突如現れた巨大な影は、今まで見てきた物の中でも一際異様に、そして圧倒的な威圧感を以て目の前にあった。……と、言っても二度目だからそんなに驚かなかったけれど。 鉄の、空を飛ぶ船から現れた女性らしき人物は、こちらから差し出した資材を受け取ると、満足そうに謝礼をこちらへ渡し、去っていった。 「行きたい場所……他の星、って言ったら?」 そう話しかけると、彼女は後ろ手に、謝礼として渡してきたカードを指差し、船に乗ってどこかへ去っていってしまった。 彼女が渡してきたこのカード。なんでも、今まで行ったことのある場所へ行けるカード、だと言う。 この星のカードが大層な力を持っている事は、もはや疑うことも無い事実であるが、今まで行ったことのある場所、というのは、どこまでが含まれているのだろうか。 常識的に考えれば、この星の中で今まで立ち寄った場所だ。だけれども、もし。 「……他の星にも、行けるとしたら」 この星の夜空に輝く星々は、故郷で見た物と異なる配列をしている。少なくとも、最も明るい星と、それらが象る特徴的ないくつかの並びを、今まで見つけることができなかった。 この場所が、数多輝く星のいくつかの内一つで、星々がそれぞれ、島のように場所が異なっているならば、それらから見る星も、また異なっているということは容易に想像ができる。 つまり、この場所と、故郷は違う星なのだ、と、そう思っている。 しかし、このカードがもし、星々の移動すら可能だと言うならば、それは故郷へ戻る道筋を手に入れたことに他ならない。 「時期が来たら、かな。」 今はまだ、試すのには早い。運良く故郷へ戻れたとして、右腕が暴走して故郷を滅茶苦茶にしてしまったら――――想像するだけでも怖気が立つ。 「……今は、食べなきゃ。」 飢餓と暴食欲求を抑えるには、腹に食べ物を貯めるのが一番だ。幸い今の平原には獣が多数生息しているから、しばらく食い物には困らない。保存食もたっぷりと貯め込めた。 後は今日の分を狩れば、一日二日は十分な量になるだろう。そう思い、獣の後を追う。 そしてふと、違和感を覚えた。 まただ。先日から感じる違和感。これはなんだろう? 決まって、獣を狩る時、食料を調達する時に感じるのだ。 しかし、何かが変わっている筈なのに、その変化を感じ取る、あるいは自覚することができていない。もどかしさを感じるが、ひとまず、獣を狩ることを優先とする。 風下から草に紛れて静かに近づく。しっぽや翼が草に擦れる音がするが、それは風の音にかき消されていく。 日差しと、風向きを確認して、どちらも獲物が感じ取れないと判断し、思い切り土を蹴る。 匂いは風向きにより探知できず、音は周囲の音に紛れ、影は太陽の向きから感じ取る事はできない。 唯一、視界だけが獣の探知出来得る手段であったが、それもほぼ真上から来られては判断のしようも無い。 結果、ロズトアの右腕は、過たず獣の首筋を噛み切った。 翼が生え、足が竜になってからこういう狩りができるようになって、成功率も上がった事は喜ばしいことでは有る。助かるし。 ただ、それは人から離れていっていると同義であり、素直に喜ぶ事はできなかった。 ふと、仕留めた獣を見る。いつもはまるかじり、丸呑みしているが、血抜きをしてやればもっと美味しいし、保存も効く、と頭によぎった。 そして、また違和感が来る。 どうして、今まで仕留めてすぐに血抜きに取り掛からなかったのだろう、と。 知らなかった訳ではない。故郷ではずっと、家畜の血抜きを手伝わされていた。可愛がった家畜を殺すのは気が重かったが、しっかりと処理をしないと不味くなって、何の為に殺したのかわからなくなる、と親に言われたっけ。 幾ばくか、思索を巡らせて、思い立つ。 「あっ……そうか。ずっと、先に食べて、丸呑みにしてたんだ。」 そう、狩りを終えた途端、右腕はそのまま獲物を貪っていたのだ。ロズトアが止める間もなく、勝手に喰らい、止めることなどできなかった筈だ。 それどころか、今回はどうだ。「正確に」「首筋を狙って」噛み切ったのだ。今までは、粗暴にも程があるといった体で噛み砕いていたのに。 「思い通りに、動かせてる……?」 あるいは、制御が効いている、と言ったほうが良いだろうか。他の部位――尻尾などはやはり勝手に動くし、腕も知らない動きを見せているのは確かだ。 だが、ロズトアが思うまま、動きたくないと思えば、動かない。それは満腹でなければ、狩りをするような腹具合ではあり得なかった事だ。 狩った獣を川へ持っていき、血を抜き、捌く。 一連の動作を行うロズトアの行動は、誰が見ても、知識という武器を得た「人」の姿だった。 ╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋╋ ╋╋╋╋╋╋╋╋╋ ――影があった。