
────夢を見た。
柔らかな手触りのカーペット。ローテーブル。
庭に続く大きな窓から射し込む光。
昔住んでいた家と同じ。
テーブルの上には、救急箱が置いてある。
使わないときは、棚にしまっていなかったっけ。
どうしてだろう、と思っていた矢先。
「……朱里?」
懐かしい声。
床に座り込んだまま、声がする方を向けば
姉が不思議そうな表情を浮かべていた。
「……お姉ちゃん」
存外、幼い声が出た。
姉が生きていた頃なら、私は中学生にもなっていないし、
それは当然なのだけれど。
「そうよ。お姉ちゃん。……おいで、朱里。手当てしなきゃ」
くすりと笑いながら、手招きされた。
……手当て。そこで漸く、自分の右腕に目線を落とす。
何かで深く切ったような、真新しい傷ができていた。
血が、止まらない。
それも、至極当たり前のことなのだけれど。
流れた血が、腕を伝って白いカーペットに滴り落ちた。
「わ、」
ぼんやりそれを見ていると、姉が少し焦った顔で足早に近づいてきた。
側に座り込むと、私の腕をとる。
指でつうっと血の跡をなぞれば、逆再生のように血が身体へと戻っていく。
傷口には触れないように、慎重に指が肌をなぞる。
別に痛くなんてないのに。
出血を止めると、慣れた手つきで消毒をしてから
ガーゼを当てて包帯を巻かれた。
「はい、おしまい」
カーペットに染み込んでしまった血も、綺麗に取り除かれた。
「バレたら、あとで母さんに怒られちゃうからね」
内緒、と口元に人差し指を立てながら。
まるで悪戯を隠すみたいに。
「……うん。内緒」
私と姉さんとの秘密だ。
頷いてみせれば、姉も満足そうに笑ってくれた。
「いい子。……おいで、朱里」
腕を広げながら、そんなことを。
そうだ。
私が怪我をして、手当てが終わると、いつもそうやって抱きしめてくれた。
「怪我、痛くない?」
腕に収まると、包帯の上からそっと触れながら聞いてくる。
眉を下げて、どこか困ったような顔。
私が怪我をすると、いつもそういう表情をした。
それが『痛そう』な表情だというのは、だいぶ後に学んだことだ。
ゆるく首を振って否定すると、よかった、と言いながらほっとした笑みに変わる。
これも、いつものことだ。痛くないのは当たり前なのに。
「痛いのがわからないのは、良いことなの?」
父さんも母さんも、『他人の痛みを解るように』と言っていた。
それが良いことだからそう言ってくるんじゃないかと、思っていた。
「……朱里は、痛みなんか知らなくていいよ」
少しだけ言葉を選ぶように間を置いてから。
抱き締める腕に、力を込めながら。
頭を撫でる右手が、目に映る。
私と同じように、包帯の巻かれた腕。
姉は痛みを知っているのに。
痛みを伴わなければ使えない力を、誰かの為に使っていた。
それは、とても、尊ばれるべきことだったのだろう。
だからこそ、どうして、私が────
「朱里はね、なんにも、知らなくていいの」
言い聞かせるような言葉と共に、あやすように背を撫でられる。
「つらいことは、なにも、知らなくていいの。知らなくてよかったの」
意識に、霞がかかる。
暗く暗く、落ちていく。
────夢は、そこで終わった。
SIDE:HAZAMA
 |
「やっと状況に動きが出てきましたね。 待ちくたびれちゃうところでした」 |
朽ちかけたビルの屋上に腰かける人影。
高校の制服に身を包んだ少女が、荒廃しきった街を眺めている。
通信機越しに何者かと連絡を取りながら、白い髪を風に揺らしていた。
 |
「暫く見てたけど…あの子、やっぱり何も覚えてないんだ。 あなたのおかげかな。…え?解析不能?ああ、そう。 でも、そっか。それでも朱里はイバラシティ側についちゃったんだ」 |
 |
「無意識でわかってるのかな。厄介ですね。 私たちを救ってくれなかった街に、なんの価値があるんだか。 …まあ、予想はできていたことですけど」 |
 |
「…うん。まだわからないですよね。 どちらが勝っても、なんとかなるかもしれないし」 |
 |
「ひとまず、暫くはこのまま様子見かな。ええ、期待しておきましょう。 頑張ってもらわなくては。私と、あの子のために」 |
二、三の言葉を交わすと、通信を切って立ち上がった。
そのまま、とんっ、と屋上から飛び降りる。
次の瞬間には、その姿は霧のように消え失せていた。
三久間 緋澄
さくま ひずみ
18年前に、死なない筈だった。
元相良伊橋高校3年3組。園芸部。
────何度も。
何度も、何度も、何度も、
私の星は落ち続けた。
やっと、やっと、やっと、あの星が落ちない未来を見つけたのだ。
失ってたまるものか。手放してなるものか。
あの星を繋ぎとめられるなら、私はなんだってしてみせる。
キャロ(624) に
100 PS 送付しました。
エナジー棒(30 PS)を購入しました。
具現LV を
10 DOWN。(LV10⇒
0、+10CP、-10FP)
魔術LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
領域LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
解析LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
料理LV を
5 UP!(LV35⇒
40、-5CP)
セシリア(326) により
ItemNo.10 ド根性雑草 から防具『
鈍色セーター』を作製してもらいました!
⇒ 鈍色セーター/防具:強さ75/[効果1]反護10 [効果2]- [効果3]-
 |
セシリア 「さ、出来上がったわよ。温かそうでしょう?」 |
 |
セシリア 「流石先生、落ち着いた色合いを着こなすわよね」 |
ItemNo.7 美味しい果実 から料理『
いちごタルト』をつくりました!
⇒ いちごタルト/料理:強さ75/[効果1]攻撃10 [効果2]防御10 [効果3]強靭15
五十嵐(1237) により
ItemNo.9 亜麻色のコート に
ItemNo.11 毛 を付加してもらいました!
⇒ 亜麻色のコート/防具:強さ40/[効果1]命脈10 [効果2]命脈10 [効果3]-
玲子(813) とカードを交換しました!
ブラッドバッドカンパニー
(ボロウライフ)
スポイル を研究しました!(深度0⇒
1)
スポイル を研究しました!(深度1⇒
2)
スポイル を研究しました!(深度2⇒
3)
ティンダー を習得!
リフレクション を習得!
プリディクション を習得!
レッドショック を習得!
コンテイン を習得!
フィジカルブースター を習得!
カームフレア を習得!
コントラスト を習得!
ファイアレイド を習得!
マジックミサイル を習得!
ヘイルカード を習得!
アイスソーン を習得!
プロテクション を習得!
ファゾム を習得!
瑞星 を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!