
【ハザマの素敵な仲間達☆】

↑かわいい~~~~~~♪↑かわいい~~~~~~♥↑なんかスゴいのがきたああああ!?
二度の移動で確信したことの一つに
虎魄館職員の中で唯一ハザマに移れていないのがマヤのみであるという事。
その事実に頭を抱えているのが我等が司書長フォスフォフィライトである。
部下思いなのは良いが繊細というか心配性というか、難儀なヒトだ。
ハクカクも一つ確認したい事実がある。
フジウルから距離を置いた所で、そんな司書長を呼びつけ…
「…おおよそ察してはいるが、言ってみろ」
「ま、貴方毎日どれだけヒトのことばっか考えてんだが」
「やかましい…早く言ってみろってんだ…」
「フジさんが『とある子』にやたら注目してる理由」
眉間の皺がより深くなる。
ハクカクの言う『とある子』、それは
「拝木すてら」
先日、図書館に訪問しただけでなくフジウルと例の密室で相部屋になった
運の悪い男子学生だ。
「普通の食事をしない子らしいわね?」
「あぁ、異食をするようだな」
「金属食べるフジさんだから、始めは共感してるのかなー?だなんて思っていたけど
更にちょっと遡って考えてみたの」
「ふむ?」
「大分前に遡るけど、サクサクを陥れるための一撃いれた時。
長槍投げてトドメを刺した…と思ったけどちょっと疑問に思ったのが
なんでわざわざ口元狙ったのかなって」
「確かに、氏に技量があったとしても小さい的を狙うのは妙だな。
それで、お前の見解は?」
「土手っ腹を刺さなかった理由、それは
『体内に喰われた兄弟が残っている可能性』を潰したくなかったから」
フジウルの不幸、それは最狂最悪の存在であるサクサク=ルースが実の親である点と
そいつに兄弟が喰われ生皮も異能も悪用され続けている点。
『多くの異能を使用できているのは体内に留まっている兄弟の力を
それこそネクティバイト
(※異能を込めた石ネクタイトを無限使用可能にする金属)みたく直接利用しているからではないか?』
『サクサクは殺して構わないが兄弟が救えるなら救いたい』
「予想だけど、お兄さんもそうらしいしフジさんの兄弟も皆異食なんじゃない?
すてら君を見て思い出して、恋しくなってきたんじゃないかな?
此処の侵略に張り切ってるのも…」
「ハク」
言い切る前に制止を掛けた。
「其処まで考えが纏まっているなら十分だ。寧ろ過剰だ。
少し忘れろ」
「何よ、別に結論出すのに焦ってるわけじゃないわ。
ただ思ったことを伝えてみただけじゃん」
「お前の事は寧ろ高く評価しているが、だがな
相手は俺達で想像がつく範囲内で留まる存在か?
固執化した思考や概念で、フジウル氏が足元を掬われないよう
フォローをするのが俺達の役目だ」
「フォロー、ねえ…」
そういえば
橋の上での闘いでは、二人とも油断をして安易に距離を詰めた結果
フジウルが腹を裂く重傷を負わされたのだった…
「………」
「いいな、あまりらしくない事をして羽目を外すんじゃねえぞ」
「うるせーやい」
らしくない事をしているのはお互い様だ。
わざわざ憎まれ口を選んだかのように叩いて…
ハクカクは人の子でありながら異形の目を、フォスは食屍鬼でありながら人の目を持つ。
視点の違い立場の違いを語り合うにこれほど適した者はお互いいない。
ここは頼れる上司に従って、事実確認を保留することにしておいた。