「ごめんなさい……ごめんなさい……」

小さな彼が泣いている。
いっぱい食べてごめんなさい。
お腹いっぱいにならなくてごめんなさい。
黒い影は眼孔だけが白く。

「厄介者」「穀潰し」

蔑みの言葉が響く。
暴発騒ぎで重傷者を出した頃には罵りの言葉が酷くなっていた。
そんな彼を救い出したのは、ぶっきらぼうな手。
息子を亡くし、妻は離れ、一人になってしまった時計職人の手。
時計職人の庇護のもと、彼は自分だけでも生きる力を手に入れて
そして─

***

「……馬鹿みたいっす……」

そう、これは……兄の記憶。
彼には、なにもない。
兄に成り代わって、あの居場所を手に入れるはずだったのに。
周りが兄の名を呼ぶ。
その記憶が、次第に彼に苦しみを与える。
望んでいたことだったのに……。

***

　　　「鴉さん」　　　　　「クロウラ」

「……違う、俺は………俺は……」





「兄さんじゃ……ない……」

じゃあ自分の名前は？
俺の名前は？
思い出せない。
思い出せるわけがない。

……元々居ない存在なのだから。

***

彼の意志は迷走する。
大切な友人をアンジニティに追いやるかもしれない罪悪感。
誰も……いや自分ですら本当の名前を知らないこと。
兄に成り代わったのは自分なのに
兄になりたくないという思いが芽生え始めていること。
けれど、あの場所を奪えば……姉と暮らせること。

「……姉さん……もし、あの場所を奪えたら……そのときは……」

▲	雛 「クロウラだ！ ……え？なに？聞こえない！ クロウラ怖いの？大丈夫だよ！ 俺、クロウラがんばって見つけて守ってあげるからな！まってて！ 誰か見つけていっしょにいたら怖くないから、いっしょにがんばろ！」

▲	×××× 「ぼくのこと、たべてもいいよ」

	×××× 「生きたまま頭から？　指先から細切れに？　それともハラワタを引きずり出そうか？ 嗚呼ーーそれはどんなに気分が良いだろう。 ふふ、そうしたら　"ずっと一緒"　だね？」

	甘ったるい声であの日と同じ言葉を口にする。淫蕩な微笑が谺する。 それは堕落へと籠絡する悪魔の囁き。 破滅への誘落。 被虐願望の成れの果てーー独りよがりの快楽を求める、被虐のバケモノ。

	×××× 「……なんてね。 少しやることが出来たから、そういう訳にはいかなくなった。 　 あの花園 イバラシティは、あげない。 文句なら　"侵略が失敗した後で"　幾らでも聞いてあげるよ」

	片方だけの瞳に灯る愉楽が失せる。 代わりに宿るのは、悲しみでも憤りでもなくーーたったひとつの、確かな意思。

▲	淳太 「──そういえば黒浦さんは化け物に襲われてないかな…」 淳太 「……きっと無事、だよね。 またいつもみたいにお店に来てくれますよね？」

▲	巨大蝦蟇 「ええ、ええもちろんよ 侵略を成功させて、本当の姉弟になりましょうね」 ひどく歪んだ顔をさらに醜く歪めて笑う 悪意に満ちたような表情だった 「さぁいきましょう、"鴉"」

▲	あなたの耳にノイズが入る。送り主はわからず、姿も映らない。 ノイズは急速に一定の旋律を象り、やがて音楽となった。 ……あなたの心を癒やし慰めるように、「はらぺこあおむしのうた」が流れている。 曲が終わると、音はぷつりと途切れた。

以下の相手に送信しました

ガラ・マンドゥ ENo.608 露美智世 ENo.1018 錫也雨子 ENo.1171 彷徨う侵略者／黒浦 鴉

ハザマに生きるもの 大黒猫 ヤンキー キラービー

改造霊柩車『火車号』 ENo.48 “聖職者" ENo.58 "葬儀屋" ENo.599 行逢　三崎

ガラ・マンドゥ ENo.608 露美智世 ENo.1018 錫也雨子 ENo.1171 彷徨う侵略者／黒浦 鴉

16人からの声が届きました！

ガラ・マンドゥ ENo.608 露美智世 ENo.1018 錫也雨子 ENo.1171 彷徨う侵略者／黒浦 鴉

ハザマに生きるもの 大山猫 歩行石壁 歩行石壁

441

434

ガラ・マンドゥ ENo.608 露美智世 ENo.1018 錫也雨子 ENo.1171 彷徨う侵略者／黒浦 鴉

改造霊柩車『火車号』 ENo.48 “聖職者" ENo.58 "葬儀屋" ENo.599 行逢　三崎

356

531