［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　私の名前はカーラ・アルダーソン。
　サザラント王国の外れに位置する、カイナド村の田舎娘だ。
　動乱の時代とはいえ、サザラントは基本的に平和な国。もちろん、この村も。
　夜明けと共に始まって、日が沈むと同時に終わる、たまに退屈とさえ感じる穏やかな日々。
　そんな絵に描いたような「平和な田舎」のカイナド村だけど、最近悩みの種ができた。


　この村は質のいい農作物と、それを食べて育った質のいい家畜を売ることで収入を得ている。
　その大事な畑を、妖魔が荒らしに来るようになった。
　しかも、今は大事な収穫の時期。野菜が出荷できなくなったら、この村はおしまいになってしまう。
　なんとかしなくちゃいけないけど、私はただの小娘。妖魔を追い払える自信なんてない。体力に自信のある男の人達が必死になって、やっと追い返せる程度。
　しかも、妖魔――お父さん達は「ゴブリン」って呼んでたっけ――は、日に日に数が増えているみたいで。
　満月の晩には、遂に人死にが出てしまった。
　犠牲者は、畑を見回っていたハンス。私と同い年の男の子だった。
　食い散らかされた状態で畑に放置されていたのを、翌朝ハンスのお父さんが発見したって聞いた。
　王都から遠く離れたこの村じゃ、騎士団を呼びに行っている間に畑も人も全滅しかねない。
　月並みな表現しかできないけど、これが「絶体絶命」ってやつだと思う。


　彼らがこの村にやってきたのは、そんな時だった。


　村の入り口で見張り番をしていたケビンおじさんが、我が家にお客を連れてきた。
　辺境すぎて旅人も滅多に訪れない村だから、お客が来るなんてすごく珍しいことだ。
　私はお茶を運びながら、その珍しいお客をこっそり観察してた。
　一人は、背が高くてハンサムで、波打つ茶髪が素敵な男の人。田舎じゃ見かけない服を着ていて、ちょっと尖ってる耳から、シンプルだけどお洒落なピアスが下がってて。
　おじさん達が「騎士様」って呼んでた。やっぱり、都会にはかっこいい騎士様がいるんだ。
　もう一人は、白い髪を長く伸ばした、すごく小柄で華奢な女の子。灰色の帽子を目深に被ってて、ずっと俯いていたから顔はよく見えなかった。
　着ている服は男物だった。茶髪の人が「妹だ」って言わなかったら男の子に見えたかもしれない。
　失礼かもしれないけど、似てない兄妹だなって思った。


　騎士様は妖魔の討伐を引き受けてくれそうな感じだったけど、ちょっと難しそうな顔をしていた。その隣の女の子は、相変わらず俯いていて表情が読めない。夜も遅いし、眠いのかもしれない。
　そう思っていたら、彼女が不意に顔を上げた。
　目深に被った帽子の陰から、紫色の瞳がまっすぐ私を見た。
　女の子が私を見たのは、ほんの一瞬だったと思う。けれど、私にはその一瞬がとても長く感じられた。
「……」
　私から視線を外した女の子は、隣の騎士様になにか耳打ちをした。
　ゴブリンのことかもしれないし、私のことかもしれない。私は彼女に何もしていないのだけど。


　結局、騎士様達は妖魔の討伐を引き受けてくれたみたい。
　村の人達は皆大喜びだった。特に、殺されたハンスの両親がすごく喜んでいた。まだ討伐する前なのにね。
　騎士様達を村で唯一の宿――と言っても実際は食堂の空き部屋なんだけど――へ見送って、その日は解散になった。
　自分の部屋へ戻った私は、部屋の鍵を閉めてベッドに倒れ込んだ。
　頭を過るのは、恐ろしい妖魔じゃない。哀れなハンスでも、かっこいい騎士様でもない。
　あの子。あの女の子。
　あの子が私を見つめた時、私は心臓をぎゅって掴まれたような感覚を覚えた。
　今でも、背筋がゾクゾクして止まらない。変な汗が出る。呼吸が乱れる。忘れたくても忘れられない。
　私より小さな女の子の、あの紫の瞳が、私を繋ぎ止めて放さない。放してほしくないとさえ感じる。
「……どうして……」
　言葉が勝手に口を突いて出た。
　我ながら間抜けだと思う。どうして、なんて……自分が一番分かってるはずなのに。
　何気無しに、窓の外を見た。
　綺麗な満月だった。


　私は、畑の真ん中にいた。
　周囲には、好き放題に作物を食い散らかすゴブリン達。
　そして、目の前には、血塗れになった私の親友。
「……カーラ……どうして……」
　親友のマリーが、真っ青な顔で言う。
　どうして、なんて。分かり切ったことだ。
　私は仲良しの友達とお喋りするように、いつもの笑顔で答えた。
「私が妖魔だからよ、マリー」
　そうだ。私は妖魔。人間じゃない。
　それに気付いたのは……いや、気付かされたのは、いつだったかな。
「そんな……あなたは人間よ！　妖魔なんかじゃ……」
「村が妖魔に襲われだした頃だったかしら。原因は分からないけど、突然私の中の魔物が目覚めたの。生き血が、新鮮な肉が欲しかった。月が丸くなるにつれて、そう強く思うようになったわ。最初は家畜を殺して済ませてたんだけど、どうしても衝動に勝てなくて。――先月、遂に人を殺して食べたわ」
　そう。哀れなハンスを食い殺したのは私。
　妖魔が近くに現れたから私が魔物に目覚めたのか、私が魔物に目覚めたから妖魔が集まってきたのかは知らないけれど。
　私はもう、人間じゃない。人食いの魔物。


