自分の手で、自分の体に空けた穴。
それを、思い出したように確かめる時がある。







数年前に空けた穴は、端から自分の一部であったようにさえ錯覚する。
痛みもなければ、違和感もない。いつかはあったものかもしれないけれど。

---

──時に。
夢は、必ずしも諦めなければならないものではないという。


「夢を目標にする努力をしましょう」


けれど……夢は目標と異なるように、目標もまた夢ではない。


理想と現実には概ねギャップというものが存在する。
時として、努力ではどうしようもなく埋まらない溝がある。

夢想をすればするほど、夢想と理解すればするほど、それは浮き彫りになっていく。

それを理解してしまえば、もうこどもではいられない。











その日初めて、終わりを突きつけられる。
慣れていく。









定まらないままで、望まぬ性に囚われていると知らされる。
慣れていくから、大丈夫だった。









朽ちた平穏が、戻らないことに気づかされる。
慣れなければいけないから、慣れようとした。









肌をなぞる嫌悪に、信じたものが無意味だったと理解させられる。
慣れることさえできれば、大丈夫だから。







慣れて、慣れて。だからだろうか。
その先に、痛みを認められなかった。

痛むはずがなかった。
まるで端からそうであったように、錯覚しようとした。







大切なものがその狭間に落ちるたびに、何処かが軋むたびに、見ないふりをしてきた。

腕を伸ばせば届いたのかもしれない。声を上げれば伝わるのかもしれない。
失くすこともなく、壊れることもなかったのかもしれない。

けれどすくい取ろうという努力も、気概もそこにはない。
薄ら寒い現実の只中で、傷つかないよう底深くを眺めるだけ。

だって。こどもの非現実的な空想は、ただの夢でしかないのだから。
わたしが望む永遠、全てが、そうであることを知っている。






限りのない夢のことは好きだ。そして、限りのある夢のことは嫌いだ。
夢を見てしまう自分も、夢を捨ててしまう自分も、好きになれたなら良かった。

その全てが、怠慢であると判っている。
不可能であったとしても。数多が謳うように、自ら創りあげさえすれば良い。
そうであるのに。






大切なものは、全て自分で壊している。
その事実から、なんとなく。
今日という日まで、目を背け続けている。























目を背けて。わたしというものを透明にして。さもなければ。
大人に近づくたび冷たくなる身体は、生きていけなくなりそうだった。








表と裏、変わらず均等に。
平等に与えられた、些細な自己表現。

杭打たれた穴は、いつまでも塞がらないままでいる。

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▲	真柄 「やったか！？」

	真柄 「って、通信が繋がるってことはやれてねぇわ！ 　くそ、やはり討ち損じたか！？ 　手ごたえがおかしいとは思うとうたんじゃ」

	真柄 「まぁ首級を上げるような戦でもないけぇそれは良いんじゃが、 　こうして生きておると知れば、敵陣営ながら聞きたいこともある。 　お前、俺を見て嬉しいとか懐かしいとか言うておうたよな？」

	真柄 「俺が過去に居た世界は、お前たちイバラの民から見れば400年も昔。 　戦国の侍じゃ。まさかその時代を知る者があの街に居るとは思えん。 　まさか本当に桜の木のあやかしか何かか？お前は」

▲	ケイ 「ただの勘だ。当たること、多いけど、外れることもある。 　勘と言えば…桜さんからは、最初、なんだか怖い感じがしたけど、味方なの？ 　……俺のトモダチを守ってくれてる、なら、信じていい、の……？」

	花弁を大事そうに眺めるあなたをみて、 信じたい気持ちを願うように、また、 自身のざわつく気持ちを落ち着かせたいように尋ねた。 そして、あなたが思い出の話をすると目をパチクリとさせる。

	ケイ 「…桜さんにも、怖いことはあるの？ 　俺には桜さんが怖がったりするとこは想像出来ない。 　なんというか、大人びているような……や、元々そういうの、無いようにも思うんだ。 　……気のせいかな。」

