韮の市で、ナスルから貰ったアミュレット。
えーっと、「真眼の護り」って言ってたっけ？
瞳を模した形で、眼の部分に赤い尖晶石が使われている装飾品だ。
ちょっと、見ようによっちゃ怖いけど、俺はけっこうお気に入り。
俺の村では、こういう厄除けの類の装飾品を身に着けていたやつが多かった。
傭兵なんていつ死ぬか分からないような仕事をしているから、こういう物を持ち歩くのかもしれない。全然持ってないやつも同じくらい居たっちゃいたけど。
俺の左耳のピアスだって願掛けというかちょっとした厄除けみたいなものだし。



でもこれ、当初は貰ったのはいいものの、どうしようかとても迷った。
鎖でも通して腰のベルトにつけようかと思っていたんだけど、それだとすぐに無くしそうだし。
かといって荷物袋に放り込んだままって、なんか効果薄そうだし。
で、結局革紐を通して首から下げることにした。
ここなら、そんなに無くしたり壊したりしないし。あと、邪魔にもならないし。


と思っていたんだけど、残念ながらそう上手くはいかなかった。
さっき取り出して見てみたら、端が少し欠けていた。
わりとショック。というか、縁起でもない。
ジンと戦った時かなぁ。それともフォルシュかなぁ。ここんとこ、割りと無茶してるしなぁ。




で、そんなこともあって、そろそろ気楽に行きたいなぁなんて思っていたら、フリント次期領主に腕を見せなきゃいけないことになった。
世の中うまくいかない。
ついでに、アーシェに「フリント次期領主様に腕を見せなきゃならなくなった」と言ったらものすごく驚いた顔をされた。
なんで知らないんだよ！
事典亭のマスターから聞いてると思ってたのに、なんで知らないんだよ！
知ってると思って、つい言っちゃったじゃないの！


ヘクターに後で怒られないことを祈ろう。
本当に世の中うまくいかない。





お借りしました。
ENo.2398 ナスル＝アイン
ENo.71 　ヘクター・ブレイズバース
ENo.204 アシェラッド＝ウィアド・ケーナズ

ヴァルの姿が見えるとすぐに駆け出し、小さなカマドウマを投げつける。

（足元に視線を感じると、足を隠すようにサッとしゃがみこみ）

（というギガヤを遮って）

軽く頭を押さえてから顔を上げる

かわった名前とはよく言われます、と続ける

反射的に縮こまるよに指を付き合せて伝う。
ギィ、と呼ばれることも既に経験があるのか、特に気にした様子も無い。

己は隅っこでパペットを介してお話したり、びくついていただけだけど。

ブーイオは撫でられると首筋に小さく、紫炎の文字が浮かんだが、
大人しく目を閉じている様子から機嫌は良いようだ。

力を借りることの様々な意味を若者は知らない。


ヴァルが勢いよく跨ると、ブーイオは鼻息をひとつ鳴らして軽く足踏みをする。
騎手の命令を待ちわびているようだ。

そう言うと、打ち捨てられていた土嚢や岩を適当に積み上げ、
その上に夕食のスープなどに使う冬瓜を一つ置く。
どうやら馬で走ってきて、槍でこれを割るか貫く…という事らしい。

ダイスによる判定も可能。1D6で4以上で成功する。

渋いヴァランタンの顔に明るく軽やかに笑って、

傭兵というものが興味深いらしい。質問が雨だれのように続いて投げかけられる。

ちいさな身体を伸ばすようにして、ヴァルさんの顔を必死に見上げる。
人間でいえば、小さい子供が目をキラキラ輝かせて見上げるような光景だろうか。

ヴァルさんがぽつりとつぶやいた"エンブリオの醜美"という言葉を聞いていたようだ。

日蔭の謎の自信ありげなコメントが炸裂した。


***　***

一方、ノームさんは・・

？！

やはり、ノームのまともなのは見た目だけだった・・・

スズメはやはり、イケメンの意味が分かっていないようだった。

俺にはよくわからない、と、
迷子にでもなったような声をしていた。

ポツリと呟く声は、酷く平坦だった。
感情の欠片も窺わせないような、そんな響き。

盛大なブーメランを自分で放り投げて苦笑いである。

肩をすくめつつそんな事を語る。
とはいっても、どこまで本当やらわかったものではないのだが。

海の上で流れてきた木の板やら壊れた船の一部やらでちょっとした居住空間を組み立てる。
自分たちの行動は、それに近いものだ……と青年は語った。

頷き、肯定した。

ボディーバッグから異世界間通信機を取り出してみせる。
それ程大きくは無い通信機だが、ユキナが右手を翳すと、空中にぱっと画面が現れる。

ヴァルが辺りを見回すと同時に、少し離れた茂みの奥でミルがサっとしゃがんだ。
その茂みの下にはコロが四つん這いになって潜んでいるが、
よく見なくても丸見えである。