チェスの一週間

「（しまった！　といわんばかりの顔をしている）」

「う、うむ。そうだな、言う程歳というわけでもないな。
なんたってワシは強くてびゅーてほーなぎゃる（死語）じゃから！」

「あー。それは……なんというかだな、その……」

「…………」

「あー！　もう、どうでも良いじゃろう！
そんな瑣末事を気にしているようでは大物になれんぞ！」

「（トンボを振り回す様子を見て少し感心したように）
おお、確かに以前のはんまーとは別の意味で凶悪そうじゃな。木製だから耐久性に欠けるのかと思ったが、なかなかに頑丈そうではあるし…」

「調べ物自体は別段構わないが、
司書殿が戻ってくれぬ事にはどうしようもないからのぅ。
そもそも、ワシは今かものはしじゃし。かものはしじゃし」

「……と、いうか、チェス殿もハズレ組か。
お互い運が悪かったな」

「はははそうかぁ夢かあ、そうだよあ。

……なんだろう、納得してはいけない気がする」

「引き割り……え、それ（ハンマー）で？

可愛い顔で可愛く照れながらさりげなくとんでもない事言われた気がする。
」

「子供のころからの積み重ねなのかぁ。
　小さいときからそんなに大きなハンマーを
　振り回してたなんて意外とおテンバだったんだね」

「小さいころのチェス、見てみたかったなぁ……」

「けどお父さんお母さんに止められたりしなかった？
　『そんな大きな武器危ないからいけませんーッ！』
　……とか言って」

「エリダさん……
　サチ先生のとこに行くときたまに見かけるけど、
　すっごい綺麗な女の人だよね？
　お話したことはないけど、余りに印象的だったから
　一方的に覚えちゃった」

「調べ物……せ、石化解除の方法とか……（ボソ）
　……やっ、ううんいいの。
　これは自分の力で調べるって決めたし……」

「……とは言ったものの当てがある訳でもないし
　…もし迷惑じゃなければ、力を貸して貰えるなら
　是非頼みたいものだけど……」

「（服のことを言われて）あ、ありがとう。
　けど、地味じゃないかな……？
　今まであんまり人と会う機会がなくて意識したこと
　なかったから、皆のオシャレで可愛い服見てると
　なんだかちょっと気後れしちゃうんだよね」