Infomation | ||
|
||
Diary | ||
いつものように図書館に行こうとしたら、サチ先生がお出かけするところだった。 珍しいな、と思っていたら話しかけられた。 「しばらく戻らん」とのこと。 だから図書館の利用もできないんだって。 ……サチ先生、本から離れたら生きられないタイプの人かと思ってたのに。 びっくりしたのと同時に……なんだろう。 やっぱり、一番つきあいの長いひとだからなのかな。 しばらく会えないって判ると、なんだかヘンな気持ちになった。 ……ケチ司書とか言ってごめんなさい。 先生がいなくても魔術の勉強はちゃんとしますから。 きっと、帰ってきたときに驚かせられるくらい! ……だからサチ先生もそろそろ私の名前くらいは覚えて下さいね……。 ……それで別に寂しくなった訳じゃないけど、ふと実家に帰りたくなった。 実家って言っても、師匠と住んでいた森の箱庭のことだけど。 あの日以来一度も帰ってなかったから、数週間ぶり? もしかしたら数ヶ月とか経ってるのかもしれない。 時間の感覚は「召喚」のせいもあってか、酷く曖昧。 私と師匠はあそこで、預けられた子供たちを匿いながら暮らしてた。 地元では割りと名の知れた魔術師だった師匠と、使い魔の私。 魔物が往来するカレイディアでは、少しでも子供を安全な所に置いておきたいと 師匠の元に訪れる親が多かったんだと思う。 彼らがどうなったのか、よくは知らない。 たぶん多くは「彼女」との戦いに身を投じたんだと思う。 一方箱庭は平和だった。 親と離れた寂しさと不安に苛まれる子もいたけれど、戦いの面影のないあそこは 少しずつだけど子供たちの心を癒していったように思う。 きっと、みんな戦いに疲れてたんだ。 ちょっとずつ子供の人数も増えて賑やかになると、段々と皆に活気が戻ってきた。 いつしか箱庭には子供たちの声が満ちるようになっていた。 けれど、一緒に遊んでいた私には、その裏にある悲しみだとか寂しさだとかが、 簡単には消せないものなんだっていうのもよく判った。 「叶うなら、暗い空しか知らないお前達に、晴れ渡った青い空を見せてあげたい」 膝でうとうとしていた私に向かってつぶやいた、師匠の言葉が忘れられない。 戦いで淀んでしまって、暗く閉ざされた色々なものに対する想いだったんだと、 今なら判る。 ――荒れ果てた楽園の残骸。 少し前までは確かに溢れ返っていた子供たちの喧騒も、もう聴こえなかった。 あの日以来、帰ってくることのなかった私の家。 変わってしまったここを見るのが、辛かったから。 箱庭の入り口に立つと、最後に見た師匠の背中が脳裏に浮かんでくる。 夜目は利くほうなのに、なぜだろう。 視界がぼやけた。 ――あの日、今までに類を見ないほどの数の魔物が箱庭にやってきた。 群れの前に立ちはだかって、ただ独り戦いを挑む後ろ姿が、 私が最後に見た師匠の姿だった。 私は師匠の命令どおり、裏庭から森を抜けて、 洞穴へ身を潜めるために子供たちを連れて走った。 一刻も早く。 師匠が群れをくい止めているうちに――。 けれどその途中。 私たちの前に見たこともない「もの」が現れた。 そこからは文字通りあっという間だった。 「それ」は瞬くうちに子供たちの魂を次々に抜き取っていって。 飛び掛った私に成す術なんて全くなく。 ただの一瞬で意識を飛ばされてしまった。 気がついたのはそれからどのくらい経ってからだろう。 目覚めた私は、眼前の光景に言葉をなくすしかなかった。 魂を抜かれた子供たちが、まるで石像みたいに固まって―― 今にして思えば、あれはコンファインで依代として 利用出来ないようにするための処置だったんだろう。 ――ついさっきまで、互いに慰めあっていた皆が 一緒に遊んで、支えあってきた皆が こんなに、簡単に……。 師匠のもとに走った。 あそこにいるのが怖かった。 どこかへ逃げ出したかった。 誰かに助けて欲しかった。 師匠なら、あの子たちを元に戻す方法を知ってるに違いない。 私は無我夢中で箱庭へ駆け戻った。 けれどそこにあったのは。 子供たちと同じように魂もぬくもりも奪われ、 冷たい石像と化した師匠だった。 ……そこからはよく覚えてない。 意味もなく、ただガムシャラに走り回っていた。 箱庭から少しでも遠くへ逃げたかった。 あんな現実は、見ていたくなかった。 やがて師匠からの魔力供給を失った私は、 外界から召喚された人間の魂を入れられることで、 召喚士に命を助けられた。 結局私は、誰も助けられないまま、助けられているばっかりだった。 箱庭の中央へ向かう。 足が震えたけど、今進まなきゃもうここには二度と戻って来れない気がした。 そこにはあの時のまんま、動かなくなった師匠の像が立っていた。 直視は……できなかった。 けどこのままにしておくわけにもいかないので、 ボロボロになった家の中へ押していこうと、触れてみる。 あの時の膝の温かさは、もうどこにもなかった。 触れた手が凍てつくくらいに冷たかった。 震えを抑えて、師匠の像を力いっぱい押す。 ……師匠は、すごく重かった。 重かったけど、頑張って押した。 目の前が滲んで大変だったけど、我慢して押した。 子供たちの像も全部家に運び込んだ。 お月さんを二回、頭上で見た覚えがあるけど、 終わるまで実際どのくらいかかったのかは判らない。 私が護ってあげられなかった彼らは、やっぱりすごく重かったから。 一休みしてから、家のお掃除と簡単な修理をして、 その日は、皆と一緒に寝た。 こうして寝るのも凄く久しぶり。 けど寒さは……あんまり変わらなかった。 もう、夏なのに。 翌日、訊ねてきたメイさんに、そろそろ戻るように言われた。 学園の攻略が始まるんだって。 ここにいても仕方ないし、何も変わらないのは判ってる。 寂しさが紛れることがないっていうのも、判ってはいた。 けど、やっぱり少しだけ、名残惜しかった。 いつかまた、落ち着いたらもう一度来よう。 その時は「寂しいから」とかじゃなくて、もう少し胸を張って。 皆の前で泣いたりしないくらい、強くなってから。 師匠が言っていた青空を取り戻せるくらい、強くなってから。 今はそれを「なんのために戦ったらいいのか」っていう疑問の答えとして もっておきたいと思う。 |
||
今回の滞在 | ||||||
|
||||||
Message(Personal) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
Message(Linkage) | ||
|
||
召喚士におねがい | ||||||||||||
|
||||||||||||
LvDown | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レベルダウンしました
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Market | ||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||
Ability Setting | ||
|
||
Item Setting | ||
|
||
Skill Setting | ||
|
||
Schedule | ||
|
||
Lvup | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レベルアップしました(EXP-50)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
攻略の時間になりました!! | ||||||||||||
|
||||||||||||