チェスの一週間

「今回の攻略拠点は「怪鳥平原-精霊の杜」ですね」

「時間になったら集まるのよ」

「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」

「……メッセージの送信ですね。承ります」

「……17件のメールが届いております」

「ふ…案ずるな。
このワシが猫如きの呪いに屈して堪るものか」

「…………。
（動く耳をじーっと見つめ）

じゃが、まあ、獣耳というものも良いかもしれぬな（ぼそ）」

「いやいや、ワシとて別に遊んでいるわけではない。
こうして猫の習性を研究する事で、呪いの……えぇと、あれだ……そう、めかにずむを解明できるかもしれぬ」

「そう思えばこそ、心を鬼にしてねこじゃらしを振っているのであって。決して面白いから等の不純極まりない動機ではないのじゃ。
ああ、断じてな！（だが、言葉に反して表情は嘘臭かった）」

「う、うむ。ワシのほうこそ悪かった。
主はぺっとでもあるまいし……こういう対応はおかしいな」

「あー……まぁ言われる、うん、俺の家族はもっと変な名前だし。」

「うーん、やっぱいろんな世界から来てるのかねぇ、ここに飛ばされる前は本やら映画の中の話だけだと思っていたが……

うん、出会いの機会は増えていいことだが早めに戻りたいものだな。」

「チェスカ……さんのほうがいいのか、それともちゃんか？

何はともあれ、宜しく」

「ソウルスティール、ああ、魂を盗むんだったか？
俺は戦ってないから喰らったことは無いが……なんだ、災難だったな。

というかこの世界の猫は呪いまでかけるのか……ううむ、切ってやろうか？」

「『チェスカ』……いい名前だね。
　私はミコト。改めてよろしくお願いしますね」

「（チェスの表情が軽く曇ったのに気づいて）
　あっ、や、ごめんなさい、
　チェスが睨んでたとかじゃなくて
　その武器の迫力に気圧されちゃって……」

「す、すごいハンマーですね。
　持ち上げるだけでも大変そう……！
（改めてチェスの得物をまじまじと見つめながら）」

「あ、あの猫、可愛い鳴き声で魂抜くだけじゃなく
　そんな呪いまで？！
　やっぱりチーターより猫の方がよほど凶悪だわ！
　呪いの解き方とかはまだ判らないの……？」

「狐の工匠さん……
　この、ようこどう、って所？（エプロンのロゴを指して）
　……そういえば工匠さんにお仕事頼んだことって
　まだないや。
　ょ、洋服とかって仕立ててくれたりするのかな……」

「私もしっぽ穴開けようかしら。
　スカートの下から出してると、しっぽの位置によっては
　大変なことになるし……。
　前衛で動き回らなきゃならないチェスは
　スカートだった時はもっと大変だったでしょうね」

「そろそろ時間よ。集まりなさい」

「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ！！」

「……落ち着きなさい」

「アナタは確か、私の護衛に志願してくれているようね」

「今回は必要ないわ。次の機会に頼むわね」