめなさいミヨちゃん、確実にろくでもないおっさんですよあれ。」 |
ミヨチンを制止する。
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フレディオ 「・・・ハグしたがってる者を止める権利がお前にはあるのか?」 |
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エディアン 「真面目な顔して何言ってんですかフレディオさ・・・・・フレディオ。おい。」 |
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白南海 「お堅いねぇ。ハグぐらいしてやりゃえぇでしょうに。」 |
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フレディオ 「そうだそうだ!枯れたおっさんのちょっとした願望・・・・・」 |
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フレディオ 「・・・・・願望!?そうかその手が!!!!」 |
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エディアン 「ゼッッッッタイにやめてください。」 |
フレディオの胸倉をつかみ強く睨みつける!
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白南海 「そういえば聞きたかったんすけど、あんたらロストって一体どういう存在――」 |
――ザザッ
チャットが閉じられる――