|
水月 「@@」 |
むかしむかし。地球人が月、火星へ移住を進めていた頃のお話。
平和な地球に、"火星人"と呼ばれるわるい宇宙人が攻めてきました。
地球はまたたく間に制圧されてしまい、火星人の星になってしまいました。
ですが、それから数ヶ月後――
|
火星の第8プラントの管理者『メド』と |
|
くらげそっくりの宇宙生命体『M.E.D』によって |
蜂起した火星や月の残存人類達は、地球奪還を決意――
――総力戦の果てに、多くの人類と、メドという犠牲を払いつつも
秘策によって火星人を殲滅し――地球に平和が戻りました。
火星人…もとい宇宙外生命『M.R.S』は絶滅。たった一匹を除いて――
- 《否定の世界》アンジニティ 墜落地点 -
|
M.R.S 「…………ムー……」 |
タコのような生物が瓦礫にもたれている。
身体の一部は溶け、破片が突き刺さり、頭部は緑色の"何か"に侵食され――
その命は、じきに尽きようとしていた。
「――能力『ワールドスワップ』発動により、世界への侵略が開始されました。
ランダム選択により侵略対象は《響奏の世界》イバラシティ――」
奇怪なタコの脳裏に直接、その者の姿と共に人語が響く――
末端の一兵であるこの『8888号』に、そんなものは分からない筈だ。
|
M.R.S 「…………」 |
…だが。それは何故か、直感的に理解出来た。
単純な思考回路が、何らかの理由でクリアに、多角的になっている――
――その話の全てが終わった後。此処では無い何処かで。
8888号ではない、別の姿へと変わっていた。
- ハザマ -
―――――――――――――――
後に、別の誰かの声で、再び何処かへと意識を引き戻された。
――『榊』と名乗るものの、随分に騒々しい声だ。
|
M.R.S 「…此処は…」 |
扱う事の出来なかった人語を、呟くと同時に――
――M.R.Sの思考回路に、記憶がフラッシュバックする。
高校生として過ごした日々の記憶。
苦楽を共にしてくれる友人達との記憶。
鎬を削り合った、とある魔法使いの記憶。
大きな秘密を共有した、一人の少女の記憶。
――それから――――…………
|
M.R.S 「――なんて事だろう。」 |
状況を、噛み締める。自分はM.E.Dではなかった。それどころか――
|
M.R.S 「…行かなくちゃ。」 |
それだけ呟き…その醜い姿を、飴細工のように徐々に転じる。
四肢が生じ、服装さえ擬態し。髪は鮮やかな緑色の髪が伸び――
|
水月 「……」 |
――僅かに歪な、"灯星 水月"を形作った。
PL / 神霊K.N.G.S.