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Diary | ||
この世界にも色々な武器や体を守る防具なんてものがある。僕がいた世界にも剣や杖はあった。 しかし驚いたのは、それらをより強力なものにする方法があって、それを生業としている人がいるらしいということだ。 一般的に鍛冶職人、などと呼ばれているらしい。 せっかくなので一振りの杖を鍛えてもらうことにした。歌っている時は使っていないが、攻撃をするにはどうしても必要なもの。 当人の所へ足を運び、支払う魔石の量を告げる。 「このくらいでお願い出来るかな」 「ふむ。良かろう、引き受けた」 そう言って目の前の男性は頷いた。 浅黒い肌と黒い髪。ゆったりとした見たことの無い服装。自らを『王様』と称しているらしいことは風の噂で聞いていた。 僕の世界にも王は居た。ただただワンマンな王様で僕は辟易していたけれど。 彼からは偉そうなオーラも感じられたけれど、それよりも気さくな感じを受ける。僕の知っている王とは随分違う。 ただ、彼の周りに漂っているもやのような夢の欠片はなんだか凄い。色で例えるならピンクや紫といったところで、食べるのはデザートでも胃がもたれそうだ。 ――凄く甘そうな夢だなあ。 きっと彼は毎日こんな夢を見ているから慣れてしまっているのかもしれない。 味見はしないことにした。 杖を預ける際に僕はどうしても作業を見てみたくて、王様にお願いをしてみた。 「我の工房を見たいと?」 「うん、僕が居たところにはこういう技術がなかったからね。……駄目かい、王様」 「成る程。それなら都合の良い時に来るが良いぞ」 ことりと首を傾げて上目遣いで王様を見ると、含み笑いをして快諾してくれた。 王様の視線は雲の上に座っている僕に向けられていた。それは当然なのだけれど、何だか視線は体に集中していた気がする。 僕の体に何かついてたのかな。 ***** 何日か経って、僕は王様の工房の前に居た。王様の先導に続いて、ぺろりと天幕を上げて中に入る。 中では職人とおぼしき人達が一心に鎚を振るっていた。 かん、 小気味良い乾いた音がそこらじゅうに響きわたる。いくつもの音が混ざりあい、まるで一種の音楽のようだ。 かん、 僕はその光景にしばらく魅入っていた。何しろ僕の世界には無いものだ。僕の世界はというと、武器なんかは使い手の実力に合わせて変化するのが常だ。一つの武器を使うのは同じだけれど、こうやって手で鍛えるということは無かった。 「王様が鍛えるんじゃないんだ……」 ぽそりと呟いた声は彼の耳に入ったらしい。 「我がすると思ったのか?」 「やり方を知らないから、貴方がすると思ったんだよ」 「まあそう拗ねるな。我はどちらかというと指揮をする方が得意なのだ」 そう言って(無断で)僕がいつも座っている雲の上に座った。いつも寝そべっているけど、今回は足を崩して座っていたから丁度二人分のスペースがある。 王様は雲の柔らかさにしきりに感心していて、ふむ、とかなんとか声を漏らしている。 「随分柔らかくて居心地が良いものだ。これは何だ?」 「雲、だよ。王様」 「雲? あの空に浮かんでいるアレか?」 王様はそう言って興味深そうにばふばふ叩いてみたり、ひっぱってみたりとまるで子供のようにはしゃいでいる。対する僕は行程を見るのに夢中で段々生返事になっていった。 「ちょっと違うけど、そんな感じだよ」 「どう違うのだ?」 「だからそれは……わっ」 前のめりで眺めていたからか、体勢を崩して頭から作業している最中に倒れかけた。 お尻が雲から離れた時にぐいと腰を引き寄せられる。隣にいた王様が助けてくれたらしい。 そのまま座っている王様の足の上に寝転がるような形になってしまった。服でわからなかったけれど、王様の腕や体は僕よりずっと筋肉質で逞しい。少しだけ羨ましくなった。 「……ありがとう、王様」 (腰に手を回したまま)王様は僕の目を見て尋ねる。 「細いし凄く軽いな。しっかり食べているのか?」 「僕的には……」 最近はいろんなもの(主におでんとか)を食べてこれでも随分重くなったんだけど。 今の王様は形容する言葉が見つからないけれど、強いて言うなら様になっている。僕が同じ事をやってもこんなに格好良くならない。 王様は僕の頬にそっと触れた。それがくすぐったくて居心地が悪くなる。 「王様……」 「……駄目だ」 そろそろ離して欲しいんだけど、と続こうとした僕の言葉を遮るように王様は呟いた。 「え?」 「やはり駄目だと言っているっ!」 突然真剣な声で言うと僕を元のように座らせてから両肩を凄い勢いで掴む。 若干ついていけない。 「……な、何が?」 「お前の声だっ」 「声っ?」 今の僕は性別に振り分けると女の姿だけど、声はいつも通りどう聞いても男の声だ。こればっかりは姿が変わろうとも変わらない。 「姿は女なのに声は野郎ではないか! ニューハーフの類なら全力で撤回するがお前は男にしては細すぎるっ」 説明を求めるぞ、と言わんばかりの雰囲気に少々困惑しながらも口を開く。っていうか、ニューハーフって何なんだろう。 「えっと……僕には性別がなくて、姿も変わるんだ。声は変わらないけど」 「そんなややこしい話があるか」 「そんなこと言われても」 そういえば風の噂はもうひとつあって、王様は物凄く女の子が大好きというか、妄想癖があるというか、つまりそういうことだった。 「召喚士に頼んで相応の声にしてもらってはどうだ。そうしたら我は全力で迎えてやるぞ」 「彼女にそんなことが出来るのかい……?」 若干引き気味に答えてはいるものの、性別に合った声にしてもらえば違和感も払拭されるかもしれない。 何よりオカマに例えられるのが本当に嫌で(元居た世界のオカマと反りが合わないのが主な原因だった)やっぱり召喚士さんに御伺いを立ててみるのもいいのかもしれない。 後半の台詞は完全に忘却の彼方だった。 王様はいつの間にか後ろから僕を抱きしめてああだこうだ言っている。そんなに気に入らないのか。 「わかったよ王様、今度聞いてみるから……」 問題はコンファインするのも当分先、つまり彼女にあうのもずっと先ということだが、それは口にしないことにした。 (きっと妄想です。鍛冶は妄想ではありません。感謝!) |
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今回の滞在 | ||||||
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