それも、二つある。 一つはとても大きいけれど、生物であろうそれは、その肢体をいくつもの杭で痛々しく打たれ、全身を鉄線で縛られ、眠っていた。 もう一つは、とてもとても小さい影だった。 人のような、しかし人でない、どちらともつかない形をしているその影は、大きい影に寄り添うように、うずくまって膝を抱えていた。 また、この夢かとロズトアは思う。 ロズトア自身の分身、もしくはBUGとも呼べるだろうか、そっくりな姿をした少女は、相変わらずロズトアに言葉を投げかけるが、やはり理解できるほどの言葉は聞き取れなかった。 「貴方は、どうしてそこにいるの?」 問うてみる。返事は聞こえないだろうし、もしかしたらこちらからの声も聞こえないだろう。 「ど■■て、■た■は、■■■■■いだけ■■に、どうして。」 どうして、貴方なの。 そう、はっきり聞こえたところで、その日の夢はかき消えた。 |
![]() 「どこまで、強くなるんだろう、なれるんだろう。」 |
![]() 「……強いのだと良いなあ。」 |
![]() 「……強いのだと良いなあ。」 |
![]() 「……片付かないよぅ。」 |
![]() 「仕方がない、コレ使おう……。」 |
![]() 「兎に角、前へ、前へ……。」 |
![]() 「………」 |
![]() 「やあ、やあ。『わたし』を呼び出したのはきみかな。 ご期待に沿えるよう、できるだけ頑張って見せるよ」 |
![]() 「幽霊でもいいのなら、手を貸しましょう」 |
![]() 「私は一人では何もできませんので」 |
![]() 「使い方……まだ分からないけど、みんなを援護して、それで 」 ![]() 「……ええと。 」 ![]() 「……力いっぱい、やります。ちょっと周りごと、みんな傷つけちゃうかもしれないから、気をつけて……。」 |
× | Pno113 ロズPT [前 / 新 / 集]![]() ![]() ![]() ![]() |
VS | Pno227 少女PT [前 / 新 / 集]![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
○ |
× | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
VS | Pno113 ロズPT [前 / 新 / 集]![]() ![]() ![]() ![]() |
○ |
× | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
VS | Pno113 ロズPT [前 / 新 / 集]![]() ![]() ![]() ![]() |
○ |
![]() 「わたしは前に進む。何があるか分からないけど、前に進むって決めたから。」 |
![]() 「………」 |
誰にも知覚されない死角── もしかすると、彼女が『いるかもしれない』場所に、 幻術士は、音もなく現れていた。 ![]() 「こんにちは、こんばんは。 始めまして、お久しぶり。 教えてくれるかい、わたしの名前を」 |
![]() 「私は前に進むの、だから……!」 |
![]() 「………」 |
![]() 「きみが、わたしを止めるというのなら。 その『意志』、しっかりと示して欲しいんだ。」 |
![]() 「さぁさぁ……どちらがBUGか答え合わせといきましょう」 |
![]() 「……」 |
![]() 「この世界の力、君は扱えるか?」 |
![]() 「……準備は……出来てる」 |
![]() 「さて、何が出てくるやら……」 |
![]() 「たとえ僕がBUGでも、前に進まなきゃいけないんだ」 |
![]() 「………」 |
![]() 覆い隠すかのように。 |
![]() 「あれ……」 |
ふと、姿が掻き消えては 別の場所に現れている。 |
![]() 覚束ない輪郭が揺らめく。 |
![]() 「清濁飲み込んで世界はなお綺麗だ」 |
![]() 「見えるかい聞こえるかい感じるかい人々の息遣いを」 |
![]() 「予想外のハプニングが、君たちを待ち受けているよ」 |
![]() 「あらら。」 |
![]() 「慎重であるに越したことはないさ」 |
![]() 「どうして、今それを行う必要があるだろう?」 |
![]() モノアミンオキシダーゼの阻害にまで至らないように注意しつつ、投与量増加。 覚醒作用ほか、口渇、神経過敏を感覚。 |
![]() 「多少は消費を軽減してくれるはずだよ」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
