ハムの一週間

「（贈り物は滅多に無い。その言葉に僅かに片目を細め）
汝らの世界では、人にものをやったりはせぬのか。
……アレなどは、汝が望むだけ色々なものをかき集めて来そうなものだがな（アレ、とモノのような扱いを受けているのはライズ。顎で示して笑い）」

「否、無論、物を贈るだけが友誼や親愛を示す手段ではないが。
（いかがわしいとか何とか云われているが気にした様子はなく、笑ってライズの顔を見）

ほう、それで汝は女子の尻に敷かれているわけか、成る程。」

「（グラハムの語る人とは異なる誕生と生の在り方に耳を傾けながら、その中に混じる虚ろげな言葉にひそりと眉を顰め）

我の部族にも人とは違う理の中で生きる妖霊達の言い伝えがある、人と違い火と風から作られた彼等は不死の肉体を持ち
人知を超えた技で人を助けもする、と」

「そのようなあり方に倦み、死を望む者も居ると云う」

「我に云わせればそれは、……そうだな、欲張りな話だ。
無い物ねだりに過ぎぬ。
人がどれ程無限の命を求め、猶予を乞い願い死んでいくのか、……それと同じ、人もそうでないものも、皆欲張りに出来ているのだ。」

「───、と、一般論で語るのならばそう云いたいが
……（物問いたげにグラハムの顔を見はするが、疑問を口に出す事はせずに何処か遠いものを眺めるような彼の頭に手を乗せてぐしゃりと撫で）」

「（ライズの言葉にはフン、と軽く鼻を鳴らし）
無論我らとて豊かな土地が他にあれば其方へ移りもしたであろう、……然し、あの土地は、……
（記憶を辿るように目を細めて暫し言葉を区切り）

追い遣られた」

「………。そう、元居た土地を追われ、我の部族は砂漠へ居を移した、のだ。
……そう聞いている。」

「（記憶の中を彷徨っていた目を上げて「権力」と反芻し、笑い）
そうだな、美しい宮殿に住まい、美味いものを食らい、気に入った女を抱き、そして神のように崇められる

──魅力的な椅子だ、己に座る権利があるとなれば
求めずには居られぬものなのだろう。」

「剣の稽古は欠かさぬぞ。
汝も付き合うか、上背ばかり高くてどうにも細っこい身体をしているではないか。
キントレ、などと我に説くなど生意気な。」

「（よーし打ち合いでもするか、と何処から取り出したのか木刀など持ってライズの首根っこ掴み）」

「貴方は……もふもふの、人？」

「……あ。いきなり、変な事を云ってごめんなさい。
　何処かで、貴方の不思議な雲に触れた事があるような気がして。
　戦場以外で顔を合わせるのは初めてのはずなのに……」

「工房選択中は乱入された側にしか、乱入表示がなかったみたいですね。
　前回、当方の4日目の訓練中に、ハムさんに乱入していただいていました。
　乱入どうもありがとうございましたー！」