　ごめんなさい、お父さん。孤児だった私を拾って育ててくれた、優しいお父さん。
　ごめんなさい、マリー。私と初めてお友達になってくれた、大好きなマリー。
　ごめんなさい、ハンス。私にお花や動物の事を色々教えてくれた、物知りなハンス。
　私、あなた達を最悪の方法で裏切ってしまったわ。


「……そういう事だったか」
「……！？」
　突然背後から声がして、咄嗟に振り向いた。
　その私の胸を、青白い光が貫いた。
「がっ……」
　倒れ伏した私の前に立っていたのは、騎士様とあの女の子。
「……なんで……討伐は、明日からじゃ……」
　夜間は妖魔の方に利があるから、日が昇ってから出かけるって話だったのに。
「……ジョエルがな。俺の妹が、あんたの正体に気付いたんだ」
　騎士様は、どこか残念そうな顔でそう言った。
　あの子、ジョエルっていうんだ。どうでもいいことの筈なのに、私の頭があの子の名前をしっかりと記憶する。
　そのジョエルちゃんは、静かにあの紫の目で私を見つめていた。
　杖の先が私に向いてる。そっか、私あの子に撃たれたんだ。魔術師だって云ってたもんね。
　魔力が高い彼女の視線に心を乱されたのは、魔物の本能だったのかもしれない。
　でも、どうして？　妖魔の私が、力の増す満月の夜に、人間相手に後れを取るはずがない。マリーを食べようとしていて反応が遅れたとしても、その気配すら察知できなかった。ありえない。
　考えても考えても出てこなかった答えは、彼らが教えてくれた。
「言わなかったけど、俺達は吸血鬼なんだ」
　マリーに手当てを施しながら、騎士様は静かにそう云った。
　私は耳を疑ったけど、他に疑う余地なんてなかった。
　吸血鬼。夜の帝王。私なんかよりも、ずっとずっと上位の魔物。気配を悟れなくて、不意を突かれて当然の相手。実際に見たことすらない、お伽噺の中の存在。
　都会には吸血鬼の騎士様までいるんだ。やっぱり、田舎とは大違いだなぁ。
　胸を撃たれて、綺麗な満月を抱いて、紫の瞳に魅了されて。死を悟った私の頭は、呑気な事ばかり考えた。


「……ねぇ、私、もう死ぬんでしょ？」
　地面に転がったままで、私の口は、そんな当たり前のことを言う。
　騎士様は未だに暴れ続けるゴブリン達を始末しに行って、私の前にはジョエルしかいない。
　ジョエルは小さく頷いて、私の死を肯定した。
　今なら、地に伏している今なら、よく見えなかった彼女の顔を見ることができた。
　私に容赦なく致命傷を与えた女の子は、お人形さんのような、とても冷たくて綺麗な顔をしていた。
「……とどめ、さしてくれない？　このままじゃ、苦しいわ……」
　自分勝手な我儘だと思った。
　ハンスを生きたまま食べて、マリーも同じ目に遭わせようとしていたのに、自分だけ苦しいから楽にして、なんて。
　でも、ジョエルは優しい女の子だった。私の願いを聞いてくれた。
　きっと私は、運が良かったんだ。
　紫の瞳に恋い焦がれたまま、その人に殺してもらえるなんて。
　ああ、でも。その声をちゃんと聞けなかったのは心残りかな。だって無口なんだもん。


　私はこの目にジョエルの瞳の色を焼き付けながら、彼女の魔法に抱かれた。


　――死の暗き深淵を彷徨う事になっても、私は恐れないでしょう。
　　　誰よりも私を惹きつけてやまない貴女が、私をその場所へ導いてくれたのですから。





気合を入れ直してエナジー棒を齧る女将。
文人も、愛用のフライパンを携え後に続いた。

ItemNo.19 エナジー棒 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 活力10 防御10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

エナジー棒（30 PS）を購入しました。
エナジー棒（30 PS）を購入しました。

百薬LV を 5 UP！（LV20⇒25、-5CP）
料理LV を 5 UP！（LV35⇒40、-5CP）

ItemNo.18 お魚 から料理『狭間の刺身盛り』をつくりました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 1 3 2 = 6 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ 狭間の刺身盛り／料理：強さ50／［効果1］活力12 ［効果2］敏捷12 ［効果3］強靭12

アガスティア(830) の持つ ItemNo.21 お魚 から料理『狭間のうしお汁』をつくりました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 2 4 5 = 11 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！

テル坊(1423) とカードを交換しました！

恵みのゲリラ雷雨！？ （クリエイト：グレイル）


ハードブレイク を研究しました！（深度0⇒1）
ハードブレイク を研究しました！（深度1⇒2）
ハードブレイク を研究しました！（深度2⇒3）

コンテイジョン を習得！
アナスタシス を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

雄一(427) は 韮 を入手！
雄一(427) は 剛毛 を入手！
アガスティア(830) は 剛毛 を入手！
雄一(427) は 触手 を入手！
雄一(427) は 触手 を入手！
文人(346) は 触手 を入手！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『カミセイ区 H-4：チェックポイント《森の学舎》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - 文人(346) の選択は カミセイ区 H-4：チェックポイント《森の学舎》

MISSION!!
チナミ区 O-16：梅楽園 を選択！
　　 - 文人(346) の選択は チナミ区 O-16：梅楽園

［842 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［382 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［420 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［127 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［233 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［43 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［27 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　




　






　

　

　

落ち着きなくウロウロと歩き回っている白南海。





　




　

ゆらりと顔を上げ、微笑を浮かべる。

　













　

　

　






　




　

　




　




　

　

　

チャットが閉じられる――

ハザマのなか、咲き乱れる梅の木たち。

　






相変わらず、木々が蠢いている･･･