ヒト
僕は隣人を■している。
僕はあらゆる他者を■している。
カミサマ
僕は世界を■している。
■のことは■さなくていい。
ただ、■することだけ、■■に■■■■だけを■してくれるなら。
それだけで、良かった。
■でもいい。
■■■■でもいい。
・・・・・・・・・・・・・・・
とにかく、■■■■■■に■■■■なければーーそう、■に■■■なければーー
■も■■くれない■■も。
■■を■■する■■■■■■■も。
そんな■■に■る■■■も。
何もかも、■■に■■■しまいそうだった。
ーー嗚呼、それは。
■■
何と■■で■■な、《■■》だろう。
この『僕』が、まともな食事を摂るのは、一体いつぶりだろう。
そもそも、あの世界には碌なものがなかったのだった、か?
よく覚えていないけれど。
とにかくーー行きずりに行動を共にすることとなった、ニコニコと愛想のよい青年が料理を作ってくれた。
しかし、実のところ。
この身体に残っている感覚は、そう多くはない。
厭に鋭敏な視覚と聴覚。僅かな触覚と、鈍い痛覚。
思い返せば、この姿に変成してからは空腹を覚えたこともない。
だから、食事をする必要がなかった。ずっと忘れていた。今も、きっと、本当は必要ないのだろう。
対応する器官が存在しないのだから、それも当然かもしれないが。
呼吸器官も、消化器官も、ーー心臓さえも。
この身体には、人体を構成する臓器の大部分が備わっていない。
『ひとのかたち』こそ保っているものの、最早『ひと』では有り得ない。
心だけでなく、遂には姿すら模倣となった。或いは、ただの残滓かもしれない。
本当に、本当に、この胸の内には空虚さが募るばかりでーー何も、無い。
それでも、青年が作ったものを『よいもの』なのだろうと認識できるだけの機微は、まだ残っている。
ここにはきっと、心が込められている。
どれほど努めても得られなかったもの。
終ぞ、理解できぬままだったもの。
決定的な欠落。致命的な欠陥。
けれど、口があって歯があるのなら。喉があるのなら。
少なくとも、噛み砕いて飲み込むぐらいは、可能な筈だ。
口へ入れる。味を感じることはできない。
嚥下する。不思議と、空の胸腔へ落ちてくることはなかった。
「……ありがとう、ごちそうさま」
それは、何を満たしたのだろう。
それとも、ただ、無為に消費してしまっただけなのだろうか。