
__十月末、神祇省本部にて。
板張りの床、光を遮る障子、香の匂い、部屋全体に張り巡らされた縄と紙垂。
屋敷の最奥、である。
暗いそこで、彼は平服している。
「__護国将二十九席、壬辰青墨、ただいま参りました」
そう平服しながら告げたのは、これからイバラシティにて“雪菱セツナ”と名乗る男だ。
本名を、神門雪下という。
彼__雪下が挨拶し終わったとき、彼の前に現れる「何か」があった。
『来たか』
女とも男とも、人間とも取れぬ声が聞こえる。
顔は上げない。
頭を下げるのは決して敬意からだけではない、下げねば潰されるのだ__歪むような、軋むようなその気配に。
『任務だ、壬辰青墨』
『現在神祇省が観測している地球分割世界群のうち二百八十一、世界名イバラシティ、そこに大規模な“歪み”の兆しがあった。
ただの“歪み”ならば捨て置く、が、その“歪み”によって二百八十一と繋がったのは__
特異型分割世界群のうち三十三、アンジニティと称される世界だ』
「……は、アンジニティの事は、私も存じ上げております」
呼吸が荒くならないように抑えながら、言葉を返す。
アンジニティ、世界そのものに何らかの役割があることを示す、“特異型分割世界群”の一つ、世界から否定された罪人が集められる流刑地。
本来、その世界は一方通行、入ることは出来ても脱出は不可能と観測されていた、が。
その錠が歪んだ__緩んだのなら、それはイバラシティだけではない、そこと繋がる世界全体の危機だ。
しかし。
(私たちは、あらゆる分割世界からの干渉を閉ざしている。
ただ他の世界の危機というだけで、護国将を動員するはずがない)
そう、神祇省とはそういう組織だ。
御国を護るためにあらゆる努力と犠牲を惜しまず__御国に危機がもたらされないなら、世界滅亡の災害すらも無視する。
知っている、だからこそ分かる、これから下される命令はイバラシティの守護ではないと。
『イバラシティにて観測された歪みは“因果の改竄”。
アンジニティに住まう罪人の生命情報を改竄し、イバラシティに以前から暮らす住人として挿入していた。
世界そのものの情報を根本から付け足す、大規模な改変だ、注がれた労力は余り有るまい』
「__」
絶句する、侵略に注がれた労力に、やり口の悪趣味さに。
ただ侵略したいだけなら態々改竄する必要性もあるまい、アンジニティの住人をそのままイバラシティに放り捨てればいい。
それをしない理由があるならば__いや、今はいい。
今求めるのは、主の命だ。
『故に、壬辰青墨へ命令を下す』
『イバラシティにて発生した“歪み”による改竄現象、その性質を記録し、神祇省へと持ち帰れ』
「……は、主命、頂戴致しました」
頭を下げたまま、眼を瞑る__予想通りの命令だった。
『イバラシティでの戸籍や住居、持ち込める武装については、追って丁卯関貫に連絡させる。
出航は十一月七日、それまでに身辺整理をしておけ』
「はい、命令通りに」
『後日、癸巳春雷にも同様の命が下る』
「……」
『そちらの出港は療養と調整が終わり次第となる、彼が来るまで、派手な行動は控え地盤固めに専念せよ』
「は、心得ております」
『以上だ、この任務は我ら“焼却派”が生存する可能性になりうるもの__任務成功を期待する』
「了解いたしました、必ずや、歪みの情報を持ち帰ります」
額を床につけ、深く頭を下げる__木材の冷たさが、ひどく印象に残った。
さら、と頭上の気配が消える。
頭を上げれば、そこは屋敷の最奥、ではなく。
無機質な白い部屋であった。
「……はぁ」
ため息を吐きながら立ち上がる、面倒ではないが憂鬱だ。
脳裏に浮かぶのは己の相方。
彼は十年連れ添った幼馴染みであり、抑えようのないストレスと欲望を鎮める相手でもあり、背中を預けられる戦士であり、庇護し庇護される関係だ。
その彼が遅れる理由__今動けない理由。
「どうしてあのとき、私を庇った」
絞りだすような声で呟き、白い部屋を退出した。
***
かくして彼らは騒乱の最中に身を投げる。
連綿と積み重ねた歴史を燃やした後、そこに存在しない明日を作るため。

駄木(50 PS)を購入しようとしましたが、PSが足りませんでした。
武術LV を
10 UP!(LV0⇒
10、-10CP)
魔術LV を
10 UP!(LV0⇒
10、-10CP)
付加LV を
20 UP!(LV0⇒
20、-20CP)
アレク&フレア(98) により
ItemNo.5 不思議な石 から装飾『
不思議な精霊石』を作製してもらいました!
⇒ 不思議な精霊石/装飾:強さ30/[効果1]幸運10 [効果2]- [効果3]-/
特殊アイテム
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アレク 「不思議な石に精霊を宿しただけなんだけど、 ここマナが薄過ぎるから役に立つかまではわからないけどね。」 |
リグニス(390) により
ItemNo.4 不思議な牙 から防具『
試製防具』を作製してもらいました!
⇒ 試製防具/防具:強さ30/[効果1]活力10 [効果2]- [効果3]-/
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みふね(794) により
ItemNo.6 不思議な食材 から料理『
おてごろハンバーガー』をつくってもらいました!
⇒ おてごろハンバーガー/料理:強さ30/[効果1]器用10 [効果2]敏捷10 [効果3]耐疫10/
特殊アイテム
カナデ(91) とカードを交換しました!
ブレイク
(ブレイク)
デストロイ を研究しました!(深度0⇒
1)
デストロイ を研究しました!(深度1⇒
2)
デストロイ を研究しました!(深度2⇒
3)
ストライク を習得!
ティンダー を習得!
レッドショック を習得!
チャージ を習得!
ファイアボルト を習得!
デストロイ を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!