［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

「セーンパイ。
まだですか～？」

椅子に座ってぱたぱたと足を揺らしながら、後ろに立つセンパイを急かす。
生活委員に割り当てられた部屋で、今いるのは今日が当番の私とセンパイだけだ。

「もうちょい……もうちょいで取れると思うんだけど……」

「それさっきも聞きましたよ？」

「マジでもうちょいなんだって！」

センパイが動くと、私の髪がピンと引っ張られて思わず抗議の声が漏れる。
申し訳無さそうに謝罪して、センパイはそそくさと「それ」との格闘に戻った。

今私達は、センパイの袖のボタンに絡まった髪の毛で繋がれていた。

それをどうにか解こうとしてセンパイが頑張っているのが、現在の状況だ。
片手でやってるのを差し引いても戦いが長引きすぎてるので、
多分最初の状態より余計に絡まってるんだと思う。
見てないから分からないけど。


別に、抜いちゃってもいいのに。
どうせ絡んだところは傷むから、切っちゃうつもりだし。

そう思ったものの、センパイが不器用にも頑張ってるのがおもしろかったので黙っていた。

とはいえ、当番の仕事を終えてきた後なので時間もそろそろ遅い。
窓の外を見るまでもなく、教室に長く伸びる影で日が傾いてきているのが分かった。

しょうがないなあ。

「……もういいですよ、これ使ってください」

「本当にもうちょいで……ん？」

私はポケットから小さな鋏を取り出して、肩越しにセンパイに差し出す。
くすんだ金色で、先端にキャップをつけた小さな糸切り鋏。
髪が絡まったり引っかかったり、この長さになってくると気をつけててもそういうことはたまにあった。
そんな時のために私はいつも鋏を持ち歩いている。

「切っちゃいましょう」

「切る～～？」

その声を聞くだけで、どんな表情をしているのか分かった。
嫌だろうな、女の子の髪を切るのは。
特に私は、この髪を維持するのがいかに大変かをセンパイに語って聞かせたこともあるし。

でも、そうしないと帰れませんよ？

「結構待ちましたよ。いい加減諦めてください」

ほら、と催促して鋏をもう一度突き出す。

「……まぁ、しょうがないか」

「そうそう、しょうがないですから」

鋏が私の手から離れる。
……もっと渋るかと思ったけど。





確かに。
確かに「切っちゃいましょう」と言っただけで、何を切れとは言わなかったけど。

「……センパイはバカですねぇ」

知り合ってからこのセリフを言うのは何度目だろうか。

髪の毛数本を切るのとボタンを切り落とすのとでは、あまりに釣り合いが取れてないと思うのだけど。
そう思って溜息をついている間に、センパイが床に転がったボタンを拾い上げる。

「それ、どうするんですか？」

「……別に袖のボタンが1個ないくらい誰も気にしないだろ」

そう言いつつ、センパイはボタンを上に放り投げてキャッチして遊んでいる。

「ふーん。生活委員としてそれでいいんですか？」

「ぐ……。
風凪、普段は意外と不真面目な癖にこういう時ばっかり……」

ボタンで遊んでいた手が止まる。
文句を言いつつも痛い所を突かれた風なので、センパイ自身もちょっと気にしていたのだろう。
案外、この人は真面目なのだ。

「言っておきますけど、センパイが勝手に切ったんですから私は手伝ったりしませんよ？」

「わーかってるよ……ボタンつけるくらい、家庭科でも習ったし余裕だっての」

かわいそうに。
少し前、「髪を解くくらい余裕だって」と言ってたことは、もう忘れてしまったのかもしれない。


　×××


翌日、放課後。

陸上部の部室に向かう最中、下駄箱の近くでセンパイと鉢合わせた。
「よっ、風凪」と言って上げた右腕の袖には……きちんと、ボタンが2つついていた。

「ボタン」

センパイの袖口を指差す。

「ああ、これな」

「自分で縫ったんですか？」

信じられない。
そんな気持ちが伝わったのか、センパイがちょっと不満そうにする。

じっくり観察できるわけでもないので分からないけど、そのボタンはきれいに縫い付けられてるように見えた。
位置はきれいだし、糸が緩すぎてボタンがぷらぷらしてるとか、逆に固くしすぎているということもなく。

「実はさー、クラスの子がやってくれたんだよ」

……ふーん？

「昨日家でやるつもりだったんだけど、教室のロッカーに裁縫箱置きっぱにしてたの帰ってから思い出してさ。
それで今朝教室でやってたら、私がやろうか？　って言ってもらえて～」

俺がやるより早いわきれいだわ、手先器用な子ってすごいよなーなどと機嫌よく語るセンパイ。

まあ。
昨日のことを思えば、ボタンを縫い付ける手付きはさぞかし悲惨なものだったのだろうというのは、簡単に想像できた。
指先の絆創膏も、それが根拠のない想像ではないことを物語っている。
見かねて手伝いたくなってしまう奇特な人もいるのかもしれない。

いるかもしれないけど。

「……センパイって、何ならできるんですか？」

「うるさいなー、苦手なことの百や二百あるだろ誰でも！」

ちゃんとお礼だってしたぞ！　と吠えるセンパイ。

「得意なことがそれ以上にあるといいですね？
じゃあ私は部活があるので」

「ったく……。おー、頑張ってこいよ」

ひらひらと手を振るセンパイに見送られながら、私は廊下を歩いていった。

ENo.315 ウチモ とのやりとり

ラフィ(423) から 25 PS 受け取りました。

合成LV を 5 DOWN。（LV5⇒0、+5CP、-5FP）

装飾LV を 10 UP！（LV45⇒55、-10CP）

清春(188) により ItemNo.13 すごい木材 から防具『制服』を作製してもらいました！
　⇒ 制服／防具：強さ195／［効果1］敏捷20 ［効果2］－ ［効果3］－

銀貨(321) の持つ ItemNo.19 毒牙 から装飾『牙のカフス』を作製しました！

烏の魔のもの(41) とカードを交換しました！

身を焦がす魔の乾き （デスペラート）


インパクト を研究しました！（深度0⇒1）
インパクト を研究しました！（深度1⇒2）
インパクト を研究しました！（深度2⇒3）

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

線引(506) は たけのこ を入手！
マナカ(507) は 桜 を入手！
線引(506) は パンの耳 を入手！
線引(506) は 爪 を入手！

カミセイ区 M-5（森林）に移動！（体調25⇒24）
カミセイ区 N-5（森林）に移動！（体調24⇒23）
カミセイ区 O-5（森林）に移動！（体調23⇒22）
カミセイ区 P-5（道路）に移動！（体調22⇒21）
カミセイ区 P-6（道路）に移動！（体調21⇒20）

MISSION!!
カミセイ区 N-6：カミセイ大公園 が発生！
　　 - 線引(506) が経由した カミセイ区 N-6：カミセイ大公園
　　 - マナカ(507) が経由した カミセイ区 N-6：カミセイ大公園

［787 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［347 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［301 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［75 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　　　ザザッ――

　

画面の情報が揺らぎ消えたかと思うと突然チャットが開かれ、

時計台の前にいるドライバーさんが映し出された。



　





　







　




　

チャットが閉じられる――

公園･･･ のような場所。

枯れた芝生。涸れた噴水。

色褪せた遊具。

　

ギィ･･･ ギィ･････

　

何か、音がする。

　

ギィィィ･････

　





　

遊具が独りでに動き出す･･･！！