流石にこう場所ごとに気温が変わってくると季節感がめちゃくちゃになりそうだわ…。

『重犯罪者が送り込まれる世界』ってのも誰が言い出したのやら。まぁ傾向からとりあえずそう位置付けられてんだろうが

然り。ま、どこに居ようが自分にとっての敵かどうかで判断するだけだな

そういうのは未経験だな。本人の時が逆転、まぁ要は若返ってる例ならいくつか知ってるが

……過去に干渉して生き延びたとしても、それはアンタの知ってるそいつじゃないんだろうな

あっは！そりゃあ自分でつくろうとは思わないな！
作ってもその時の味を思い出してせつなくなりそうだ。

……ふふ、それにしても結婚したのが一度だけだって？
なんだか意外だな？もっと恋多き乙女かと思ってたけど、結構一途なんだな。

わたしも結婚した記憶なら何度かあるよ。
だいたい、毎日が楽しかったような気がする。
……また、してみたいって思う？

狩るの得意？そりゃ助かるね。
私もいつか鉄砲でも教えてもらおうかな、魔法が使えなくなったときのためにさ。

……なるほど、魔法や刃物なんかと同じか。
もしかしたら、なんでもそうかもしれないな。エンブリオや、その銃みたいに。
さしずめ新王は権力の使い方を誤ったというところだね。
わたしと……ふふっ、レテ。二人いれば、どちらかが間違いそうになったら止められるな？

……ああ、そうだな。
ある意味では、長命なものや私みたいに記憶を長く留められるものにとっては、
イコがこのままなほうが嬉しいかもしれない。
ああ、嫌な気持ちになったらごめんね。

レテ……

わたしは、まだできないんだ。いろんなものの……和らげ方や、取り去り方。
よかったら教えてよ。気の持ちようでも、なんでも。

うん……そうだね、きっと……記憶が沢山でも、根幹は、変わらない。
そうだといいな。うん、そうだと思う。思うことにする。

ありがとう、レテ、私……ちょっと、もう少し前向きに生きようかな？
自分に自信をもって、私を生きるよ。

純粋培養って……。

……羽虫？羽虫だったの？きみが？
じゃあ……どうやって今みたいな姿――はまあ、自由として、
どうやってそんな力……、を、得たの？
どうやってその力を枷なく振るえるようになったの？

あっあっ

……データ……記憶？
！

……。ミカ……、あの。
きみ……それ。……お願いだ。それを僕にくれないだろうか。
僕がきみにあげられるものは何もない。でも、……

……貸してくれるだけでもいい。
元と同じような形で返せる保証はできないけど、
……どうしても、僕それを持って帰って試したい事がある……。

縁を切る運命の神様か……「神様」ってイメージとは全然違う人だなーって思ったけど…俺の心の中を見透かしてるみたいで、はっきりとじゃないけどなんとなく怖いなって感じたことはあったっす。気さくでおもしろいんだけど、不意に問い掛けてくる一言が丁度痛いとこ突いてきて。
元は違う？そういえば、自分は1/2で同じヤツがもう一人いるとか言ってたけど…そのことっすかね？

だから色々知ってんすね。すげぇなぁ…イコンさんは自分で他の世界に行き来できるんすね。

すんません…ちょっと……なんかもう、そんなものが本当にあるってだけでびっくりすんのに、それをなんにも知らずに持ってたなんて、そんな。

心から本気で望んだこと、３つくらい心当たりがあるんす。
一つは“力が欲しい”って。…その時は大勢に襲われてたから、そいつらを黙らせてその場を切り抜けるための力が欲しかったんだと思う。

もう一つは……“何もかも、全部壊してやりたい”って。
俺の家ちょっと変わってて、親やきょうだいのことでうじうじ悩んでた時があったんす。
で、どうしようもなく不安でイライラして、それを母親に全部ぶつけたんだ。
後で俺が思い違いしてたって分かって、とりあえずその場は収まったんすけど…その時は本気でそう思った。

あと一つが…なんて言ったらいいんだろ…“取り返しがつかないなんてことなくなればいい”かなぁ…。
家のことで揉めたのもあったんすけど、その時いたのが過去の集積場って呼ばれてる場所で。なんていうか…何かを選ばなきゃいけなかったり、時間が過去から未来に一方通行で止まらないせいで「こうすることもできた」って可能性が死んじゃうのかなと思ったんす。だから、そういうのがなくなればいいって…うまく言えないっすけど…。

…もちろん、これがそんな力を持ってるなんて知らなかった。でも、今更知らなかったじゃ済まないんだろうな。
これ、タダで願いを叶えてくれるわけじゃないっすよね？
何だかわからないけれども、いつかこれの代償を払わなきゃいけない時が来るんじゃないかって、心の片隅でずっと引っ掛かってたんだ。

それ、ほんとうかい？

……と言うより、私は大体が、世界の名前をほとんど知らないのさ。
《メルンテーゼ》という名さえ、覚えたのはやってきたから大分経ったころだったしね。
たしかに、訊いておこう。

……。

ほんとうに？

そう――私がきみの眼を得たなら。
私はつかの間と言え、何もかもを、きみの視るように見るだろう。
色もかたちも、何一つとっても忠実に。

そうして、きみが《美しい》と感じるものを、私は《美》として感ずるだろうね。

その美が……果たして私にどれほど深く根ざしてくれるものか。
私の傍に留まり続けるものかどうか、それは分からないけれど。
いつも、私はそれらの美を覚えていられない。
どうしたところで、眼が剥がれるとともに忘れてしまう。

けれど、なぜ？
”慣れている”ときみは言うが、それでも失われるには違いない。
ひとより優れているのならなおさら、きみは視ることに感覚の多くを負っているのではないかな。
それこそ、ほかのひとびとよりも、なおさら強く。

会ったばかりの、交わした言葉の数もそう多くない、私に？

さ、どっからでもかかってらっしゃい。
…って言っても不意打ちはやめてね。正々堂々行きましょ！

あれもエンブリオなの？

そう。無駄な運動はしたくないんだけどな

やるか

さ、はじめるわよ！