
この姿は全ての始まりで、全てが終わった瞬間の、忌々しい記憶の象徴だ。
ずっと、抑えつけてきた。
そうしないと、ちょっとしたきっかけで《そいつ》が俺の中から出てきて、
体や意識を乗っとるんじゃないかって、気が気じゃなかった。
だから少しでも自我を保とうと、わずかな兆候でも自分を傷つけて痛みを感じている間は《俺》でいられるんだと。
そう思うようにしてきた。常に気を張ってきた。
他人を守るにしても、自分を守るにしても、俺は昔から自分を傷つけなければ自分を保てなかった。
羽柴はそれを自傷行為だと言っていたが、俺はこれしか方法を知らなかった。
受け入れて、楽になろうとした時もあった。
そうすれば多分、何も考えなくて済む。自分を傷つけなくて済む。
だけどこの姿は、きっと俺以外の誰かを傷つける。
───それだけは、駄目だ。
だったら自分が傷ついたほうがいい。
傷はいつか癒える。自分の傷は自分で背負える。
だけど俺がつけた他人への傷は、俺には癒せない。
俺は他人を傷つけないために、自分を傷つけていかなければならない。
──── 4:00 ────
『よう』
ハザマに来てから、《そいつ》はやたらと俺に話しかけてくる。
『気分はどうだ?』
俺の心を見透かしたように、にたりと笑う口から鋭い牙が覗く。
《そいつ》と話すのはハザマが初めてだったが、ずっと前から知っていたようなそんな懐かしさがあった。
『楽だろ?猫被ってねーとさ。いや、お前の場合は犬だし、むしろ被ってンのか?』
耳障りな、甲高い遠吠えに似た笑い声が響く。
「……そんな…こと」
言葉に詰まりながらも、声を絞り出すが、否定しきれない自分がいる。
このハザマという場所に来てから。この姿になってから。
────俺は《そいつ》の言う通り、憑き物が落ちたような気分だった。
確かに戸惑いもしたし、いろんな理由からこの姿は都合が悪い。
だけど、肩の荷が下りたような。枷が外れたような。不思議な開放感があった。
(……でも、それじゃ…)
まるで、俺がこの姿になることを本当は望んでいたとでも言うのか。
それを肯定したら、今までの俺を否定することになる。
『いい加減受け入れたらどうだ?本当の自分をよ』
《そいつ》は呆れたように、茶化すように俺に言ってのける。
「……やめろ」
『綺麗事ばっか言って、本当は何も信じてないんだろ。信じられないんだろ?自分も、他人も。だから自分を曝け出すのが怖いんだ。お前はただ、外への破壊衝動を自分に向けてるだけだ』
「…………」
『今はまだ大人しい犬っころで済んでるかもしれねーけどよォ…あの時みたいに、化けの皮剥がれんのも時間の問題だと思うぜ?』
門が開くように《そいつ》の口がぐわりと大きく開く。
こっちへ来いと、誘うように。
『ミツ…だっけ?あのガキに随分ご執心のようだけど、アイツはお前じゃなくたって他の餌を見つけりゃお前のことなんて見なくなる。お前とアイツを繋いでんのなんて体温だけだ。お前らの間に絆なんてものがあると本気で信じてんのか?
それはお前もそう。お前はアイツよりもっと立場の弱い、助けが必要な奴を見つければ、きっとそっちに手を差し伸べる。中途半端なんだよいつもいつも。誰かを助けて優しくしてりゃ、醜い部分を隠せると思ったのか?普通になれるとでも思ってんのか?』
《ソイツ》が荒々しく鼻息を鳴らす。今にも掴みかからんばかりの勢いで。
『お前のためを思って言ってんだぜ。沙和子だってお前以外の理解者が見つかりゃそっちに行っちまったし。鳴海なんて、せっかくお前が味方したのにあんな事になったじゃねえか。なあ……結局お前の力や助けがなくたって、皆勝手に一人で助かって立ち直って離れてくんだよ。その度にお前はどうだ?助けた分だけ一人で傷つくだけじゃねえか。無駄だと思わないのか?何でもかんでも他人に委ねすぎなんだよ。生き辛ェ性格だなァ』
「……黙れ」
『俺はお前を助けたいんだよ。《あっちのお前》は窮屈で仕方ない。あのミツって奴と会うたび、お前の中にいるのが窮屈で重苦しくてこっちも参ってんだ。そんなに苦しい思いするなら、今のうちにとっととおさらばしろよ』
「……嫌だ」
『……そうかよ。忠告はしたからな』
開かれていた門が閉じ、闇に溶けるように《そいつ》も消えていった。
「………余計な、お世話だ」
自分の中で膨れ上がる獣の影。
それを否定したくて。否定してほしくて。俺はこんな事を繰り返す。
弱者や苦しむ人間に縋る。
────本当は、強くなんかない。
俺は、強くなんかないんだ。
アキジ(308) から
羽 を受け取りました。
呪術LV を
5 DOWN。(LV5⇒
0、+5CP、-5FP)
響鳴LV を
10 UP!(LV0⇒
10、-10CP)
料理LV を
5 UP!(LV30⇒
35、-5CP)
サナエ(536) により
ItemNo.3 獣爪 に
ItemNo.7 羽 を合成してもらい、
何か固い物体 に変化させました!
⇒ 何か固い物体/素材:強さ15/[武器]攻撃10(LV20)[防具]防御10(LV20)[装飾]共鳴10(LV20)
シオウ(235) により
ItemNo.8 平石 から射程1の武器『
狼牙』を作製してもらいました!
⇒ 狼牙/武器:強さ67/[効果1]器用15 [効果2]- [効果3]-【射程1】
アキジ(308) により
ItemNo.9 牙 から防具『
赤い毛皮』を作製してもらいました!
⇒ 赤い毛皮/防具:強さ67/[効果1]奪命10 [効果2]- [効果3]-
雷蔵(329) により
ItemNo.3 何か固い物体 から射程2の武器『
狼爪』を作製してもらいました!
⇒ 狼爪/武器:強さ67/[効果1]攻撃10 [効果2]- [効果3]-【射程2】
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雷蔵 「爪磨きも…いる?」 |
ミキ(614) とカードを交換しました!
雷光
(サンダーボルト)
パワフルヒール を研究しました!(深度0⇒
1)
パワフルヒール を研究しました!(深度1⇒
2)
パワフルヒール を研究しました!(深度2⇒
3)
エチュード を習得!
マーチ を習得!
アースタンブア を習得!
ビブラート を習得!
ブレイブハート を習得!
剛健 を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!