ロズPT Chain | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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BUG Chain |
虚像が掻き消える。 |
![]() 「一気に畳みかけるよ!僕についてきて!」 |
![]() 「……そうか。」 |
![]() 「前に進むチカラを!」 |
小さく相槌を打つ。 |
呼吸を整える。 |
![]() 「始める。」 |
![]() 「そっちは偽物だった、ってことにしようか」 |
![]() 「風の如く ー」 |
![]() 「何がどうあれ、世界は維持される。」 |
![]() 「何がどうあれ、世界は維持される。」 |
![]() 「何がどうあれ、世界は維持される。」 |
![]() 「すごいね、まるで回復されてるみたいだよ!」 |
![]() 「いやぁ助かるよ~!あとでコーヒー淹れたげるっ」 |
![]() 「すごいね、まるで回復されてるみたいだよ!」 |
![]() 「世界の片鱗。」 |
![]() |
![]() 「かつてより成長したって本当に言えるのかい?」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「……そうか。」 |
![]() 「……ありがとう」 |
![]() 「前に進むチカラを!」 |
![]() 「へぇ……」 |
![]() 「残念!きみはずいぶんと運が悪かったようだ」 |
![]() |
![]() 「あの時を境に時間は止まってしまったんだ」 |
ロズPT Chain 列命傷冥闇Lv4(1) 全活気Lv3(2) 列殺傷冥闇Lv3(3) 治癒活気Lv4(4) 列命傷冥闇Lv6(5) 遠傷痕冥闇Lv5(6) 列自傷冥闇Lv4(7) 列自傷冥闇Lv3(8) 列治癒活気Lv4(9) 列傷冥闇Lv7(10) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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BUG Chain ?(1) ?(2) ?(3) |
![]() 夜霧を飛び交う。 |
![]() 夜霧を飛び交う。 |
![]() 「始める。」 |
![]() 「一気に畳みかけるよ!僕についてきて!」 |
![]() 「……そうか。」 |
![]() 「……そうか。」 |
![]() 「……そうか。」 |
![]() 「前に進むチカラを!」 |
![]() 「前に進むチカラを!」 |
![]() 「前に進むチカラを!」 |
![]() 「届かない届かない…」 |
![]() 「世界よ、廻れ。」 |
![]() 「何がどうあれ、世界は維持される。」 |
![]() 「何がどうあれ、世界は維持される。」 |
![]() 「ありがとう。まだ、戦えるよ」 |
![]() 「ありがとう。まだ、戦えるよ」 |
![]() 「世界の片鱗。」 |
![]() |
![]() 「あてずっぽうよりはマシだね?」 |
![]() 「行くよ……。」 |
![]() It`s show time! |
![]() 「あらら。」 |
![]() 「遅い。」 |
![]() / なんでーっ \ |
![]() 「まずは軽くね」 |
![]() 「ありがとう……。」 |
![]() 「………」 |
![]() 「すごいね、まるで回復されてるみたいだよ!」 |
![]() 「……。」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「遅い。」 |
6'th chain!! |
![]() 「痛……」 |
![]() 「幸運の七つ目ね」 |
![]() 「遅い。」 |
![]() 「周りごと全部、もう……!!」 |
![]() 「weisheit.」 |
![]() 「ありがとう……。」 |
![]() 「ありがとう……。」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「……ほんとは私にそこまでする必要なんて、ないのさ」 |
![]() 「……ほんとは私にそこまでする必要なんて、ないのさ」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
![]() 「遅い。」 |
![]() 「………」 |
![]() 「………」 |
Over drive!! |
![]() 「あらら。」 |
![]() 「遅い。」 |
![]() 「さぁもっと怯えて!もっと魅せて頂戴!!」 |
![]() 「ははぁ……いい音したわね?」 |