ここに来るのも何回目かもうわかんなくなってきた。
3?4?わかんないけど。そんくらい。
気づいたらいるんだもんな。
そんで、あぁそうだってなる感じ。やだな。なんか気持ち悪い。
来るたんびになんかよくわかんないけど戦って。
もう飽きてきた。ていうか戦いたくないんだよな、あんまり。
痛いのやだじゃん。楽しくない。暴力よくない。
とか言いつつなんか変なのと出会ったら戦わなくちゃこっちがやられる。
その繰り返し。生徒会長とじゅんたとあすみんも守らなくちゃだしな。
そんな中で、ふと思い出した。
じゅんたとお花見してたときのこと。初めてのお花見たのしかったなぁ〜。
……いや、そうじゃない。楽しかったけど。
そのときじゅんたが言ってたこと。
俺の異能もちゃんと使えたら侵略者?たちからみんなを守れるんじゃないかって。
ちょっと試してみようかな?ってなんとなく思って。
頭によぎったのは数年前に見た光景。
物が散らかった狭い部屋。俺の『世界』だった場所。
なんでか知らないけど怒鳴り散らしながら暴れるめちゃくちゃでかい男。
恨んでたわけじゃない。ほんとうに、なんとなく。どうなるのかなって思っただけ。
目が合ったから。自分にしか聞こえないくらいの小さな声で呪いの言葉を呟いた。
次の瞬間その男は体勢を崩してベランダの網戸にしてあった窓にぶつかった。
大きな音をたてて網戸は外れて、男といっしょにベランダに飛び出ていって。
オンボロ集合住宅ってやつだったから、ベランダの柵もガタがきてて。
そのまま網戸とベランダの柵といっしょにその男は俺の視界から消えた。
ーーーーもし、たまたまだとしても。あんな感じでなにか起これば。
そう思って生き物なのか何なのかよくわかんないけど戦ってる相手に異能を使ってみた。
どれでもよかったからたまたま目の合った相手に呪詛を唱える。それだけ。
そしたら相手はなんかよくわかんないけどすげぇ痛そうなことになってた。
あ、できたーーーって思った直後。
ものすごい痛さといっしょに口の中に広がる鉄の味。
そしてポタポタと何かがあごを伝って垂れてくる感覚。
一瞬よくわかんなかったけど、拭った手を見てわかった。
…鼻血?
そういえば口の痛さで気づかなかったけどなんか鼻も痛い気がする。
…………なんで急に?相手がなんかしたのかな?
でも俺の異能が成功したときのベロのぴりぴりもしてる。
それさえいつもより痛い気がするのは口の中がなんかなってるせい?
わからない。なんだこれ。痛い。