「冒険者ギルドに掲載される依頼は何も常に危険と隣り合わせのモンばかりじゃないぜ？
駆け出しの連中が馴染みやすいような小間使いみてぇなのも結構多いぞ。
例えば富豪邸の地下倉庫の掃除とか、森ではぐれた商人の捜索とかな。簡単そうだろ？」

「…どっからか入り込んだ獰猛なスキーヴァーが大量に巣食ってやがったり
山賊の集団に拉致られてて法外な身代金要求されたりするかもしれねぇが、それはそれだな。
まぁ、もっと"平和"な仕事は税金泥b…シティ・ガード様の管轄ってこった」

「こういう未知の領域にまつわる話にゃ『富や名声を得るのは一握り』ってのが付き物だが
実際んトコは母数が多すぎて全体を通して見ると『一握り』になっちまうってだけだからな。
何かしらの実利を得て生還するヤツぁ割とそこら中に普通に居るモンだ。
…そんで、『一握り』じゃない方ってのは大抵、ロクに訓練も準備もしねぇで
ハイキング気分でノコノコ出張って来るような冒険ナメきってるスットコドッコイどもなんだよ。
兄ちゃんみてぇに冒険慣れしてるヤツなら、引き際さえ弁えりゃ結構美味しい思いできると思うぜ？」

「色々と普通じゃねぇからなぁ…俺達が普通だと思ってても
ここじゃあ生存競争に負けて自然淘汰されてました、なんて種も少なくねぇかもしれねぇ。
野菜はまぁ、脚生やしてたり顔があったり喋ったりするのがやたら目立つだけで普通のがあると思おうぜ…
もしそんなのばっかだったら、長閑な見た目とは裏腹にそこら辺の"世界"が裸足で逃げ出す修羅の国だぞ」

「元々はならず者が行く場所だしなぁ、実験生物との戦闘なんかは喜んで受けるんじゃねぇか？
つーかむしろ治験(Lv99)とかやりそうだな研究棟。いっそ農場で雨ざらしになってた方がマシな気がする。
森が近いみてぇだし、枝葉や木の洞でギリギリ雨ぐれぇは凌げるだろ…」

「回数に限りがあるとは言え今まで一度も突貫してなけりゃ3回はイケるんだよな。
侵攻先を上手く調整して美味しいトコだけ掻っ攫う事もできるだろう。特別手当も出るみてぇだし
持て余すぐれぇなら二人でその辺の雑兵を相手にするだけでもそれなりに違うんじゃねぇか？」

「複数行動が前提の場合、後者は連携とかもあまり考えねぇだろうからな。
前者は互いの力を引き出し合う一方で、お互いに足引っ張って自滅するのがオチだ。
もしかしたらタイマンの方がまだ勝ちの目がある、なんて言えそうなケースも出てくるかもしれねぇ」

「あぁ、アンクか。あの能力は中々有用だっつうからな…材料の調達が面倒臭そうだが。
しっかし何が出来上がるか分かったモンじゃねぇな合成術。材料や食材ばっかだったから意外だったぜ。
…この調子だと極めればとんでもねぇ代物ができそうだな…例えば生命エネルギーを増やすクスリとかよ…」