以前の冒険から随分間が空いた気がするのう。
その間、サボっていたとは言わせぬからの！

全く、お主はすぐに怠けるのじゃから、だめなやつなのじゃ。
わらわが見ていないとなんにもできぬのじゃな。

それで、ここしばらく、考えていたことがあるのじゃろう。
聞かせてみるといいのじゃ。
この世界について、そして一揆とはなんなのか。
その本質を。



――ふむ、なるほど。
お主はそう思うのじゃな。

なに？正解を教えろ？
そんなもの、わらわにだってわからぬのじゃ。

わらわに言えることは、わらわの見える範囲、考えうる範囲での理解を述べることくらいなのじゃ。

神ならぬこの身、限界あるこの身では、真実などわかりようもない。
わらわにとっての理解は、あるいは真実に近いのかもしれぬが、それをお主に伝える義理がどこにあるというのじゃ。

実感の伴わぬ納得などしても無駄なのじゃ。少なくとも今のお主にはの。

ふんふん、と質問を聞いて頷き

　離れ離れというからには死んではいないと確信、あるいは信じているに違いない。
　重い荷物を背負ったものじゃの、と嘆息して空を見上げ。

　人格のある妖精は多く見てきたが、精霊の方ではあまり出逢うた記憶がなくての、と補足し。

　にやにやとしながら、興味津々に身を乗り出した。

のろのろと顔を上げるクラガの腕から赤黒い焔が立ち上る。それは獣へと姿を変え、具現化した。