	あなたの視線を追いかけると、そこには無かった筈の桜と子どもが見える。 息を呑み口を少し開け、事態を飲み込むのに暫くかかる。 そして、暫く経った後、子どもの元に駆け寄る前に尋ねる。

	ケイ 「これはなんて異能なの？あそこには桜が無かったはずで、それに……。 　……あの子どもが幻のような、気がする。」

▲	つらつらとあなたが述べる言葉を、時折うまく理解が出来ない様子で首を傾げながらも耳を傾けてはいたが。 問われれば、すこしの間沈黙を置く。

	命 「…………あなたのその問いは、つまり」

	命 「おれが現実を見つめていたら、ヨシノとは会えないということですか？」

	命 「現実を捨てることで、ヨシノと会えるということ？」

	命 「……もし、そうだとして。 　返す答えとしては、その。 　……場合による、としか言えないんですけれど」

	命 「ヨシノと会える、会えない、だけでは、おれは自分の道は決められません 　ヨシノが大切じゃないから、とかではないです。 　会いたい気持ちはいっぱいある、だって大切な友人だから」

	命 「でも、例えば現実を捨てたおれの選択で、何が変わって何が失われるのか。 　おれの選択が、誰を喜ばせて、誰を悲しませるのか。 　そういうのも分からないと、答えは導き出せません」

	命 「おれの命はおれのものだし、おれの人生はおれのものです。 　選択というのは、おれ自身の自由だ。 　だけど、決して……一人で生きているわけじゃないので」

	命 「……答えとしてずれていたら、申し訳ないですが」

▲	「え、神の木？マジか」 Cross ROse、チャット画面に中年男の困惑顔が映った。咄嗟に映像を入れて通話してしまったようだ。文字ではなく音声のせいか、口調も大分砕けている。 「……と、いきなりですまんな。女子とは映像アリ避けてたんだが。ほら、そっちの言う番への義理立てでさ」

	すぐに映像も音も切れ、文字だけが送られてくる。 「失礼した。文化的には桜の木の精、とでも解釈しておけばいいだろうか。非常に興味深いことだったので操作をミスった。嫌悪だの不快だの、そういった悪い気持ちじゃないことは理解してくれ」 弁明の文字列。少し時間がかかっている。 「言うなれば……そちらが少しばかり美しすぎるせい、といったところだ」 伝わらないんだろうな、と文字を打ちながら思いつつ。この桜の木の何か――友好的かつ正体不明で美しいもの、となれば桜の精しか思い浮かばないが――に誰かが早急に男女の概念を指導してくれないものか。

	「……話を戻そう。いや、進める、と言うべきか。同類の話も気にはなるがね。妻に会いたいか、と聞かれればもちろん会いたい。それは好きでも愛でも同じだろうさ」 一度画面から目を離し、空を見上げる。赤く、暗い。上を向くたび、ハザマにいるという実感が絡みついてくる。 「だがな、今は感謝してるぜ。1人で来たことに。この戦いに妻も子供も巻き込まなくて済んだことにな。大事なものを、危険に近づけたくない。そういう形もあるってことだ。同じように考える人間はそれなりに多いはずだ」 「心配してくれたようだな、有難う。人には……木にも、様々な考え方があるってことだな」

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誘う夢見草 ENo.147 ヨシノ

ハザマに生きるもの マッドゴーレム

誘う夢見草 ENo.147 ヨシノ

永生不壊 ENo.1047 森

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誘う夢見草 ENo.147 ヨシノ

ハザマに生きるもの リビングミスト

235

634

決闘不成立！

対戦相手が見つけられなかった！

不戦勝扱いになります。

殺せ ENo.1211 桔柳

誘う夢見草 ENo.147 ヨシノ

323

451

マガサ区 C-15 周辺

やきもの小路

誘う夢見草 ENo.147 ヨシノ

立ちはだかるもの 土偶 土偶 土偶 土偶 土偶 土偶 土偶 土偶 土偶 土偶 ハニワ ハニワ ハニワ ハニワ ハニワ ハニワ ハニワ ハニワ ハニワ ハニワ

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